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とびっきりのご飯  作者: よしの
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とびっきりのご飯

 子供の頃より、時間が経つのが早く感じる。若い時は短い。私は今、生きている。それは確か。ネガティブな気持ちはない。大抵、前向きな私。外にいる時は笑ってる事の方が多い。最近また肌寒くなった。冬が好きな訳じゃないけど、冬の寒さが心地いい時がある。冬は寂しいドラマが見たい。そんな風に感じるのも大人になったという事だろうか。いや、そうでもない。小学校の帰り道で、同じ事を思った事がある。


 誰かに会う。友達と会う。どうでもいい事を延々と話す。

 彼氏に振られた、誰と誰が付き合い始めた。私にとってはどうでもいい。けど相手は楽しそう。帰りはいつも「馬鹿じゃねーの?ふざけんなブス!」って思いながら帰る。


 家に帰る。1人になる。今も昔も大して変わらない。



「今まであんたは何してきた?一生懸命家族のため、社会の為に頑張ってきたんでしょ? 一番近くで見てた私が言うんだから間違いないよ。だからもう楽したっていいじゃない。わがまま言ったっていいじゃない。あんたは頑張ったよ。本当よく頑張った。自分だってわかってるでしょ? だからもういいんだよ。我慢なんてしなくて」



 誰かに言われたかった事を、誰かの代わりに言ってみた。

 何も言えなかった。ただ涙が出た。


 私はまだ点の羅列に過ぎない。それが線になって繋がった時、私は私になれるだろうか。


 

 そろそろ本気で寂しくなった。お腹も減った。

 雨が降った。走った。転んだ。コンビニで買った傘はその日の内に無くなった。


 こんなどうでもいい日が、これからもずっとずっと続くから。

 だから今日も、おいしいご飯が食べたい。


 


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