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ミミックの日常  作者: 本の繭
パンドラ編【短編】
9/50

ミミック会②




 50.5階層【魔獣窟】



 本日のミミック会はタマテが選ぶ“和食処・五尾”の和食居酒屋だ。


「流石はタマテさん、オシャレな店だ~!」


「ふふ…ここの日本酒は…とても美味ですよ…」


 店内は人間文化の“和”を重んじた、独特な雰囲気の装飾が施されている。囲炉裏に畳に提灯…どれもよく分からないけど、なんだかお洒落な雰囲気が漂っている。


「お待ちどう。だし巻き卵、チーズの味噌漬け、炭火焼きさんま、なすの煮びたし、椎茸のみそ焼き、天ぷらの盛り合わせです」


「おお…渋いのだ」


 出される料理は装飾にも拘っていて、色鮮やかで美しい。

 そしてどれも美味しそうだ。


「それでは…かんぱ~い…」


「「「かんぱーい」」」


 今日はタマテがオススメする日本酒の熱燗を注文した。

 味は………うん、一口で火か点くな。


「なすの煮びたし、たまに食べるといいな」

「天ぷらサクサク~」

「チーズの漬物、初めて食べるのだ」

「やっぱり…さんまは炭焼きですね…」


 どの料理も普段は食べないものばかりだ。

 僕たちの好みはバラバラだけど、旨いものは旨い。


 魔獣窟はモンスターだけで発展した集落だけど、人間文化のいいところが詰まった住みやすい拠点になっている。人間は愚かなことばかりしているけど、生み出した酒と料理は旨い。


「そういや前に僕の討伐目的でやって来た勇者がいたんだけど」


 酒の肴として前の出来事を三人に話した。


「え、大変ではないか!?」


「よく平気でしたね~流石はパンドラさん~!」


 ヒウチとシュレがパチパチと拍手している。

 戦ってはないんだけど。


「みんなも恨みを買わないよう気を付けるんだね。特にヒウチ、お前の標的である商人はがめついから」


「う…やはり飲み込んだ人間は消化したほうが」


「知性あるミミックがそんな鬼畜なこと繰り返したら、伝説の勇者がミミックを殲滅しに来るぞ」


「パンドラなら勝てるのでは?」


「仮に勝てたとしても、そんなミミックが生息するダンジョンに誰が来てくれる?」


 ダンジョンのパワーバランスは守らないといけない。

 強いからといって好き勝手していると、僕は居場所が失ってしまう。楽しく生活するには最低限のルールってやつが必要だ。


「パンドラ…やさしい~…ふへへ~」


「珍しい…タマテが潰れてる」


 タマテが顔を真っ赤にして僕にすり寄ってくる。

 好物だからといって強い日本酒を飲み過ぎたな。


「心配しなくても…ミミックの心証は良好ですよ……私が噂を流してるので…」


「噂?なんだよそれ…」


「その内…パンドラの耳にも…噂が届くと思いますよ~…」


 どんな噂を流したんだ?

 タマテのすることは油断できないからな…

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