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ここは様々な種族が生きる世界。そして種族事に国家があり割と平和に共存している。だが、その過程で誰も倒せないと思われ厄災とまで言われた魔王、悪食の王と言う存在と星の死滅により全生物の存在自体が消滅する回避不可能な事象の二大危機があり、今後もこうした危機に備えるため各能力事に合わせた修練所がある。
その中の一つ特級と言われ能力が一定数以上の者が入れる修練所が物語の始まりである。
修練所のある島、その船着き場に大きな船が着いた。船からは様々な種族達が次々降りる。先には教員と思われる人達が居て何かを配っている。
ようこそ特級訓練所ガラパゴスへ新入生は配布物を貰って好きなに住んでね♡と書かれた垂れ幕が掛かっている。
「んー、やっと着いた。どうだ?楽しかったか?」
「ん、ゆらゆら揺れて楽しかった。それにお魚沢山」
「そうか、そりゃ良かったな」
見るからに魔族の青年と銀色の長髪で黒を基調としたドレスの少女。二人は配布物を貰い一緒に配られたメモを見る。
まずは、貰った腕輪を着けてね。その後は好きな場所に住んでね。建物、扉とかには青い札が付いてれば誰も居ないから好きに使ってね。洞窟や湖なんかは先に入ってる人と交渉してね。作れる人は好きなとこに好きな建物作ってもいいよ♡
なんか色々雑と言うかゆるい感じに釈然としないまま取り敢えず腕輪を着ける。取り敢えず建物が立ち並ぶ方へ行き見て回る。
「どうだ?何か気に入ったとこあるか?」
「無い」
「じゃぁ作るか」
「ん」
「どんなのがいい?」
「木で出来たお家、ハンモックとか色々」
「そうか。場所はどうしようか」
「海の近く。お魚取れる、でも山ならキノコとか色々ある?」
「ならニか所作ろうか、一か所とは書いてないし好きな場所って書いてるから問題ないだろ」
「流石兄様」
そんな会話をしながら木材調達のため森へと向かう。程無くしてよさげな木を見つけ切り倒そうとした。
「ちょっと!その木は私のよ!」
唐突に待てと言われ声のすした方へ視線を向ける。そこには熊が居た・・・。
「熊だな」
「熊」
「熊よ」
「何かの熊型種族か?」
「ただの熊よ、あなた達新入生ね」
「そうだけど、ただの熊はしゃべらないだろ」
「ここは特級が集まる所なのだから不思議でも何でも無い事よ、それよりその木は私のよ。それで背中をを掻くと気持ちいいの、だから切るなら他の木にしてちょうだい」
成程、特級が集う場所だからただの熊がしゃべっててもおかしくないと・・・いや、それもうただの熊じゃ無いだろと内心思いつつ
「分かった、では他を探すとするよ」
「よかった。あ、私はカトリーヌ。あなた達は?」
「あぁ、俺達は先程ここに着いたばかりの新入生でご覧の通り俺は魔族のテンマと言うこっちは妹の」
「ガーラ」
「そう、よろしくね。テンマ、ガーラ。ところでなんで木が必要なの?」
「ん?気に入ったとこが無いから家を作るためにね」
「あら、そうなのねここに来るくらいですもの作成について心配するのは失礼ね。でしたらこちらにおいでなさいな、この木の代わりに良い木材になりそうな物の場所を案内するわ」
「それは助かるよ。来たばかりで必要な分量探すのが大変だったから」
「いいのよ、知らないで他の人達のお気に入りとか切られないで済むからお互い様なのよ」
一通り木材を切り収納魔法でしまう作業をこなして行く。必要な量が集まったのでカトリーヌと別れ海の近くへと移動し家を作る。
「さて、まずは木を家の形に配置して【ロック】で固定【クリエイト】で整えて【エンチャント】で腐食対策して・・・ブロックやシールドはいいか必要なら後でかけよう。さぁ、妹よ新しい生活の始まりだ」
「流石兄様、ワクワクの始まり」
こうして難無く住まいを確保して日は沈む。
食事も終わりテンマは紅茶を飲みながら寛いでいた、すると腕輪から【ピピピ】と音が鳴りモニターが現れた。そこに重要事項の文字が浮かんでいる・・・。
続いて映し出されたのはモニターは意識下で自由に表示出来る事等の説明文章とデュエルについてだった。
まず初めにこの腕輪によりこの島からは出られなくなった事
腕輪装着者は如何なる攻撃も防ぐ魔法防御が付与されている事
戦闘訓練についてはデュエルを使用する事
デュエル内の傷や死はデュエル終了と共に無くなる事
その他不明な事はヘルプで検索出来る事等々が映し出されていく。
その最中、ガーラが背後からテンマを抱きしめる
「攻撃じゃないからこれはオーケー」
ガキンと音が鳴り響く、スカートの裾からガーラの尻尾がテンマを攻撃した。尻尾の先には口が着いており口を開けて噛み付こうと牙を剥いていた。
「ガーラの牙は無効化されるんだな」
「カプッ、こっちの甘噛みはオーケー」
テンマの首筋をハムハムしながらガーラは言った。
「遠慮せずに魔法が試せて効果はデュエルで検証と言ったところか、なるほど確かにこの腕輪は島外へは出せない代物だな。完全防御で攻撃してたら環境破壊しか生まれない・・・」
触れなくなった腕輪をなぞりながらテンマは言う。
「いつまで甘噛みを続けるんだい?」
「ずっと」
「明日から修練開始だからそろそろお風呂に入りなさい」
「ん、兄様一緒に入る?」
「・・・・・」
「・・・・・」
服を脱ぎだすガーラ
「一人で入りなさい、そして兄をからかうのはやめなさい」
表情は変わらないものの不服そうなオーラを放ちながらお風呂場に向かうガーラであった。
一夜明け修練場に向かうテンマとガーラ、入り口へ差し掛かるとその背後から妖しい笑みを浮かべた青年が声も高々に
「デュエル!!」