登校風景 1話
今日は珍しく俊平と二人で登校していた。平田が来ないなんて……死んだか?あいつ。
「五十嵐さんとどうなの?」
「まあぼちぼち」
「最近麗奈が二人の話をよくするんだよね」
俊平と居ると気が楽だ。
やはり人に必要なのは自分の理解者。友達なんて数じゃなくて質だよな。……別に泣いてねーよ。
「そういえば麗奈の勉強はどう?」
「あー、月乃に任せっきりだからなあ。月乃に聞いたら教えてもらえんかったし」
「僕も麗奈に聞いたら教えてもらえなかったよ」
苦笑する俊平。
「まあやばかったら月乃が相談してくるんじゃないか?」
「そうだね。僕としても麗奈の悲しむ顔は見たくないから……」
「なんだかんだ言って甘いのな」
「否定はできないね」
俺としても浅田兄妹には仲良くしていてもらいたいので、気にしておこう。
会話が途切れてきた時、ふと平田との約束を思い出した。
(……まさかな)
それと同時期嫌な予感が。別に平田との約束を思い出したからって……
「俊平くーん!」
「げ」
「げ!じゃないわよ!」
朝からうるせえやつだ。
……待てよ?こいつに俊平は大人しい子が好みだぞって教えれば大人しくなるんじゃないか?
「俊平くん、後藤が悪巧みしてる顔になってるよ」
「そうだね。これは悪巧みしてるね」
「……」
しまった。上手いこと話のタネにされちまった。平田、恐るべしコミュ力。
「そういや後藤!五十嵐さんとはどうなのよ!」
「その話はさっきしただろ」
「いや私今来たとこなんだけど」
いい加減その話題やめようぜ──と、昨日までの俺なら思っていただろう。
しかし、俺は気づいたのだ。この話題ばかりなのは、俺に振る話題がこれしかないからだと!
つまり、もっと俺のことを知って俺に興味を持ってもらえればこの話も消えてなくなっていくわけだ。
現に、俊平の場合はすぐ他の話題に移っている。
「そんなことより俺の話をしようぜ」
「いや別に後藤に興味無いけど」
ダメでした。
「僕は興味あるな」
「俊平はなんでも知ってるだろ」
「えっ……そうかな?」
生まれた時から知り合いなのに、これ以上俺の何を知ろうってんだ。
「私は昔の俊平くんのこととか知りたい!」
「うーん……特に面白い話はないよ」
なんか三角関係みたいになってきたな。
そう思っていると、更に関係をややこしくするやつがやってきた。




