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勉強会 1話

 

 ピンポーン


 インターホンの音が鳴り響く。

 今日は麗奈の勉強を見るために麗奈と月乃が俺の家へとやって来ていた。

 といっても、今回は俺達のテスト勉強も兼ねている。


「りっくんこんちゃー!」

「陸くんこんにちは」

「あいよー」


 二人は家に来る前に待ち合わせていたようだ。仲良くやっているようでなにより。

しかし、二人ともオシャレだな。毎回服を変えてくるし、どれも似合っている。元がいいからか?

ちなみに今日は麗奈は薄ピンク色のキャミソールとホットパンツ。月乃は白のワンピースだった。


 二人をリビングに案内し、俺は水を用意する。コーヒーとまではいかなくても紅茶かなんかを出せればオシャレなのだろうが、生憎俺はお茶すら飲まない生粋の水愛好者なのだ。


「そういえば陸くんって成績はどうなの?」

「んー、まあ悪かないよ」


 中の上といったところだろうか。

 決して落ちぶれてはいないが、そこまで勤勉でもない。


「得意科目は?」

「理系全般」

「私と逆だね」

「っつっても、どうせ月乃の得意不得意って習得までにかかる時間の差とかの話だろ?」

「まあねー」


 最近わかったが、月乃は謙遜とかはあまりしない性格のようだ。かといって気取りもしない、どこか達観した風に感じる。


「ちなみにあたしは得意科目なし!」

「誰も聞いてねえ」

「りっくん酷い!」


 ケラケラ笑う麗奈。

 何が面白いんだか。


「つーかさっさと始めようぜ」

「そうだね」「らじゃー!」


 俺が勉強を促すと、二人とも素直に従ってくれた。

 うーん。もう勉強会も数回目になるが、未だに自分の家に美少女が居ることにそわそわしてしまう。慣れるのもそれはそれで怖いが。

 勉強会の方はというと──


「月乃さん、わからないとこまとめてきたんだけど……」

「ん、いいよ。一つ一つやっていこっか」

「はい!」

「……」


 結局、月乃は麗奈につきっきりで俺は一人で黙々と勉強するハメになっていた。

 まあ、なんだ。やっぱこうなるわな。


 なんとなく集中が切れてきた頃、スマホにメッセージが届いてることに気がついた。


(俊平からか)


『麗奈はどう?』

『よくやってるっぽい』

『そっか。最近家でもよく勉強するようになったらしくてさ』

『そいつはよかった』

『そろそろ練習始まりそうだから単刀直入に聞くけど、どうしていきなり麗奈の勉強を見てくれたの?』


 ……見てくれた。ですかい。

 やっぱりあいつもあいつで麗奈のことを心配していたらしい。この妹にしてこの兄ありだな。

 しかし、俊平が詮索してくるとは珍しい。あいつは基本無干渉な奴なのに。適当にはぐらかしておこう。


『気まぐれだ。練習頑張れよ』


 送信っと。休日も部活動お疲れさんです。

 時間もちょうど昼時だったので、勉強もこの辺で一旦区切ることにした。


「そろそろ飯にするぞー」

「はーいお母さん!」

「誰がお母さんじゃい」

「手伝うよ、お母さん」

「乗るなそこ!」


 最近月乃がフランクすぎてお母さん心配よ。麗奈に影響されたのかしら?


 なんてくだらないやりとりをしながら昼飯を食う。

 勉強会の時はいつも事前に『なんでも丼』を用意することにしていて、それをレンチンして食うだけだ。

『なんでも丼』とはその名の通りとにかくなんでも乗せた丼で、なんかしらのタレをぶっ掛けて食う。結局これが一番美味いのだ。


 ……女子二人には不評だが。気が向いたらなんか別のものを作ってやるか。

 まあ、近いうちに。


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