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ミミックの日常  作者: 本の繭
パンドラ編【短編】
3/50

パーティーの荷物持ち




 28階層【オークの根城】



 今日はステルスモードでダンジョンを徘徊中。

 誰かいないかな~


「おい!さっさと歩け!」


「は、はい…!」


 早速、パーティー集団と遭遇する。


 最近よく見るな、パーティーの荷物持ち。

 他にもっと良い仕事を探せばいいのに…


「俺たちはボスを討伐してくる、テメェは責任もって荷物を守ってろよ!」


「…はい」


 強そうな連中はボス部屋に挑戦し、荷物持ちは一人で留守番。


 ボス戦に同行させてやれよ…

 同行するだけでも経験値や報酬のお零れが貰えるんだぞ。これじゃ荷物持ちが何のためにここまで付いて来たんだか。


「………はぁ」


 そりゃため息も出るよ。


「我慢だ…少しでもお金を稼いで、お母さんの薬を買わないと…」


 母親の病気か…けっこう定番な薄幸少年だな。

 こんな生活を続けてもジリ貧だろうに。


「ブルル……」


「…!モンスター!?」


 パーティーの荷物持ちはモンスターと遭遇してしまった。

 なんでボス部屋近辺の掃討をしてないんだ、あのパーティーは。


「…守らなきゃ」


 震えた手で剣を構えるパーティーの荷物持ち。

 相手は大型のオーク、戦力差は圧倒的だ。


 ………


 悪く思うなよオーク、今日は豚肉が食べたい気分なんだ。ダンジョンは弱肉強食なんだし文句なんてないよな?


“捕食”


「ブモオオォォ!?」


 ばくん!


 捕食完了。


 僕レベルのミミックになれば、相手が宝箱に触れずとも捕食することが可能。実力者には通用しない技だけど、オーク程度なら余裕だ。

 後で焼いて食べよう。


「………あれ?モンスターは?」


 急にオークが消え、少年はキョロキョロと困惑している。

 

 恐ろしく速い捕食。

 勇者じゃなきゃ見逃しちゃうね。


「…宝箱だ!あのモンスターが落したのかな?」


 おっと、うっかりステルスを解いちゃった。


「あ、開けてみようかな…」


 パーティーの荷物持ちはボス部屋の扉をチラチラ見つつ、恐る恐る僕の宝箱を開けた。


「わぁ……すごい大金だ」


 前に奪った金、そういえば奥にしまうの忘れてたっけ。まぁ金なんて有り余ってるし取られちゃってもいいか。


「これだけあれば、お母さんの薬だけじゃなく治療も…!」


 曇っていた少年の表情が晴れる。

 若者の未来はキラキラと輝いてていいな。

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