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脱げないチーパオ服とドジっ子メイド

作者: 四季ひより
掲載日:2026/02/05

私こと和泉めぐが異世界に転生してからもう10年が経とうとしている。

生まれつきドジな所と不運な所があるため、横から来るトラックに気付かず轢かれ死亡した。その後、女神に魔王を倒すようお願いをされて異世界転生をした。

最初の頃はこんなライトノベルのお手本のような展開、本当にあるんだと興奮し魔王討伐を目指していた。

一応、私にも『風の加護』というスキルがあり、風を操ったり空を飛んだり出来る。しかし、私以外にも異世界転生者が何十人、何百人も居ることが分かると特別なのは私だけじゃなかったんだとやる気を失ってしまった。

そして、私がやる気を失った原因はこれだけではない。魔王軍の魔女の呪いにかかり、チーパオ服しか着れなくなってしまったのだ!何故チーパオ服なのかは分からない。元々異世界にはなかったらしいが、日本からの転生者がチーパオ服を布教したから今では珍しいものでもないらしい。他にもメイド服やセーラー服なども異世界転生者によって広まっている。余計なことをしてくれたと先代の転生者を恨む。

話を戻すと他の服に着替えようとすると全身に激痛が走りとてもじゃないが耐えられない。王都一の呪いのスペシャリストに解呪を頼んでも、力が強力すぎて不可能らしい。そうなると魔女を倒すしかないのだがこの格好で外に出るのは恥ずかしすぎる。

そんなこんなで私は現在、冒険者ではなく屋敷のメイドとして日々働いている。


「ご主人様、朝ですよ!起きてください!」

私のメイドとしての1日はこの一言から始まる。

フィリップ家の屋敷に来てからもう7年になる。この屋敷には主であるマークス・ヴァン・フィリップとメイドの私だけしか居ない。フィリップ家の長男らしいが、興味無いので爵位など詳しいことは何も分からない。何故私がここの住み込みで働いているかと言うと、魔王軍との戦果を王都まで報告しに行った際に一目惚れをされたかららしい。その後、私の境遇を知り、是非メイドとして働いて欲しいと言われ破格の条件を提示された。ニートまっしぐらで再就職先を探している最中で、チーパオ服しか着れないとなると中々雇ってくれる所もなく困っていたので喜んで引き受けた。


朝、ご主人様を起こしに行くと眠たげな目を擦りながら私に

「めぐ、まだ朝の五時だよ。」

とおっしゃった。その言葉を聞き私はまたやってしまったと思った。早とちりして時計を2時間も見間違えてしまった。何故間違えるのかは私にも分からないが毎回ドジってしまう。今度こそ名誉挽回だと食卓へ案内をした。今朝はフレンチトーストを作ったのだが美味しそうに食べてくれて一安心する。私も食べようと1口かじったら辛すぎて思わず咳き込んでしまった。

塩と砂糖を間違えるという典型的なミスをしてしまい、声を慌ててかける。

「ご主人様、大丈夫ですか?すぐに作り直します!」

すると、ご主人様は

「食べれないことは無いし問題ないさ。次から気をつければ大丈夫だよ。」

と返答し、また気を使わせてしまった。落ち込む私を見て

「明日もフレンチトースト作ってくれるかな?」

と優しく声をかけてくれる。私は頭を切り替え、

「かしこまりました。ご主人様」と頭を下げる。


その後、庭掃除をしていると 胸を押さえて呻いているご主人様を見かけた。急いで駆け寄り声をかけるも返事はうまく返ってこない。

「しっかりしてください。返事をしてください!」

私はこのままでは死んでしまうのでは無いかと心配し、半ば泣き叫ぶように声をかけ続けた。

「すぐにお医者様の所へ連れていきます!」

そう言って私は女神から授かったスキル『風の加護』を使用し、ご主人様を抱き抱えて空を飛んだ。この日ほどスキルに感謝した日はない。空は快晴なのに反して私の心の中は曇っている。そうして街にある病院へいき診断をしてもらった。

お医者様が言うには、疲労が溜まってるのが原因なため3日から4日で回復するとの事。

毎日のドジが原因なのではと考えていた所、私の心を見透かしてか

「最近、日々の業務が忙しかったからね。家事をしてくれるめぐには感謝してるよ」

その言葉を聞き私は押し止めていた涙が流れてしまった。私はたとえ自身の呪いが解呪されてもこの人に一生仕えていこうと心に誓った。

最後まで読んでいただきありがとうございます。チーパオ服の要素ほとんど無いじゃんっていうのはその通りだと思います。理由は単純にメイド服よりもチーパオ服の方がえっちで好きだからです!ご感想お待ちしております。

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