勉強会の忘れ物 3話
「……」
落ち着け。
麗奈のじゃないならいったい誰のだ?
今日俺の部屋に来てたのは誰だっけ?
「陸くん」
今日は勉強会があったから……?
「陸くん」
つまり、これは……
「月乃のパンツじゃねーか!?」
「陸くん!?」
「あっ」
やっちまった。
と思ったが、不幸中の幸いと言うべきか周りには誰もいなかった。
呆気にとられた月乃を引っ張りながらひとまず別の場所へ移動する。俺も月乃もまだカートには何も入れていなかったので、スーパーに併設されているファーストフード店へと入ることにした。
「……」
「……」
重い沈黙。
完全に俺のせいなので、覚悟を決めて話を始めた。
「……俺何か買ってくるけど、食いたいもんとかあるか?」
「……」
違えだろ俺!!別に飯食いに来たわけじゃねえんだぞ!?
「……バーガーセットの飲み物はコーラ」
頼むのかよ!!いや全力で奢らせていただきますけども!!
「と、ジューシーチキンLピース」
いやめちゃめちゃ食う気満々か?
なんてツッコミを入れれる感じでもなかったので、大人しく奢る。俺も晩飯今日はここでいいや……料理部のは明日にしよう。
商品を注文し、受け取って席に戻る。その間に月乃も気を取り直していたらしく、変な空気は消え去っていた。
「お待たせ」
「ありがとー」
「月乃って結構食う方なんだな」
「意外?」
「意外っつーか、昼休みの時はあんま食ってなくないか」
「あー、まあね……」
少し目を逸らす月乃。
「なんていうか、イメージの問題というか……」
「ほーん」
月乃はそういうの気にしないやつだと思ってたが。
「私には色々あるんだよー。誰かさんとは違って」
「うちにパンツとかな」
「!!」
バン!と机を叩く月乃。お行儀が悪いですわよ。
まあなんだ。なんかいじわるしたくなってしまったのだ。
「……私」
「私?」
「他人の家でノーパンになるような痴女じゃない……」
何を言い出すかと思えば。
「大丈夫。別に月乃がそんなやつでも気にしないから」
「ほんとに違うから!!」
だって、ねえ?
「あれは、その……麗奈ちゃんがね?パンツ濡れちゃったから脱ぐって言って」
うんうん。ここまでは予想通りだ。
「コップ倒したの私だったから、私も脱ぐって言って」
「痴女だな」
「痴女ですね」
はい。多数決で月乃は痴女。
……ん?
「「……」」
「……ん?」
……どなた?




