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密室のお菓子とお味噌汁と鏡

作者: 紅来美亜(くらみあ)
掲載日:2021/12/29

「ねえ、あなたのお菓子もちょうだいよ。」

「やだ。」

「なんでよ。けち。」

「おんなしだけ持ってるでしょー?」

「でも、そっちのもほしいの!」

「だめったらダメ!」

「はーあ。」

大きくため息をつく。

「お腹すいたのに。」

「自分の食べればいいじゃない。」

「食べたらなくなっちゃうでしょ!!」

「私のだってなくなるよ!」

「そうだけどさ。」

少し抗議するような、口調になった。

「でも。ちょうだいよ。」

「ダメだよ。」

「むー…」

そう言ったまま、少し沈黙が続いた。

「っていうか、あげられないのわかってるでしょ?」

「…わかってるよ。」

また少し沈黙が続く。

「食べたら、なくなっちゃう。」

「そうだね。」

「なくなっちゃうよ。」

「そうだね。」

「なくなったらさ、そのあとは、どうするの?」

顔をあげる。年にしては色の悪い頬のこけた幼い顔がそこにはある。その顔の後ろには、荒れた部屋が見える。同じ光景がある後ろは、振り返りたくはなかった。実際に見なければ、ないものとできるかもしれない。

「どうしたらいいんだろうね?」

うっすらと笑いかける。暗い鍵のかかったその部屋で、その顔は少し動いただけだ。

「次はいつになるのかなあ。あったかいお味噌汁、飲めたらいいのに。」

ほんのりと温かいものが頬を伝う。それを舐めると少ししょっぱい。目をつぶって、お味噌汁だと思うことにした。ますますそのお味噌汁はあふれでる。

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