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勉強会の忘れ物 5話

 

 紗里が去ってから、俺達の空気は極寒と化していた。


「月乃?」

「なに?」


 月乃が冷たい。


「機嫌直してくれって」

「……わかった。でも陸くん、ああいうのはもうダメだよ?」

「弄りすぎた件か?紗里の件か?」

「どっちも」

「はいよ」


 俺としても極力月乃が嫌がることはしたくない。てか、もしして嫌われたら終わるからな。

 月乃の攻略本に新たな1ページを刻んで胸にしまう。


「でも、陸くんも私に興味あったんだね」

「せっかくなら月乃とも仲良くやっていきたいしな」

「そっか」


 照れたように誤魔化す俺とはにかむ月乃。

 その姿は、もう完全にカップルのものだった。



 ファーストフード店での早めの夕食を済ませ、月乃の買い物に付き合ってから家に帰る。

 月乃も忘れ物を取りに再び俺の家を訪れていた。


「おじゃましまーす」

「はいよ」


 俺以外に人なんて居るはずないのに、わざわざご丁寧な月乃。


「それで、私のパンツは……」

「どうした?」


 月乃が固まる。

 リビングにそんなおかしなものでもあったのか?


「陸くん……?」

「ん?」

「なんで私パンツがこんな堂々とテーブルの上にあるの!?」

「……あ」


 どうせ麗奈のだと思って雑に放置してたんだった。


「いや、すまん。床に放置しとくのも悪いし、かといってベタベタ触るのもどうかと思って……」

「そういうことなら仕方ない……のかな?」


 俺も月乃も判断に困る。

 それもそうだ。付き合いたての恋人が忘れていったパンツをどこに置いとくのが正解なんて誰にもわからないのだから。


「えっと、私は帰るね」

「おう」


 パンツを回収して帰ってく月乃。

 いや、もう履いてけよとは言えなかった。


 とりあえず、これを機に関係がギクシャクしないことだけを祈っておこう。


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