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ミミックの日常  作者: 本の繭
パンドラ編【短編】
17/50

ミミック会④




 50.5階層【魔獣窟】



 やってきましたミミック会の日。

 昨日もツヅラの店で飲んだけど、連日でも大歓迎。


 本日はシュレのオススメ店“トロイの宴”に集まっている。


「お待たせしました。マルゲリータピザ、トマトとモッツァレラのカプレーゼ、オレンジサラダ、アクアパッツァとブルスケッタです」


 彩り豊かで見栄えのいい料理の数々が並ばれてゆく。

 この店は人間界にあるイタリアンというジャンルの料理が中心にある。赤い料理が多いけど、この前の中華と違って辛い物ではない。トマトっていう酸味と甘みのある野菜が多く使われている。


「これがお洒落な女子の飲み会ですよ~パンドラさん、ヒウチさん」


 シュレは得意げにワイングラスを掲げている。

 毎回思うんだが、シュレは誰に向けて女子力をアピールしてるんだろ。


「ワインは私のオススメを用意しました、みんなで飲むならこれです~」


 そう言ってシュレが注文したワインをグラスに注いでくれた。


「それでは~カンパ~イ!」


「「「かんぱ~い」」」


 みんなでワイングラスをコツンとぶつける。

 ワインはどんな店にも置いてある定番の酒だけど、きちんと管理しないと酸化したりする難しい酒でもある。


 どれ…


 ……うん、専門店だけあって申し分ないな。

 シュレがオススメするのも納得だ。


「このワインなら甘タレの焼き鳥にも合うな」


「ステーキにも合うぞ!」


 僕とヒウチはワインに合いそうな好物を上げる。

 脂っこいものにも合うんだよね。


「も~匂いがつく料理ばっかりじゃないですか~」


「いいじゃないですか…それだけワインは優秀なお酒ということです…」


 シュレとタマテもワインを飲みながら、赤い料理に手を伸ばす。

 トマトにチーズ…これもワインに合う美味しい食材だ。ツヅラの店にもピザはあったけど、こっちのピザの方がトマトの味が濃い。ツヅラの店も開店したばかりだし、これからの成長に期待だな。


「そういや前にツヅラがやってる酒場を見つけたぞ」


 僕は前に見つけたダンジョンの隠れ家、ツヅラの店を三人に話した。


「え…何処でです…?」


「ダンジョンで。9層くらいだったかな」


「魔獣窟の外に…盲点でした…」


 情報通のタマテも知らなかったんだ。


「酒の種類も豊富で、ツヅラ特製果実酒のカクテルが旨かった」


「では…次のミミック会は…ツヅラの店にしましょう」


「あ、でも人間も出入りしてるから注意してな」


 ツヅラの店に集まるのは構わないが、まずあの店の特徴を話しておかないと。


「!」

「ほう、面白そうだな」

「あら…楽しそう…」


 ヒウチとツヅラは人間の出入りに驚く様子はないが、シュレだけが動揺していた。


「シュレはダメなの?」


「いや~…流石に人間との相席は抵抗ありますよ~」


「それもそうか」


 シュレの反応が正しいよ。

 本来なら人間とモンスターは敵対関係、仲良く料理を囲って酒を飲むなんてありえないからね。


「僕がいるんだから、問題は起きないよ」


「それはそうですが~」


「今こそ鍛えていた女子力を見せつけたらいいじゃん」


「う~ん~…でも~」


「ほら、グラスが開いてるよ」


「あ~どうも~」


 ………


 ……


 …


「………やっぱり行ってみようかな~」


「うむ、それでいいんだ」


 よし…シュレは酔うとガードが緩くなるんだ。

 しかも記憶はバッチリと残り、酔った勢いでした約束は決して違えない。酔うと前後不覚になる人もいるから、みんなはお酒の飲み過ぎには注意しようね。

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