戦いへ
「今、スタートしました。
山中さんは、今回の注目選手をどう見ていますか。」
「やはり、前回のロンドンオリンピック金メダリストのエレーナ選手、三位の小野選手、五位のゲラーニ選手に注目しています。」
「そうですね。
ものすごい顔ぶれですが、川上選手もメダルには届きませんでしたが4位と健闘し、注目の選手ですよね。そして、残念ながら前回のオリンピックには出場出来ませんでしたが、前回の世界陸三位の井上選手もいています。」
「本当に凄い顔ぶれですね。前回のオリンピック8位、世界陸上3位の井上選手は、今回の成績しだいで引退すると言っていますので、今回のレースにかける意気込みは凄いと思います。」
「まだ36歳と若いのに、あと2,3年は頑張ってもらいたいですが。」
「なかなか、しんどいですよ。私も35歳で引退しましたので。小野選手や川上選手は、まだまだ現役で走れますし。それに、若い選手も育ってきていますよ。」
「そうですね。日本人選手、これからも楽しみです。」
「現在5キロ地点を先頭集団が通過しました。かなり早いペースです。
先頭集団を引っ張っているのは、やはりエレーナ選手、18人が付いて行っています。
井上選手は少し遅れていますね、5メートル位ですか、山中さん。」
「そうですね。ペースが速すぎるので、自分のペースで走っているのだと思います。時計を何度も見ていましたし、ベテランの井上さんらしい、走りだと思います。腕もふれていますので、大丈夫でしょう。」
[今日、風はほとんど吹いていません、気温は15度位まで上がるみたいですが、かなり早いペースで走っていますね。」
「おそらくペースは落ちてくると思います。むりをしないで、自分のペースで走ってほしいですね。」
[まもなく9キロ地点を過ぎ、10キロ地点にかかろうとしています。先頭集団がばらけだし、8人になりました。井上選手は先頭集団から5メートルの位置についております。
先頭集団をひっぱっているのはエレーナ選手、日本人選手は先頭集団の中に5人、エレーナ選手の後ろに小野選手、川上選手、山中優選手、松本選手、それからゼッケン18番の・・・中谷歩選手ですね。日本人選手、頑張っていますよね。」
「そうですね。かなりタイムが速いと思いますが、検討して付いて行っています。
ゲラーニ選手も着いていますね。それからセレナ選手です。本当に凄いレースになりそうですね。」
「現在の気温は10度、1キロ3分1・5秒とゆう、もの凄く早いペースで走っております。
井上選手も、先頭集団から5メートルの位置について、すぐ後ろにノアノア選手、その後ろの第2集団は150メートル位離れてきています。」
「前半ペースが速く、後半にかげて気温も上がってくるのでペースは落ちてくると思います。
日本人選手みなさん腕の振りもいいので、頑張って付いて行ってほしいですね。」
「まもなく11キロ地点を通過します。ここでCMに入ります。」と言うと、
森直樹は慌ててスタッフに「中谷歩の資料をくれないか。」と言い、資料を受け取り、目をとうした。
「ただいま先頭集団は14キロ地点をぬけ、まもなく15キロ地点に入る所です。先頭集団は、いぜん8人、エレーナ選手、セレナ選手、ゲラーニ選手そして、日本人選手5人、ケニアのゲラーニ選手も頑張っています。ゲラーニ選手ですが、ケニアから日本の大学に入り2年、すごい選手になりそうですね。」
「そうですね。去年の富士山女子駅伝3区で区間賞とり、力をつけている選手の一人です。」
「おや、小野選手が先頭集団から放れ、5メートル後ろの井上選手、ノアノア選手と走っています。
まもなく折り返し地点が見えてきて、19キロ地点を過ぎました。
川上選手も遅れ出しましたが、小野選手、井上選手、ノアノア選手の位置で持ち直し、並んで走っています。」
「先頭集団は、このままいけば世界新とゆう、凄いペースで走っているので、無理をせずペースを落としたのでしょう。ただ、5メートル後ろでも、きつい走りだと思います。」
「いま、先頭集団が折り返し地点を、通過しました。
先頭集団は6人、日本人選手は松本春菜、山中優、中谷歩、先頭集団から少し遅れて、小野、井上、川上とつづいております。
中谷歩選手は去年の十一月、3か月前の札幌のハーフマラソンに出場し、優勝をしてこのレースに参加。18歳で初マラソン、山中優と同じ年での、同じ、初マラソンです。そして松本春菜19歳と十代の3人の日本人選手が先頭集団に入っており、おそらく誰も予想していなかった展開になっています。