ガチャスキル
43階層【血の花園】
僕はある冒険者の男と戦っていた。
“ガチャスキル”
“SSR 魔剣レーヴァテイン”
そいつがスキルを発動すると、大きな剣が出現する。
これが噂に聞くガチャスキルか…初めて見たな。
ガチャとは発動させるとランダムで武器や防具、生物が生み出されるスキルのことだ。努力なしで強大な力が手に入る…いわゆるチートスキルだ。
「くらえ!」
冒険者が僕に向けて剣を振るう。
「…」
僕は指一本で剣を止めた。
…やっぱりこの武器には魂がこもっていない。
「な…SSRの剣が!?」
攻撃が通用せず冒険者は狼狽えていた。
“ガチャスキル”
“SSSR 最強メイド”
そして冒険者は懲りずにガチャスキルを発動する。
うわ…今度は人間の女を召喚したよ。
「行け!俺の最強のSSSRキャラ!」
「はい、ご主人様」
メイドが僕に向けて剣を振るう。
なかなかの強さだが…
“髪縛り”
僕は髪手を伸ばし、メイドを縛って動きを封じた。
「くっ!」
「…」
うん、このメイドにも魂がこもっていない。
ものは過去があるからこそ魂が宿る。
ガチャなんてスキルから生まれる最強装備には、最強へ至るまでの過程が存在しない。このメイドも生い立ちや今日まで歩んできた人生がない、まさにただの人形だ。
傑作には作り手の魂が宿る…そんな言葉をどこかで聞いたな。
魂無きものに真の力は宿らない。
“神突く”
僕はスキルでメイドの首を落とす。
「ば、馬鹿な…!?」
冒険者は万策尽きたようだ。
ガチャスキル任せでこのダンジョンに挑むとは…僕が相手じゃなくても、こんな魂のこもっていないスカスカの道具はすぐ通用しなくなる。
“能力封印”
僕は男が持つガチャスキルを封印した。
こんなゴミを量産するスキル、二度と使わせないぞ。ダンジョンにゴミをポイ捨てするのは禁止だ。




