歩く
重心が
右にずれているらしい
正しい歩き方
というものを
ふいに忘れたのかも
だれに教わるでもなく
なんとなく歩いている
ちかくの
古書店まで
歩数をはかりながら
うれしいことはすぐにいなくなるし
かなしいことはずっと居座る
右にずれている
よくわからない
左に傾けばいいのかしら
正しきはどちら
歩くのは
必要であるためで
なにかわたしを形づくるものに
出逢いにいきたい
ぼちぼちで送る生活の
奇跡のにあわなさ
この道を左へ
きっと今日を祝福できる
感情の停滞はよくあること
空想のだれかに恋することも
たとえばナナのような
かなしいひとのおもかげに