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来なかった友人

作者: 吉良 純

中2の時の実話なんだけどさ、転校というか元々住んでいた場所に戻ってきたのね。でも中学はほとんど知らない奴ばかりだったから緊張してたよね。新しい人間関係を構築できるか…とかね。


するとね、M君と言っておこうか。他のクラスの奴だったんだけどね、やたら俺に親身になってくれた子がいたのよ。「何かわからないことあったら、いつでも俺に聞いてこいよ。これからよろしくな!」みたいな感じでね。俺が東京から越して来たから興味があったのかな?ちょっとヤンチャっぽかったけどいい奴だと思ったよ。他のクラスの子だから、そんなべったりな関係じゃなかったけどね。



廊下ですれ違う度に、「よぅ」みたいに挨拶交わしてね。「学校慣れたか?」みたいに聞いてくれたのよ。「おかげ様で~」みたいな感じで返してね。




それから何度か挨拶交わした後M君が「今度◯◯(俺)の家に遊びに行っていい?」って聞いてきたんだけど、正直ためらったのよ。その時親が厳しくてファミコンとか全部取り上げられてて、遊具が無かったのね。あったのは将棋盤くらい(笑)。だから「俺の家に来ても、今本当に何もないよ?それでもいいの?」って返したのよ。したらM君が、「それでもいいから行きたい」って言ってくれたのね。「じゃあ今度家に来てや~」みたいな話になってさ。






でもM君は結局、俺の家に遊びに来る事は一度もなかった。








ある日突然、交通事故であっけなく死んじゃった。信号無視しちゃってさ。悲しみよりも驚きの方が強かったな。




ちょっと前に仕事中にぶっ倒れてね。救急搬送先で癌だと告げられて入院して、その時絶対外せない大きな仕事を受け持ってたんだけど3か月の休職でポシャるハメになってさ。家族や友人に八つ当たりして、結局仕事も人も失う事になって絶望してた時に、病室でふとそいつの事思い出したのよ。13年ちょいしか生きられなかった奴がすぐ近くにいたし、小児癌で俺なんかよりずっとずっと辛いのに懸命に生きてる子供達もいるんだよな~ってね。




だからどんなに辛いことがあっても精一杯生きようね、って話です。



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