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ミミックの日常  作者: 本の繭
パンドラ編【短編】
10/50

公爵令嬢




 20階層【ミノタウロスの迷宮】



 今日のダンジョンは平和だ。

 迷宮を徘徊するミノタウロスを見てると牛肉が食べたくなる。


 ゾロゾロ…


 と思ったら、妙な団体が現れた。

 ただの冒険者ではなさそう。


 その集団の中心にいる女…少し調べてみるか。


“鑑定”


 …あの女、公爵令嬢なのか。

 公爵令嬢って貴族のトップだよな、なんでこんな危険なダンジョンに来てるんだ?王族に手を出すのは後々面倒になるし、ここはステルスでスルーしよう。


「さあ探すのよ!伝説の宝箱を!」


 公爵令嬢が集団に指示を飛ばす。


 伝説の宝箱?

 なんだそれ。


「どんな願いも叶えるといわれる伝説のミミックを!」


 …なんだそれ。


 自我を持つミミックはみんな知ってるけど、そんな人の願いを叶えるような酔狂なミミックに心当たりがないぞ。


「特徴は茶色い箱!本体は長い紫髪だ!」


 …もしかしなくても僕のこと言ってる?

 どこからそんな誤報が!?


『パンドラの心証は良好ですよ……私が噂を流してるので…』


 その時、前に開かれた飲み会でのタマテの言葉を思い出す。


 あいつの仕業か…

 あの野郎、事実無根の嘘を流しやがって。


「なぁ…本当にミミックが願いを叶えてくれると思うか?」

「たかがミミックなんだし…普通はあり得ないよな」

「そもそも情報の出どころも曖昧だしな」


 通りすがりの傭兵の会話が聞こえる。


 そうだそうだ。

 そんな根も葉もない噂、信じんな!


「いや、あながち眉唾でもないぞ。そのミミックにエンカウントした者がいるらしい」

「本当か?」

「知り合いの勇者がこの噂を聞いて「確かに的は得ている」と笑っていた」

「冒険者の中にも、ミミックに命を救われたと言う者がいるらしい」

「つまり…願いを叶えるに近しい能力をもつミミックは確実に存在するのだな」


 ………


 根も葉もあった。

 自分が蒔いた種だった。


 もう少し自重すべきだな…

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