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俺様くんと王子様

葉月神社に五円玉をなげて少女は手を合わせて願う。

「今日は絶対に皆様に迷惑かけませんように…!」

花夜羽 瑠果、お母さんゆずりで赤く大きな瞳に小さめの口と腰まで長い茶色の髪で美人と言うほどの顔でもなく、ブスと言う顔でもない普通の顔の瑠果。

高校一年の瑠果は学校が寮生活なので学校をいつも5時に抜け出して、この近くにある神社でお参りをしている。

「もしもうひとつよろしければ、学校の人たちから痛いことされませんように…。」

痛いこと…、花夜羽 瑠果は学校で赤い瞳を変に思われて高校生になって二日目からクラスメイトの女子と男子グループ六人にいじめられている。

靴がなくなっていたり、ボールを投げつけられたり、先生はみてみぬふり。

今までのこと思い出すと…。


ポロリ…


「うっ…。泣いちゃダメなのに…、涙が勝手に…。」

瑠果の赤い瞳からポロポロと涙が止まらない。

今までいじめられても泣かなかった分が出てきたのであろう。

そして、瑠果は目をごしごしとふき…。

「……神様にもお願いしたんだし、大丈夫だよね…。」

パンパンッと類を叩く、弱気な自分を切り替えて青空が広がる空を見上げる…。

(大丈夫。私なら大丈夫…。)

そう自分に言い聞かせ、瑠果は学校へ向かった。

『あの女の子…』

誰かが見ていたとは知らずに…。




春花第一高校。

瑠果は名前から素敵そうで選んだ高校。

制服もセーラ服ですごく可愛い。

いじめられているグループ六人がいなければ瑠果はきっと友達とかがいて、好きな人とかできて、幸せなんだろうな…と幸せに過ごしている自分を想像しながら学校へ向かう瑠果。

でも、学校へ入ると瑠果の顔色は変わる。

下を向いて常に周りを気にする。

クラスメイト以外の人たちは瑠果がいじめられていると言う事は知らない。

(今日は靴が何にもなくて良かった…。)

ほぼ毎日靴は濡れていたり、落書きされたりと、かされているが、今日は何にもされていなかった。

そして、とうとう一年二組の瑠果の教室につく。

あまり目立って入らないように、後ろのドアから毎回入る瑠果。

だが、教室に入るにはものすごい勇気が必要だから、スー、ハーと呼吸をしてゴクンッと息をのんで、ガラガラとドアをひらいた。

安心する事に、いじめてくるグループの男子はいないし、特に何もない。

だが、窓側の一番後ろにある瑠果の椅子と机が…。

「あれ……?」

あるはずの椅子と机がない。

他の人の机や椅子はあるのに瑠果のだけない。

(どうして…。)

お椅子や机はどこへ行ったのかどおどしていたら…。

「あれー?花夜羽さぁん、椅子と机ないのぉ?」

「えぇー、かわぁいそーお! 」

瑠果をいじめられているグループの女子たちがぞろぞろときた。

右にいる女の子は沙喜、真ん中は実波、左は桃果とつけまやアイラインやグロスをバリバリ塗ったド派手な女の子たち。

「し、知りませんか…?」

絶対にこの子たちだと思った瑠果。

と言うかこの子たち以外誰がいると言うんだ。

「えぇー、私達を疑うのぉ!」

「かわいそうだなぁーって気をつかってんのにひどくない!」

「いや、別にそういうわけじゃ……きゃ!」

真ん中にいた実波が瑠果を押して瑠果は尻餅をつく。

その時の三人たちの顔やオーラは変わっていて、ものすごく邪悪なオーラになっていて、今にでもおそいかかってきそうだった。

「すいません…!」

怖くなり、瑠果は丸くなり目をぎゅっとつむる。

「キモいんだよ!」

「悪魔!!」

「その目でこっち見んなっ!!」

三人は瑠果をドカドカと瑠果足で蹴る。

教室にいるクラスメイトはみんなみてみぬふり、先生も普通ならもう教室に来ているはずの時間なのに、こない。

きっと、教室のドアの前で止まっているのだろう。

(痛い…。どうして、なんかこんなめにならなきゃいけないの?)

「ーーーっ!!」

瑠果は耐えられず、教室をとびたしていってしまった。

「キャハハハ!」

「授業始まっちゃうよぉ?」

「あっでも椅子と机ないからできないじゃんっ!キャハハハ!!」

悪魔のように笑う三人。

瑠果の頭の中で三人の悪魔の笑いが離れない。

(どうして逃げたの、私!!バカバカバカバカ!)

学校の廊下を走る。

他のクラスは授業中でなんだなんだと走っていく瑠果を見る。

そして、瑠果は一番落ち着いて一番大好きな場所、葉月神社へ走った。



そして、葉月神社。

「うっ……ヒクッ…」

葉月神社の横にある大きな木を向きながら、密かに泣く。

ここはあまり有名な神社ではなくあまり人が来ないため、瑠果た小さい頃からここのこの木に向かってな泣いている。

(友達ってどんなかんじなんだろうな…、でもこんな目の私と友達になんてなる人なんていないだろうな…。)

ぶわっと涙が溢れる。

親はいるが、頼れずにいつも一人で抱え込む瑠果。

死んでしまいたいと思ったこともある瑠果だが、親が自分のために働いてくれているということを思いだし、死ねない。

「…ヒクッ…私、どうしたらいいの…。」

頼れる人もいないし、この人生からも逃げられなくて瑠果の心はもうパンパン。

爆発すうぜん。

そんな時!

『花夜羽 瑠果……。』

「え……?」

誰もいないはずなのに声だけが聞こえる。

そして空を見上げると、眩しいくらいに光っている。

『辛かったでしょう……。』

誰もいないはずなのに聞こえてくるとても安心する声。

さらに涙が溢れだす。

「うっ……。」

『まぁまぁまぁまぁ。でももう大丈夫ですわよ。』

「え……」

何が大丈夫なのであろうか…と考える。

と言うか誰なのか不思議だ。

まるで神様が話しているような気分。

『貴女にかならず役にたつ者達をさずけます……。』

「役にたつ…者達?」

すると眩しく光る空から青い光と赤い光が瑠果のもとに飛んでくる。

そしてその光は激しく光り、光りの強さが弱まると…。

『良く聞け、俺様の名前はジュガレだ。ジュガレ様と呼ぶようにしろ!』

『僕はユリアス。ユリアスでいいからね。』

突然、光から声が聞こえる。

赤の光が上から目線の言い方の光で青い光が優しそうな言い方の光。

(な、なんなの…?まさか、あまりの苦しさにそこから逃れようと幻でも見ているの…?)

『俺様が自ら名乗っているのに、お前からの自己紹介はないのか!』

「えっ!すいません!!花夜羽 瑠果です!呼び方はなんでもいいです…。」

『弱々しい名前だなー。』

『まーまー、珍しくて可愛い名前じゃないか。』

可愛いなんて初めて言ってもらった瑠果。

さっきまでの悲しさはどこにいったのやら…。

たとえ幻でも嬉しい事だ。

『花夜羽 瑠果…、貴女は一人じゃありませんのよ。いつだって笑顔を忘れずに…』

眩しかった空の光は段々と弱まっていき、安心する声も聞こえなくなってきて…。

「え…、あっ、なんだかわからないですけどありがとうございます!おかけで少し、勇気がわきました。」

そして空の眩しい光は消え、赤い光と青い光が残った。

(この光たちは消えないのかな…?)

光はホワンホワンと浮いている。

『おい、早く行こうぜ、学校に。』

「え…?あなたたちも一緒に行くの?」

『行くよ?』

「え、でも私こんな目だし、一緒にいるのは嫌でしょう…?」

今までの女の子たちは皆そう。

私の目は悪魔だの吸血鬼だの言われて並ぶのを嫌がっていた。

『何言ってんだよ。俺様たちはお前以外に見えないし、一緒にいるのだって別に嫌じゃねぇよ。』

『そうだよ。僕ならこんなに可愛い女の子といられて嬉しいよ。』

その言葉に瑠果は固まる。

一緒にいて嫌じゃない、ましてや嬉しい。

一度も言われた事のないことに思わず涙がポロリと出る。

「うわーん」

『なっ、泣き止んだとおもったらまた泣く!お前は泣き虫だなー。』

『泣くのはいいことだよ。泣くたびに強くなるって言うしね。』

こんな短時間の時間で、たとえ幻でも、たとえ夢でも、もう覚めたくないと言う思いを初めて思った瑠果。

(本当の姿形は見えないけれど、友達との会話とかってこう言うのなのかな…?)



読んでくださってありがとうございます。

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