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雑談集『◼️』  作者: ∀Z
思考
7/70

音ゲー学概論 音ゲーにおける「癖」とは

 何でもかんでも癖と言ってしまう癖に関して切り込んだ癖の強い雑談。音ゲーにおける「癖」とは。

序文


 音ゲーのプレイヤーが記述や発言をする際に、癖という単語を用いている光景を度々目にする。

 かなり一般的に使われており浸透しつつある表現ではあるが、実はピンときておらず流していたり誤解して用いていたりする方も多いように思う。

 また癖という表現を知って間もない方であれば「癖が付くって言うけど、譜面認識が不十分で押せてないだけやん。この表現いらんやろ」等の指摘や疑問が浮かぶかもしれない。


 ということで、音ゲーにおける「癖」と関連項目について雑談したい。

 音ゲーの核心にも触れる本項は随所で話題にされている気がする為、本雑談集らしく幅広い応用が利く形で認めておく。




一般的用法と音ゲー的用法


 そもそも癖という単語はどのような意味合いを持つのか。

 ザックリ纏めると以下のようになる。是非各々でも調べて見て欲しい。

「1.無意識に出てしまう偏った好みや傾向。生物が無意識又は特に意識せずに取る、習慣化してしまっているあまり好ましくない言行。

 2.習慣。ならわし。

 3.一般的ではないその事物特有の性質や傾向。」


 日常生活における一般的な癖という表現は「観測者の主観的基準からのズレ」に重きが置かれている。

 その場にいる集団の構成員にとって異質ならば、一般的な行動でも癖という表現は用いられる。

 例えば、場の全員がラーメン二郎に脳と舌を侵食され捧げていたら、味の好みが一般的な個体に対して「あいつアッサリな店選ぶ癖あるよな」と発言したりする。

 また適切に思考を重ねれば辿り着ける発想に基づいた発言も、大衆の直感的結論にそぐわなければ癖が強いと感情的に忌避される。

 大衆の無思考の模倣性が、癖という概念においてもシッカリと反映されている。


 一方で、音ゲーにおける「癖」という表現は「観測者の無意識性」に重きが置かれている。

 自分が何かミスしている時に、似たようなミスを数多のプレイヤーが経験していたとしても、自分自身が何が原因なのか分かっていなければ「癖」と表現することがある。


 つまり、音ゲーにおける「癖」という概念は、一般的な癖とは根底に根差す思想が少し違うということである。

 一応補足しておくと、勿論日常生活においても、爪を噛む等の行為を指摘する時に癖という表現は用いられる。

 しかし指摘の意図の中心は、行動の無意識性よりも悪目立ちしていることにある。そちらに重きを置いている。




「癖」の正体


 癖という単語については押さえたので、ここから音ゲーに関する雑談をしてゆく。


 音ゲーを上達する上で、自分が当たり前に捌ける配置を増やすことは重要である。

 様々な楽曲で数多の経験を積む事で、最初は歯が立たなかった配置も、偶に上手く対応出来るようになり、自分なりのコツやポイントを見つけて徐々に成功率が上がり、最後には突然流れてきても当然のように処理出来るようになってゆく。


 上記の過程を別の言い方にすると、行動を習慣化し反射的に出来るようにするということである。

 行動の習慣化は、頻繁に取る行動の効率を上げる為に有用である。しかし一度形成された物を修正することは困難である。脳科学のお話。


 音ゲーを遊んでいると行動の習慣化は数多の項目で遂行されてゆく。

 意識的にも無意識的にも形成されるそれらを全て制御して上達出来るプレイヤーがいたら、人間の域にいないか「才能」を持っていると言えよう。

 つまり、自分にとって好ましくない形で習慣化されてしまうこともある、ということである。


 これが「癖」の正体である。




 以上の思考に基づいた正確な定義を雑談しておく。

 音ゲーにおける「癖」とは

『上達の過程で生じた自己にとって不利益な結果をもたらす無意識領域の習慣化した行動』

である。


 安定的に出来ていたことが急に出来なくなる等の違和感を持つ結果によって可視化した物を「癖」と呼び、解決に奔走したり一旦諦めたりする。

 また自分にとって有益に働く無意識領域の行動も存在するが、それは「癖」とは表現しないプレイヤーが多い。


 高難易度を下手な内からやり過ぎると癖が付くから推奨しないというアドバイスを耳にしたことがある方も多いかもしれない。

 これは高難易度をやるなという意味ではない。勿論自分の適性より上の難易度を選曲することは成長する上で必要ではある。そのやり方やバランスに気を付けよというのがアドバイスの本質である。

 上の難易度を、明確に課題を意識しながらやり込むことには意味がある。

 しかしあまり何も考えずに、もしくは考える余裕が無い実力で、過度に執着して連奏すると、不可視の「癖」が付いてしまう。

 それが自分で実感出来るのは、いざ実力が適正になってからその曲を遊び「癖」による悪影響を受けた時なのである。

 そうなったら苦労するということを実体験を経てから気が付いたプレイヤーが、過去の無知な自分に声を掛けるかの如くアドバイスをする。




誤解される原因


 さて「癖」という表現や概念が音ゲーの根幹に関わり、必要であることは分かって貰えたと思う。

 しかし妙に毛嫌いされていたり不必要という結論を安易に出されたりしてしまう。

 恐らくその一因は、大衆プレイヤーの誤用である。


 大衆社会では、特定の単語が大衆にとってよく分からない事物を雑に詰め込んで表現するだけの便利フレーズに成り下がってしまうことが度々ある。例えば常識とか才能とか。

 原因は、言葉の定義やそこに根差している思考を辿る事なく、他者が使っている様子を見て何となく利用しているから。

 大衆の無思考の模倣性がいつも通り遺憾無く発揮されているが故の現象である。


 今回の癖の場合は以下のような誤用が存在する。

 偶然事象を過大評価し過ぎていて、元々出来ていないだけなのに癖が付いたと言う。それは単純な実力不足。

 自分で気が付いている具体的原因が幾つも存在するのに癖のせいだと言う。それは自分に課題があるだけの単純な努力不足。

 また癖が付いたら放置すると録音されたように発言する大衆プレイヤーも多いが、そもそも癖によるミスはもう一歩解析すべき物である。

 どうしても分からない場合は、仕方がないから放置して再度出来るようになるのを待つ。戻った時に何が変わったのかを考察する為である。

 その思考を辿らずに放置するのは単純な運任せと変わらない。


 プレイヤー全体を見れば当然割合は大衆プレイヤーが多い。俗に言う音ゲー界隈に属しているプレイヤーは大体こちらである。

 そこで乱用されている様を見て、違和感を覚えたり騙されたりして、単語や概念その物に悪印象を抱いてしまう。


 序文に例示した指摘が大衆に対するものであれば、多少は正解と言える。




「癖」の種類


 ここからは具体的な「癖」に関する雑談をしてゆく。


 そもそも音ゲーを遊ぶという行為は、主に次のステップから成り立っている。勿論相互に影響を及ぼしている。詳細は後日の別雑談に任せる。

「1.判定把握

 2.譜面認識

 3.精密動作

 4.正常出力」

 ここで大切なのは、「癖」は上記の全ステップで発生する可能性がある点である。

 例えばイップスは、諸説あるが3や4に起因する「癖」である。

 譜面認識が狂って押せないというのは2に関する物で、つまり「癖」の一部に過ぎない。従って序文に例示した指摘は不正確なのである。


 上記の具体的な種類を明確に言語化して知っておくと、考察の的を絞ることが出来る。

 例えばある楽曲の単なるトリルが急に出来なくなってしまったとしよう。

 原因に心当たりは無い。無意識の行動が悪さをしているかも。

 そういう時はまず事実として生じている結果を観察する。判定を注視、動画撮影、手に伝わる感触をメモる、誰かに頼んで確認して貰う、何でも良い。

 今回は動画撮影をして判定という確定結果を確認することにする。

 入りから全てズレているなら1、途中から徐々にズレているなら3、判定が変な感じで押す場所が変なら2、その楽曲の前半で崩れた時は綺麗に通っているなら4、が直接的原因の種類である。

 等々の考察を経て問題の的を絞った上で、改めて自分の色々な場面でのplayを観察すると、無意識領域の問題の実状が以前よりは明確になる。

 今回は入りのノーツの判定把握が狂っているかもと思っていたが、実は身体を動かす機会の減少や老化によって筋力が落ちており緊張すると昔よりも過度に猫背になる「癖」が付いていた。その為無意識の内に自分自身とデバイスの距離が変化してしまい今までと同じタイミングかつ速度で処理しようとすると判定が変わってしまっていた。

 もしシッカリと発見出来たならば、それは癖ではなく克服すべき課題となり、成長のキッカケとなる。

 もし全然分からなかったら、もう一度出来るまで放置するしかない。諦めも肝心。そして自然と出来るようになった時に、その自分を通して原因を考察する。




跋文


 如何であったか。

 音ゲー的「癖」というのは『上達の過程で生じた自己にとって不利益な結果をもたらす無意識領域の習慣化した行動』のことで、日常生活における癖とは重きを置く要素が異なる。


 序文の「癖が付くって言うけど、譜面認識が不十分で押せてないだけやん。この表現いらんやろ」という指摘に対する回答は、『譜面認識が不十分で押せていないとプレイヤー自身が気付けているならば、それは癖ではなく克服すべき課題に過ぎない。指摘者は大衆プレイヤーの誤用に騙されている。更に、「癖」は譜面認識以外の領域においても発生する概念で、音ゲーを上達する過程で可視化されるか否かを問わなければ数多発生している。「癖」が付くという表現は、特に重度な不利益をもたらす「癖」が可視化した際に適切な表現なので必要である』となる。

 上記のような指摘を安易に断定系で発信すると、大衆が鵜呑みにして更に誤解が連鎖してゆく。

 そういう発信をしている者の中に実力が多少ある個体が混じっているのを見ると、呆れて哀しくなる。こんなことも考えていないのに上手くなれちゃうなんて、余程運が良く恵まれた個体なんだなあ。運については別の雑談を参考にして欲しい。

 発言者のプレイ年数や実力は、あくまでも発言内容のオマケである。どんなことでも、まずは内容だけでフラットに考察しようと試みて欲しい。

 勿論本雑談もである。鵜呑みにして欲しいとは思っていないし、何一つ間違いが無いとも思っていない。


 一見厄介そうに見える「癖」ではあるが、これから上手くなっていく発展途上の貴方が、今「癖」が付いていると感じている場合は悲観し過ぎなくても良い。

 それは貴方の成長の余地なのであるから。

 是非そこを深掘りしてみて欲しい。


 皆様が楽しい音ゲーライフを送れることを祈っている。




オマケ


 最後だけ読んでくれた貴方も、最後まで読んで下さった読者の方も、本当に有難う。

 やはり読んで貰えると嬉しい。


 本雑談は、随所に具体例を添えて分かり易く仕上げたつもりである。個人的には少し冗長な気がしている。

 オマケでは、具体例としての採用を検討していた僕自身の癖と「癖」の話と、本雑談の裏話を添える。

 内容が気になる方や、本雑談が楽しめたという方や、雑談部屋を応援してくれる方は、もし宜しければ!

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