2話 剣道具
新入部員が入ってから二週間ぐらいになった。経験者の子たちは稽古に慣れてきて、未経験の子たちはすり足がだいぶもたつかなくかった。未経験の子の剣道具が届いた。今日、部に業者の人が届けてくれた。胴着の着方とか防具のつけ方を教えないと。それと月末大会がある。予定表に書いてあったがすっかり忘れてた。まあ忘れててもそこまで問題ないが。そんなことを考えていると素振りが終わった。今日も相変わらず俺は面をつけないで未経験者の先生役だ。あ、その前に
「あのー女子でだれか野口と岡本に胴着のつけ方教えてやってほしいんですけど、だれか教えてくれませんかー」
「わかった。私やるよー」
「ありがとう宮前」
宮前が名乗り出てくれた。ありがたい。じゃあ俺は坂口に胴着の着方を教えないと。
「坂口、胴着と袴もって、一緒に部室来て」
「わかったっす」
俺は銅と垂を付けて坂口と男子部室に行った。
「ノックしないんすね」
「だれもいないから」
「それもそうっすね」
俺は部室の床に散乱しているものを足で端によけてスペースを作った
「じゃあまず胴着を着よう。上脱いで」
「わかったっす」
坂口が脱いでる間に俺は坂口が持ってきた袋から胴着を取り出し広げた。値札が付いてるな切ろう。坂口の胴着をハンガーにかけてハサミを探す。ハサミって部室にあったっけ?あ、竹刀の手入れ道具箱の中にあった気がする。
「脱ぎましたよ」
「ちょっと待ってて、値札切るから」
「自分でやりますよ」
そういって坂口は自分の胴着をもって値札のついてるひもを両手で持って気合を入れて引きちぎった。わーお脳筋。
「さ、坂口すごいね」
「いやこのくらい誰にでもでるっすよ」
「いやー、ちょっと俺にはその発想はなかったな」
坂口が首をかしげてこっちを見ている。ま、まあいいや気を取り直して。俺も実演するために胴と垂を外して床に置いて、今着てる胴着と袴を脱いでパンイチになった。
「何で脱いでるんすか」
「俺が着て見せた方がわかりやすいでしょ」
「そうっすね、お願いします」
「じゃあまずこんな感じに袖に腕を通して」
「こうっすか?」
「そうそうそんな感じ。前にひもが四本あるでしょ。それを内側から蝶結びで結んだらいい」
「わかったっすこれでいいっすか?」
「そう、それでいい胴着は簡単でしょ、じゃあ次は袴を出そう。こっちは結構難しいよ」
「はいっす」
そういって坂口は袋から袴を出して広げ、値札を発見してまた素手で引きちぎった。手痛くないのかな?
「それじゃあこうやって袴をまず左足から通して、次に右足を通す」
「わかったっす」
「そして前の長いひもがあるでしょ。それ前ひもっていって、それを一周半腰に回して後ろで蝶結びする」
「ん、うまくできないっす」
坂口は前ひもを一周半して方結びするところまではできてるがそこからができてない。まあ最初は結構難しいよな。
「今回は俺がやるから、帰ったら家で後ろで蝶結びする練習しといて」
「わかったっす」
俺は坂口の後ろに回って前ひもを蝶結びにした。
「それじゃあ次は後ろに垂れ下がってる固い台形の板あるでしょ。それ腰板って言って、それの内側に白いプラスティックの板がついてるでしょ。それをこんな風に蝶結びした前ひもと胴着の間に通して。」
「こうっすか?」
「できてるできてる。次はその腰板についてるひも、後ろひもをこうやって前に持ってきて、前ひもを巻き込んで方結びをして、後ろに回して腰板の裏に入れる」
「これでできてるっすか?」
「うん。出来てるそれで完成だ」
「そうっすか。山田先輩ありがとうございました」
「どういたしまして、じゃあ体育館に戻ろう」
そうして外した胴と垂を持って体育館に戻ったがまだ野口たちは袴に着替え終わってないようだ。その間に坂口に届けられた残りの剣道具を見ることにした。
「これが面っすか?」
「そうそれ、でそっちが胴これが垂、あ、そうだ先に垂に垂ネーム付けておこう」
「たれねーむ?」
「お前の名前と学校名が書いてある布あるだろ。それを垂につける」
「へー、そうなんすね。けどなんででかでかと名前書いてある布をつけるんすか」
「そりゃ、面付けたらかおなんてわかんないからでしょ」
「あー、そういう」
そういって坂口は垂に垂ネームをつけ始めたが少し苦戦して、二分くらいかけてやっと付けた。そうしているうちに女子も着替え終わったのか宮前がこっちに来た。
「野口さんたちの着替え終わったよ。山田君」
「ありがとう宮前」
「じゃあ私稽古戻るね」
そういって宮前は面をつけて小手面をやっているところに混ざっていった。
「じゃあ次は垂をつけよう。まず胴と垂を出そう」
防具袋の中から胴と垂を取り出して床に置いた。俺はさっき置いた垂をとって実演して見せる。
「まず垂はこうやって腰につけてひもを後ろに回してクロスさせて前に持ってきて前の名前の書いてある奴のしたで蝶結びにて、それを上に押し込んで隠す」
「こうですか」
「そうそうそんな感じ、他も大丈夫そうだね」
俺は胴をとって自分の胴体に押し付ける。
「胴はまずこうやって後ろにある上のひもを後ろでクロスさせて前に持ってくる。そうして両サイドの頂点に輪っかがあるから、それにひもを通してひもで輪っかを作ってひもの先端を胴についてる輪っかの後ろに通して、最後にひもで作った輪に輪を作りながら通したら完成」
「え、え、どうなっているんですか?」
野口が困惑した顔で聞いてくる。ほかの二人もそんな感じだ。まあ結構難しいからすぐ覚えるのは無理だろう。ひもの先端を引っ張って、ひもをほどいて、もう一回実演する。
「こう、こう、こうして、こう」
「え、え」
ゆっくりやってみたが相変わらずらしい
「ちょっといい」
「あ、はい」
一度断りを入れて、野口に同ひもが見えるようにゆっくり結ぶ。俺が自分の胴ひもをやっているのを見るより自分の胴ひもがむすばれてるのを見るのだと結構違ってくるから、こうして実演して見せる。坂口と岡本のもやったがなんとなくわかったのか、もう片方の胴ひもを不格好に結び始める
「よしそんな感じ。最後は一番下のひもを、後ろで蝶結びにするだけだ」
「わかりました」
こうして野口たちは胴着と袴を着て胴と垂をつけ終わった。まあこの一回で覚えることはないだろうから、これから何度か教えることになるだろうけど、一応今日はこれで終わりだ。つかれた。と思ったら野口が口を開いた。
「面はつけないんですか」
「面はまだ早いでしょ。そんないっぺんにやったら身につくものも身につかないし、まだ面つけ稽古は早いでしょ」
「そうですか。わかりました」
そうして防具をつけた後、いつも通りのk練習をして終わった。




