表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とびっきりのご飯  作者: よしの
2/11

ハル

 私、遥香。友達からは「ハル」って呼ばれている。今年で28歳になる。


 夏も、もう終わりに近づいていて、夜は涼しくなったし、上着を着ないでいると少し肌寒くなった。仕事して帰って来て、部屋の隅っこに座って1人泣く。泣くほど悲しい事なんてないけれど、泣いてまた次の日も仕事。そんな日の繰り返し。


 改札を抜けて電車に揺られ、たまにお尻を触られて会社に着く。

 痴漢された朝は当たり前だが機嫌が悪い。私は見た目が ()()()せいかよく被害にあう。面倒だから声は出さない。

 一度、頭にきて捕まえた事があったが、そのせいで遅刻して上司にこっぴどく怒られた。痴漢で遅れたは、ウチの会社では認められないらしい。


 だから私なりに考えた。電車の揺れに合わせて二度、三度。それが触れたら、ほぼそれだ。舌打ち一回。最初の警告。それでも続けば、バッグを利き手の逆に持ち替えて、少し横を向いて相手を確認。相手の真正面に立って、左手で右手首をグッと掴む。その掴んだ腕をゆっくりと前に出し、思い切り真後ろに入れる。肘先に感じるだらしない肉の感触と「ヴッ」という低い呻き声が聞こえれば終了。


 それで許す。肘だけ入れる。それは必ず。私は、か弱い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ