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オリンピックに向かい、そして

 偶に家に来るようになったマスコミに、母は空港で言っていた事だけを話していた。


 パラリンピックが終わり1年が過ぎた頃、陽子さんから電話があって


「次は日本でオリンピックが開催されると言う事とマスコミが力を貸してくれた事で、

 歩さんのオリンピックの出場を世界陸上会が認めた。

 後は歩さんがオリンピック出場の選考レースで、結果を出すだけだから頑張って」と、言っていた事を母に聞かされ、涙を流した。



 その日から一か月が過ぎた頃に、母から


「パラリンピックのタイムが悪かったのは、どうしてだと思う」


「パラリンピックは夏の大会で、凄く熱くて体が思うように動かなかったからだと思う」


 母は真面目な顔をしながら


「分かってるんじゃない。来年の4月に沖縄の波照間島に行く事にしたから。

 波照間島で中学校の教師の仕事が決まったから、歩も大学に休学届けを出しなさい」と言われて、


 私は驚きながら「どうして」と、聞くと


「ここは夏でも涼しいでしょう、だから冬でも暖かい沖縄で鍛え直すのよ。

 オリンピックは夏の大会だからね。

 それから大学は必ず卒業して教員免許を取るのよ。だから大学には休学届けを提出して、また戻れる様にしとかないとね」と言われ、3年後のオリンピックに向けて沖縄の八重山諸島にある波照間島に行く事になった。


沖縄に行く一か月前に、久しぶりに春菜さんのケータイ電話に電話を掛けると「この電話は、現在使われておりません」と言うアナウンスが流れて、 何か有ったのかなと思いながら春菜さんの家に電話を掛けた。


電話を掛けると春菜さんのお母さんが出て、


私が「春菜さんは、いますか」と聞くと、


「少し待っていてね」と言って、春菜さんを呼びに行った。


 少し時間がたって、お母さんが電話に出て


「ごめんなさい。今、居ないみたいなの。

何か伝える事が合ったら、私が聞いておくけど」


「一カ月後に沖縄縄の波照間島に行く事に為ったのですが、行く前に一度合えないですかと、お伝え下さい」と話して、電話を切った。



 二日後に春菜さんのお母さんから電話が掛かって来て


「沖縄に行く前に、もし良かったら1日だけでも泊まって行って」と言ってくれて、沖縄に行く前に泊めてもらう事にした。


 私は久しぶりに会う春菜さんとの事を楽しみにして、その事を母に話し、


 母は、私より1日早く沖縄に行く事になった。


 春菜さんに合う日に、羽田空港に着いて電車の時刻表を見てから春菜さんの家に電話を掛けると、


 春菜さんのお母さんが出たので「4時頃に駅に着きます。家の場所は分かりますので、ちょくせつ家に行きますので宜しくお願いします。」と言い、電話を切って電車に乗った。


 駅に着くと、車椅子に座っている春菜さんと車椅子を押している春菜さんのお母さんの姿が見えて、


 私に気づいたお母さんが春菜さんが乗っている車椅子を押しながら近づいて来た。


 私はその姿を見て涙を堪え、笑顔を作りながら「春菜さん」と声を出して、手を振った。


 春菜さんが笑顔で「ひさ・し・ぶり・だね。」と話ずらそうに、とぎれとぎれの言葉になりながら声をかけてくれ、その言葉を聞いて、私が涙をこらいきれずに泣いていると、


 春菜さんが「なか・ないで」と言って、ゆっくりと時間を掛けながらふるえた手で、私の手を取ってくれた。


 春菜さんのお母さんが、必死で涙を堪えながら「行きましょうか」と言って、家に向かった。


家に着くと、春菜さんが


「すこ・し・つか・れた・から、へや・に・いっ・て・いい」と、私に言ってきた。


 私が「うん。私も一緒に行ってもいい」と聞くと、春菜さんは、笑顔で頷き「いい・よ」と言って、


 ゆっくりと車椅子から立ち上がり、お母さんに助けられながら部屋に向かった。


 部屋に入って、春菜さんはベットに座り、私はテーブルの横に置いていた椅子を動かしてベットの前に置き、座った。


 春菜さんとパラリンピックで出会った純子さんの事やアリスの事、沖縄の波照間島に行く事などを話していると、


 春菜さんのお母さんが「食事の準備が、出来たわよ」と言いに来てくれ、二人でベットの上に掛けている時計を見て、


 私が「もう、こんな時間」と言い、2人で笑って、私が春菜さんの腕を持ち、ゆっくりと歩いてリビングに向かった。


 リビングに行くと春菜さんのお父さんとお兄さんがいて、春菜さんが笑いながら


「きょう・は・はやい・のね・あゆむ・さん・が・きて・る・から」と話すと、お父さんが笑顔で


「そうだよ、悪いか」と言って、みんなで笑った。


 食事をしながら、私のパラリンピックでの事などを話して、ゆっくり食事をして、春菜さんの部屋に戻った。


 部屋に入り春菜さんはベットに座り、私が椅子に座ると、


 春菜さんが声を震わせながら涙を流して


「じつ・は、がつ・こう・を、やめ・たの。

 もう・す・ぐ、そつ・ぎょう・だっ・た・けど」と話し、


 私が涙を堪えながら「そうだったんだ」と言うと、


 春菜さんは涙をふき取り、笑顔を作って


「でも、あゆ・む・と、とも・だち・で・よか・った。

きょう・は、ひさし・ぶり・に、すご・く・たのし・かっ・た。おう・えん・して・る・から、がん・ばって・ね。」と話してくれ、私は涙を堪えきれずに、「うん。」と答えた。

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