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今、明らかに

「昔、山中陽子と中谷春香が大阪女子国際マラソンで戦った事を覚えてるか。」と言って、2人の顔を見た。


 野口は頷きながら「もちろんや」と言い。細い男は

「俺のガキの頃の事やろ。あんまり知らんわ。」と言ってきた。


 俺は「そうか、まあええわ」と言い、話の続きを話しはじめた。


「昔サンフランシスコオリンピックの選考レースがあってな、大阪女子国際マラソンでオリンピックの代表になるために山中陽子と中谷春香が戦ったんや。

 その時俺は役所で働いとって、その大会の35キロ地点の給水ポイントで選手のドリンクを並べる仕事をする事になったんや。

 当時、山中か中谷が優勝するって言われとって、俺は山中陽子の大ファンやったから中谷春香のドリンクの中に筋肉増強剤を入れたったんや。面しろかったわ、見事にドーピング検査に引っかかって」と話すと


 細い男が「どうやって入れたんや」と聞いてきたので


「当時、俺は信用あったし、粉錠の薬やったからいつでも入れれたわ。

 今やったら多分無理やと思うけど、でも怖なって2か月後に仕事辞めたけど後悔はしてない。

 山中陽子が繰り上げで、優勝したからな。

 今はネット通販の仕事を自分でやってるし、野口さんの言ってた事良う分かるわ。

 値段の高い商品の注文が入ったらちゃんと送るけど、1000円までの商品の注文やったら金振り込まれても送らへん。

 送料をふくめても2000円いけへんから警察に行かれても、たぶん警察ではめんどくさがって相手にされへんやろう。

 ネットで批判を書かれたら商売になれへんから、うるさい客には遅くなって申し訳ございません。と言う丁寧な謝罪文を書いて商品におまけを付け送るんや。そしたら喜んでネットに批判を書いとっても消しよるわ。」と話し、


 野口が

「お前、小さいけど悪い事いっぱいやってるな」と言って来て、暴露大会が終わった。



 翌日、細い男は拘置所に移され野口と2人になった。


 野口が取り調べを終えて夕方戻ってくると

「わしは明日、保釈で出るから」と話しかけてきた。


「保釈って」と聞くと


「お前、そんな事も知らんのか」と言われて、


 こいつ、むかつくと思い、顔に出した。


 野口はそれをさっしたのか

「まあ、仕方ないな。一般社会での大事な事は義務教育では勉強せいへんからな。

 一般社会の大事な事は大学に入って専門の学部で習うからな。

 金の無いやつと勉強が嫌いのやつは、損するのが世の中やからな」と言い、ニヤつきながら話だした。


「保釈って言うのはな、金を出してシャバに出ると言う事や。

 まあ罪を認めて証拠隠滅の恐れがないとか、被害者がいた場合相手に危害を加える恐れがないと言う事が前提やけどな。罪を認めへんかったら、なかなか出してくれへん。

 私選の良い弁護士を付けて弁護士に大金はらったら弁護士の力で出れる事もあるやろうけど、国選の弁護士やったら国が定めている弁護士報酬が安いからまず真剣に動いてくれる弁護士はかなり少ないやろう。

 国選の弁護士やったら自分で金払わんでも良いからな、国が税金を使って弁護士に金払うんやから仕方ないけど大きい事件とかやったらマスコミに注目されて宣伝になるから別やろうけど。

 あと保釈金の金額は、保釈される人間の持ってる財産や、罪によって違うんや。

 わしの場合、普通やったら300万位やけど1000万と言ってきた。

 保釈金は刑が決まったら帰ってくるけど、わしの場合は弁護士に1割保釈の成功報酬として払う事になってる。

 私選の弁護士を雇った場合、弁護士に払う金は弁護士と話をして金額を決める事になるんや。

 罰金刑や執行猶予が付いたらそのまま出れるけど、執行猶予が付かんと実刑になったら直に刑務所に入れられる事になるんや。分かったか」と言ってきて、執行猶予の事が、よく分からず


「執行猶予って」と聞くと、


野口は大きなため息つき

「執行猶予って言うのはな、テレビのニュースなんかでよく『実刑1年、執行猶予3年』って言っているやろう。

 本当は1年間刑務所に入らなあかんけど、3年間犯罪を犯せへんかったら、その罪の刑は終わりと言う事になるんや。

 罪を犯すのが初めてやったり、まあ初犯やな。深く反省してる奴とか、大した罪じゃないけど罰金刑より重たい場合に付くんや。

 そのかわり執行猶予中の3年間の間に犯罪を犯して実刑1年の罪に問われた場合い、前の1年をプラスして2年間刑務所に入れられる事になるんや。

 ごく稀やけど2回執行猶予が付く事もある。

 実刑1年執行猶予3年付いてる奴がまた犯罪を犯して、また実刑1年執行猶予4年が付くと言う事や。

 その時は前に残ってる執行猶予の分も合わせて、執行猶予が7年になるけどな。

 まあ世の中、人脈と金と言う事やな。」と笑いながら話してくれた。



 翌日野口は出て行き、新しく2人入って来たが2人とも「覚せい剤で捕まった」と言っていて、気持ち悪かったので話をしなかった。


 翌日の昼頃、昼飯が終わった後に看守が来て

「千葉、調べや、出ろ」と言われて、刑事に取り調べ室に連れていかれた。


 刑事と椅子に座ると、いきなり

「お前、話さなあかん事あるやろ」と怒鳴られ


「何もありませんけど。」と答えると


 刑事は

「野口に話した事や、ちゃんと話せ」と、強い口調で言ってきて


 2日前に話をしたドーピングの事とネット通販の事を思い出し、やられた、国見のために真摯に向き合い法律を作る政治家じゃなくて、票を取る事が仕事の政治屋の分際でと思いながら刑事にすべてを話した。


 刑事は

「昔の事やから時効やけど、マスコミには言わなあかんからな。

 それからネット通販の話は、被害届け出てへんから聞かんかった事にしとったる」と、めんどくさそうに言われ、取り調べが終わった。




















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