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道を聞かれる

作者: WAIai
掲載日:2026/08/10

水野はいつものように。トラックを走らせていた。

しかし、前の車がふらふらしており、気になってしょうがなかった。

ー病気か? それとも、飲酒運転か?

見定めるのは困難で、クラクションを鳴らそうかどうしようか悩む。

すると前の車が左にウィンカーを出し、停まった。

水野は躊躇した後、原因を知りたくて、トラックを停めるが、エアコンのついていた車内と違い。8月の陽気はまだ燃えていた。

溶けそうだと思いつつ、前の車の運転席の窓を叩く。

「ーもしもし」

躊躇した後。、声をかけると、窓が開いた。

水野は驚いたが、平気なふりをし、対応しようとする。

顔を出してきたのは、20代くらいの美女だった。

髪の毛はボブカットで、ふわりと良い香りがしてくる。

乗っているのは、1人だけのようで、何事か困っているようだった。

「あの…」

「はい?」

水野はなるべく刺激しないように聞くと。女性が口を開く。

「場所が分からないんです」

「は? 場所? どこの?」

矢継ぎ早に聞くと、女性はナビを指し、言う。

「ナビの通りに進むつもりが、全然、たどり着かなくて。場所が分からないんです」

「ナビ…。ああ、なるほど。スマホは?」

「スマホでも検索してみたのですけど、私、機械オンチでよく分からなくて。あの…!!」

「何?」

「良かったら、場所を教えてしれませんか?」

女性の必死な様子に、水野はすぐに了承する、

「いいよ。どこに行きたいんだ?」

「アイスクリーム屋さんなんです。そこで友達と待ち合わせしているんですけど」

「アイスクリーム屋…。名前は?」

「フルムーンっていうんですけど」

「ああ!! それなら知ってる」

水野は手を打つと、女性に言う。

「移転したんだよ、新しい場所に。スマホに出てこないはずだ」

「なるほど。私の落ち度かと思いました」

女性はほっと息を吐くと、惚れ惚れするような笑顔を見せてくる、

水野は顔を赤くすると、親指を後ろに向ける。

「ついて来て。そこまで運転してあげるから」

「いいんですか!! 助かります!!」

深々と頭を下げられ、水野は照れ隠しに耳をかく。

女性は助手席を探したかと思うと、栄養ドリンクを差し出してくる。

「これは…」

「案内してくれるお礼です。…その、安くてすみません」

「全然。こういうのは気持ちでいいんだよ」

サンキュと栄養ドリンクをポケットに入れ、女性に言う。

「先を走るからついて来て」

「は、はい…!!」

水野はトラックに戻ると、栄養ドリンクを大事にしまい、運転し始める。

ミラーで後ろから女性の車がついて来るのを確認し、迷うことなく道を進んで行く。

ー人助けは大事だからな。

信号を右折し、なるべく水野はゆっくり走ってやる。

じきに店が見えてきて、ハザードランプをつける。

停車すると、女性の車も停車し、駐車場へ入っていく。

「分かったかい?」

窓から顔を出し、大声で言うと、女性が車から降りてきて、頭を下げてくる。

今どきのファッションをしており、作業着の自分とは違い、おしゃれだった。

苦笑していると、何故か女性が小走りにやって来る。

「どうした?」

「あの…。良ければLINE交換を…。駄目ですか?」

「え!! い、いいの?」

逆に聞いてしまい、女性は慌ててスマホを取り出す。

LINEはあまり使うほうではないのだが。女性と知り合えてラッキーと、神様に礼を言う。

「はい、大丈夫です」

「ありがとう。じゃあね」

手を振ると、女性が小さく手を振ってくる。自分のことを気にしてくれると嬉しいなと思い、ハンドルを握る。

トラックを走らせると、女性は見えなくなるまで見送ってくれたようだった。

ー良い娘だったな。

水野はスマホをちらりと見、にやにやと1人で笑う。

しまった、自分はトラック運転手なのだから、かっこよくいないとと思い、顔を引き締める。

水野は自分で思うのもなんだが、こう見えて鋭い目つきに、引き締まった唇と。整った顔をしていた。

ー彼女と縁ができて良かった。

一期一会で終わるかもしれないが、人に親切にしてあげるのは、悪いことではない。

後で栄養ドリンクを飲もうと思い、水野はアクセルを踏みこむのだった。

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