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グルモン、ゲットだぜ!

 グルメモンスター。縮めてグルモン。空、草原、山脈、砂漠、雪原、海、あらゆる場所に生息し、人々と支えあいながら世界に生きるモンスター。主人公はグルモンとともに旅をしチャンピオンを目指す。そんな大人気なゲームシリーズがある。そして最近、グルモンシリーズの新たな作品が発売した。その名も『グルメモンスターライス』『グルメモンスターブレッド』である。

「みなさんこんばんは~。あなたを導くダークプリースト、琴吹あやめです。今回は先日発売したばかりのグルメモンスターライスをやっていきたいと思います」


:はーい

:かっこいい声ですね好きになりました

:グルモンは沼やぞ

:あやめさんはグルモンシリーズでプレイしたことあるものはありますか?


「実は私グルモンシリーズは初めてでして、タイプ相性とかもよくわかっていないんですよ」

 グルモンにはそれぞれ炎、水、草などタイプがある。タイプにも相性があり、例えば炎は水に弱いが草には強い、などがある。グルモンバトルはタイプ相性で決まるといっても過言ではない。

「一緒にやる友達もいなかったですからね……あははははは。さーてと、プレイスタート!」

 プレイ画面を開くとさっそく様々なグルモンたちの姿が現れた。

 空には鳥もようなグルモンが飛び回り、海では大量の小さな魚のグルモンたちが群れを成して泳いでいる。地上では人とグルモンがともに豊かに暮らしていた。

「うわすご、画面めっちゃきれいじゃん」

 ゲームというのは日々進化しており、当然グラフィックも進化している。特に人気作であるグルモンシリーズの気合の入りようは尋常ではなかった。

「『グルメモンスターライスの世界へようこそ。まずは主人公を選択してください』えっ⁉ 今のゲームってこんなに選べるの⁉」

 目や髪型から眉毛まで、その選択肢はとんでもなかった。これなら自分に似た姿の主人公も作れそうだ。

「いっぱいあるんですねー。じゃあ、これとこれとこれと…………私、こんなかわいいキャラ使っていいのかな……」


:へ?

:なんでそうなるんや

:あやめさーん?


「一番似てるのはこれなんですよね。でも私はこんな純粋無垢できらきらしてない。これじゃあ集中してゲームができない。せめて……せめてもう一工夫ほしい!」

 そうしてできたのは目にハイライトがない、子供にして社会の闇を見てきたかのような顔の少女だった。


:夢も希望もなさそう

:始まる前から闇落ちしとるやん

:今から冒険するとは思えん顔やな

:目が合ってもバトル挑まれなさそう


「いやいや、きっとこの子も内心うきうきしてますって! ……さて、名前の入力も済んだし、初めてのグルモン、やっていきたいと思います!」

 最初に出てきたのは主人公の家だろうか。主人公とその母親がせっせと大きな荷物を運んでいた。どうやら引っ越しの最中のようだ。

「『ふぅ。だんだん終わりが見えてきたわね。…………あら、もうこんな時間! アヤメー! ちょっと来てくれなーい?』え、お母さんちょう美人じゃないですか⁉」

 母親に呼ばれ主人公─アヤメが階段を下りてきた。

「『アヤメ、自分の部屋の分は終わった?』」

『もう少し

   ・

 終わった←』

「『まあ! もう終わったの? さすが私の子ね。……アヤメ、そろそろミラク博士との約束の時間じゃない?  残りはお母さんがやっておくから行ってきなさい』……ねえみんな、一つ気になったんだけどお父さんってどこにいるんだろう…………あんまり触れないでおくか」

 主人公の父親が登場しないのはグルモンあるあるだ。

 主人公の操作が可能になった。さっそくそのミラク博士という人に会いに行こう。


「よーし、到着!」

 ミラク博士の研究所は同じ村にあったのですぐについた。

「なんというか……奇抜なデザインですね」

 研究所は様々なグルモンがデザインされており、周りの家と相まって、かなり浮いていた。

「『おお、きみがアヤメ君だね!』うわっ、なんかいかにもな人が出てきた」

 ミラク博士の容姿はザ・博士といった印象だった。白髪まじりの少しぼさぼさの髪、口元のしわ、少し低めの伸長をした男性だった。

「『こうして実際会うのは初めてかな。僕がアクセル地方のグルモン博士、ミラクだ。以後お見知りおきを』」

そう言うと博士はアヤメに向かってお辞儀をした。

主『よろしく……←

   ・

  よろしくお願いします!』

「う~んまた選択肢。ま、まあ私だったらこっちかな……」

 ここは迷わず上を選択。

「『あれ、僕声大きかったかな? すまない驚かせてしまったか』くっ、対応が大人……。『そうそう、きみ以外にあと二人グルモンを渡す子がいるんだよ』」

 少し泣いた。こう優しくされると自分が悲しくなる。


:あやめさん……

:こ、これくらい誰にでもあるから!

:博士めっちゃポジティブだな


「もーうるさいなー。いいから進めるよ!」

「『失礼します』」

 噂をすればなんとやら。クールそうな青髪の少年が研究所に入ってきた。

「『おお、きみがアディル君かな?』なんかかっこいい男の子が来ましたね。……『お、遅れてすみませんでした~!』」

 さらに続いて眼鏡をかけた少女が現れた。

「『ハハハ、ムジカ君は時間ぴったりだから謝らなくていいんだよ。アヤメ君、アディル君こ、この子が最後の一人ムジカ君だ』『ムジカです。よろしくお願いします』『さーてと、三人集まったことだし、さっそく始めようか。……みんな出ておいで!』」

ミラク博士はそういうと三つのモンスターボックスを投げた。

「『順に紹介しようか。まず鶏肉グルモンのチッキン』」

『ピーチキ!』

「『天然水グルモンのスイムン』」

『…………』

「『キャベツグルモンのキャベッツ』」

『キャベキャベキャベキャベ』

「『さあ!三匹も中から選んでくれ!』」




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