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ミミックの日常  作者: 本の繭
パンドラ編【短編】
18/50

棄てられた少年




 7階層【棘の森】



 ダンジョンにはよく人間の子供が捨てられる。


 捨てられる事情なんて知らないし、どうでもいい。

 人間の杜撰で打算な無知によって生み出された哀れな生命だ。ダンジョンに捨てればモンスターが餌として捕食してくれるから後始末も楽ちん。


 僕の目の前にも、一人の子供がフラフラとダンジョンを歩き回っていた。顔立ちや髪の長さで一瞬女の子に見えたけど、匂いからして男の子だろう。


 このまま放置してたら野垂れ死にするか、モンスターに喰われるな。


「…」


 言っておくが、助けないぞ。


 一人では生きられない脆弱な命を少し延命させたところで無意味だからね。いくら僕でもそんな無駄なことはしない。


 少年は僕の宝箱を見つけた。


「…」


 少年は僕の宝箱を開ける。

 中身はカラッポだ。


 さあ、どっか行け。


「…」


 少年は僕の箱の中に入ってきた。

 おい…まさか住むつもりじゃないだろうな。


 ペッ


 僕は少年を吐き出した。


「!?」


 少年はビックリして僕から距離をとる。

 これで僕が宝箱に模したモンスターだと気付いただろ。


 そのままどっか行け。


「…」


 行かない…僕の隣で座りこんでしまった。

 なんなんだこの子は。


「おい、どっか行け」


 宝箱越しで声をかけても逃げる気配がない。

 ていうか返事くらいしろよ。


 ………


 僕の中にある賢者の意思が“助けろ”と喚いている。


 はぁ……仮に助けるとしても、どうする?

 独り立ちするまで育てるとか嫌だぞ。


 ………


 こうなったら仕方ない。

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