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とびっきりのご飯  作者: よしの
9/11

おばあちゃん

 おばあちゃんは年もとってるし、病気でもう永くはない事は知っていた。

 おばあちゃんは「死」を怖がっていたように思えた。自分は死なない、まだ死にたくないってずっと思っていたように見えた。


 おばあちゃんを看取る時、早く楽になって欲しいというお母さん達がいて、「頑張るんやで」と励ますおばあちゃんの妹さんがいた。私は妹さんの励ましの方がおばあちゃんにとっては救いになっているような気がした。


 お見舞いに行ってお母さんが帰る時、おばあちゃんが呼び止めた事があった。お母さんの名前を呼びながら、すがるような声を出して、お母さんの腕を掴んでいた。おばあちゃんは怖かったんだと思う。お母さんはおばあちゃんを必死に励ましていた。私は二人の事をちゃんと見れなかった。おばあちゃんはお母さんで、お母さんは子供だった。まだ夏で、蒸し暑い日だった。



 おばあちゃんが死んだと聞いた時、とても悲しかった。おばあちゃんの事を思い出していると、おばあちゃんに名前を呼ばれた時の事を思い出した。



「ハルちゃん、こっちおいでぇ」



 もうその声を聞く事はない。おばあちゃんに名前を呼んでもらう事はない。そう思うと、涙が止まらなくなった。とてもとても悲しくて、たくさんたくさん涙が出た。隣にはお母さんがいてくれた。そんな事を思いだしていた。


 おばあちゃんがまだ元気だった頃、おばあちゃんの家に遊びに行った時、畳の上におばあちゃんが座っていて、にっこりと笑っていた。



「よう来たな、はよう上がりんさい」



 可愛いおばあちゃんに私もなりたい。

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