表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/34

月乃と弁当 2話

 

 四限が終わり、昼休みになった。

 授業はほぼ時間通りに終わったのだが、月乃から連絡が来ないから向こうもまだ席の確保までは至ってないのだろう。

 一応早足で食堂に行こうと弁当を持って席を立ち上がると、それを阻むかのようにクラスメイトに囲われた。


「おい後藤……昼休みはきっちり話を聞かせてくれんだよな?」

「ちょっと前から気になってたって、五十嵐さんと何があったんだよ!」

「いや、ちょっ……」

「おい!俺にはもうチャンスはねえのかよ!?」


 こいつらうるせえ!

 質問してくるくせにこっちの話は聞かない連中にイライラしていると、平田の怒鳴り声が響いた。


「ちょっと後藤!こっち来なさい!」


 あまりの迫力に、教室内が一瞬で沈黙した。

 俺、あいつに怒られるようなことしたっけ……?


 教室から出ていく平田についていくと、教室を出てすぐのところで平田がめちゃくちゃニヤけた顔で振り返ってきた。


「お前……大丈夫か?」


 ちょっと情緒不安定すぎない?


「大丈夫かって……助けてやったんだから感謝しなさいよ」

「は?」

「は?じゃなくて……五十嵐さんとご飯食べるんでしょ?」

「ああ、サンキュー……ってなんで知ってんの?」


 月乃が言ったのか?

 いや、平田と月乃って面識ない……よな。多分。


「いやぁ、私も昼休みだから後藤に問い詰めに行こうかと思ったんだけどさ…弁当持って立ち上がるじゃん?いつも自分の席で食べてるのにそうしたってことは、五十嵐さんと食べる約束でもしてたのかなってね」


 その通りなんですけど。何この人怖い。


「お前……気持ち悪いな」

「ひど!気が利くって言ってよ!」

「すまん、つい。まあ助かったわ」


 そう言って食堂へ向かおうとすると、平田に止められた。


「なんだよ」


 やけにニヤニヤしている。

 何がそんなに楽しいんだか。


「でさ、後藤と五十嵐さんって今朝以降会ってないよね?連絡先も交換してなかったでしょ?いつその約束したのかな〜って」

「あー……それはだな……」


 んー。言い訳言い訳……


「ふふふっ……ま、今のは聞かなかったことにしてあげる。早く行ってあげな」

「おう……すまん」

「あ、これ貸しだからね」

「ちゃっかりしてやがる」


 その貸しはなんの貸しなのかは聞けなかった。

 あいつらから解放してくれたことに対してなのか、最後のボロに対してなのか……

 出来れば、後者であってほしいところだ。


(でも、平田のことだし最後のは弱み握ったぞってアピールにしか思えんわ……)


 あのニヤけようからしてもそうだろう。


(最悪だ……いや、バレて困るのは月乃だけじゃ?俺は悪くないし、別によくね?)


 そう思い直した俺は、既に空席なんてなくなっているであろう食堂に向かうのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ