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#006
男は、闇夜に笑った。
「……ふぃ」
風の切れ間に赤黒い血液を垂らす。腐敗の臭いが辺りに充満し、男の全身に満たす感覚を与える。
「……ふぃひひひひひひひひひひひひぎいいぃ」
声帯を潰された声が不気味な音色を奏でる。右手に構えた大きな「それ」を、天に掲げて、笑う。
「づぎきぎが」
不明な言葉の羅列は、やがて輪郭を伴い、男の感情を表すモノと変化する。腐った血の滾りは、空気に伝染していく。
――インベイド!響く足踏みと咆哮――デストロイ!始まる絶望と、崩壊――リピート!
その言葉に、「電気羊」は共鳴し、「死んだ羊」は共感する。