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ミミックの日常  作者: 本の繭
パンドラ編【短編】
4/50

獣人奴隷




 10階層【トラップ迷宮】



 今日はステルスモードで獲物を探さず、のんびりと待つことにした。

 誰か来ないかな~


 ふぁぁぁ…眠い。


 おっと、欠伸で宝箱が開きそうになった。

 ミミックたるもの油断してはいけない。


「宝箱か…おい奴隷、出番だ」


「…」


 二人組の男女がやって来た。


 小太りなオッサンと、鎖に繋がれた女獣人の奴隷…見飽きた光景だ。相も変わらず変態は好んで亜人を奴隷にしたがる。


 首に繋がれた鎖、あれはただの鎖じゃない。対象者の一生を縛る強い呪いが込められたアイテムだ。


 キィ………バタン


 僕は宝箱を少し開けて、閉める。

 脅しの意味も込めてミミックアピールをしてみた。


「ミミック……」


「だからどうした!さっさと行け!」


「うっ…はい」


 獣人奴隷を蹴り飛ばす主人。

 やはり諦める気はないようだ。


 呪いの鎖は強固で、通常のミミックなら歯が立たないだろう。獣人奴隷はミミックの抵抗に耐えながら箱の中の宝を抱き、主人が鎖を引いて宝を回収する。


 まるで釣りだ。


 …ミミックを舐めるなよ。

 物欲にまみれた俗物が、釣り気分で安全圏からミミックを躱そうなど舐めているとしか思えん。


「…」


 獣人奴隷は僕の宝箱を開けた。


“強制捕食”


 僕の強制捕食スキル。対象者が持つ全てのスキルを無効化し、あらゆる抵抗を無視して相手を捕食する。

 無論、呪いスキルも例外ではない。


 ガキン


 僕は獣人奴隷を飲み込んだ後、鎖を嚙みちぎった。


「バカな!?呪われた鎖が!」


 呪いスキルを失った鉄の塊なんて簡単に砕ける。


 それにお前も僕の“強制捕食”の条件“宝箱を開けた者”を満たしてんだよ。小細工を弄して宝を開けようが、奴隷を利用して宝を開けようが、僕は絶対に対象者を逃さない。


“強制捕食”


 遠くにいる主人を引力で引き寄せて捕食する。


「ぎゃあああ!なぜ俺がこんな目に!?」


 可笑しなことを言ってるな。

 相手の所有物を奪う意思があるんなら、逆に奪われる覚悟は出来てたんだろ?お前は僕がミミックであることが分かっていたのに挑んだ。

 やられたらやり返す、当然だよね?


 ペッ


 パンツ一丁で帰りな。


「おのれミミック!覚えておけよー!」


 お前らみたいな量産系クズ、覚えられるわけないだろ。


 ペッ


「きゃ…」


 獣人奴隷も吐き出す。

 知ってたけど大した物は持ってなかった。


「あれ?鎖が…とれてる…!?」


 自分の首を撫で、もう自分に縛る物がないことを確認する。


「…うぅ」


 ………


 その涙は解放による喜びか、自由への不安か。


 腰についてる小銭入れに宝石を入れといたから、しばらくは生きれるだろう。後の人生は自分の意思で決めるんだぞ。

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