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いい加減な医者

 母は釧路に帰り、

 私と優はお昼頃に成田に着き、空港で食事を済ませて2時過ぎに春菜さんの家に着いた。



 リビングで春菜さんのお母さんにコーヒーを入れてもらい、4人で飲み始めた。


 私は鞄からメダルを取出し、春菜さんに手渡して「パラリンピックの金メダル」と言って、ほほ笑んだ。


 春菜さんは両手でメダルを受け取り、メダルを見ながら真剣な眼差しで「凄いね、これが金メダル。今度はオリンピックの金メダルだね。」と言い、私と優を見ながらほほ笑んだ。


 笑いながら優が「絶対、私が取るからね。」と言って来たので、


 ほほ笑みながら「私だよ」と言い換えし、みんなで笑った。


 春菜さんのお母さんが、優に「体調の方は大丈夫なの」と聞き、


 優が、珍しく真面目な顔をして「本当にありがとうございました。おかげ様で完治しました」と言って、頭を下げた。


 私が「何か合ったの」と聞くと、優が骨折した時の事を話しはじめた。


「私が静岡でオリンピックに向けて高地トレーニングを始めて三日目の夜に少し左足の甲が痛くなったのだけど、たいして痛くなかったから大丈夫だと思って翌朝から練習をはじめて10分位走っていたら急に激痛が走って、転んで左わき腹を強く打って起き上がれなくなってしまい、練習を見て貰っていた母に車で近くの病院に連れて行ってもらったの。

 病院に着いて、診察室に入って医者に「どうしたのですか」と聞かれたから、


「昨日の夜から少し左足の甲が痛くて、今日、朝から走っていたら急に左足の甲に激痛が走って転んで左わき腹を強く打ちました」と言ったら、医者に


「左足の甲を見せてください」と言われて、見せると、少し左足の甲を見たり触ったりして

「息をしたら脇のあたりは痛みますか」と、聞かれたから


「少し痛みます」


「足のレントゲンは撮りましょう。肋骨は折れていてもレントゲンに写らない事があるのでレントゲンを撮らなくてもいいでしょう。肋骨は折れていたとしても、何もしなくても自然に治るから」って言われて、


「心配だから肋骨もレントゲンを撮って貰えないですか」と言ったら、


 その医者が私の目を見ながら横柄な態度をとって、大きな声で


「肋骨はレントゲンを撮っても、分からないから撮らない」って、高圧的な態度と口調で言ってきて、


 私は驚き、何も言えなくなって諦めたの」と優の話を聞いて、私は思わず


「凄い、医者だね」と、言った。



 優は頷きながら


「足の甲が骨折していたのだけど、医者が


「何もしなくても足も肋骨も自然に治るから一週間後に診察しますので、また来てください」って言ってきて、本当に大丈夫かなと思いながら、


「東京から来ていて、明日東京に帰る予定なのです」って言ったら医者が


「それでしたら近くの病院に紹介状を書くので、よく行く病院があったら教えて」と言ってきて、


 私は少し考え、家の近くで一番大きな「赤日病院」って言ったの。そしたら医者が腕を組みなが


「赤日病院は大きな病院だから直に予約はとれないと思う。待合室で少し待っていてください」と言われて、待合室で少し待っていると看護師さんが来て


「今日中に予約を入れるようにしますので、もう少し待っていただけますか」と言われて、かなりの時間待たされて紹介状を書いて貰い2日後に予約を入れて貰って、赤日病院に行く事になったの。

 赤日病院に行って1階で保険所を見せると、2階の整形外科受付に予約表を持って行くように言われて、予約表に9時30分から10時と書いていたので9時前に行って待っていたの。

 12時になっても呼ばれなくて私の後から来ていた人が私より先に呼ばれて、あまりに遅いしおかしいと思って受付の人に待ち時間がどうなっているのかを聞いたの。そしたら受付の人に


「予約表に表示している9時30分から10時は病院に来てもらう時間で、診察の時間ではないのでもう少しお待ちください」と言われて、

 予約表を見ても予約時間としか書いて無くて少し腹が立ったけど、大きな病院で良い先生に見て貰うのだから仕方がないと思って待っていると13時30分過ぎにようやく名前を呼ばれて病室に入ると、

 患者さんが多かったせいなのか少し疲れた様子をしていた先生がいて、紹介状を見ながら


「左足の甲の骨が折れているのですね。もう一度レントゲンを撮りましょう」と言われたから、私は


「転んだ時に左わき腹を強く打って、わき腹も痛いのでレントゲンを取って貰えませんか」と言って、レントゲンを撮って見て貰ったの。

 

そしたら「肋骨が、一本折れています」って言われて、前の医者と同じで


「足も肋骨も治療法は無く安静にしていたら自然に治るので、あまり動かないようにしてください」と、めんどくさそうに言われて、


 本当に大丈夫かなと心配になって、春菜さんに電話を掛け、東極大学病院の整形外科の先生に見て貰ったの。



 東極大学病院ではそんなに待たされずに、ほぼ予約時間に呼ばれてレントゲンもいろいろな角度から何枚も撮って貰って肋骨が2本折れている事が分かって、

 足はきちんと添え木してもらい、肋骨はコルセットをしてもらって、綺麗に骨がつながったから、いろいろ腹の立つ事が合ったけど春菜さんのおかげで助かりました」


と話し終えると、優は笑いながら、もう一度、頭をさげた。


春菜さんのお母さんが、


「赤日病院は東極大学病院の系列病院で、2年位前に整形外科の評判が悪くて整形外科の医者を入れ替えたって聞いていたのだけど、まだそんな先生がいるのだね」と、険しい顔をしながら言い、

「私の考えだけど、大学病院の教授や准教授、大きな病院の部長クラスの先生は患者さんには優しく接していくべきであって、自分の下で働いている先生にはなにか間違いがあったらいけないので厳しく接していくべきだと思うの。

 外来で働いている先生は、外来患者、手術、研究、上からの圧力なんかがあって、忙しくていい加減になってしまう人もいると思う。

 だけどその中できちんと患者さんと向き合える先生が、上に立つ医者になって行くべきだと思うよ」と、少しやわらいだ表情で話してくれた。



 春菜さんのお母さんが、時計を見て「そろそろ夕食の、用意をするね。」と言って席を立ち、


 私達は春菜さんの部屋に行き、話をはじめた。


 優が、


「今回の事で病院の事とかをネットでいろいろと調べたんだけど、春菜さんのお父さんって凄い人なのだね。

 春菜さんも国立の医学部に入るなんて凄いね。

 日本で一番難しい大学が東極大学で、国立大学の医学部を合格する人が3000人位で人気のある学部だから、かなり難しいのだよね。私なんか逆立ちしても無理だよ」と、笑いながら言った。



 春菜さんが笑いながら


「よく言うよ。オリンピックでメダルを取る方がよっぽど凄いよ」と言い、ため息をつき


「本当は東極大学の医学部に入りたかったのだけどね、だけど国立大学の医学部に合格する事ができて良かったと思う。

 昔、父に『地方の大学には行きたく無い』って言った事があって、その時父に


「地方の大学病院にも素晴らしい先生は大勢いている。国境はいらない医師団の代表の先生は女性の先生で、九州市立大学病院の小児外科の教授を断って世界中を飛び回っているし、大学病院の医局に入っていなくても、大きな病院の部長を任されている先生もいている。

 東極大学病院でも落ちこぼれもいるし、地方の大学にも優秀な先生は沢山いる。

 大学に合格してからも努力をし続けているかが大事なのだ。もちろん、医者になってからも努力をし続けて行かないと駄目だけどな。」と、言われた事があって」と、下を向きながら


「今思うと、あの時本当に情けない事を言ったと思う。

 走る事が好きで勉強が嫌いで、父に無理やりさせられていたけど今は勉強をしていて良かったと思う。   

 勉強やスポーツ、音楽や芸術、どんな物事でも努力しても努力をしても、すぐには決河が出ない人の方が多いと思うけど、それでも努力し続けて決河を出す人もいているし諦めてしまう人も大勢いていると思う。

 でも次の何かに向かい進む時に、前に努力をした事を克てとして、きっと頑張れるんじゃないかな。

だから私はマラソンを諦めたけど、りっぱな医者になるからね」と話してくれて、笑顔になった。


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