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五十嵐月乃との出会い 1話

一話千字を目安に書いております。

タグの通り、テンポ最重視。

ちょっとした笑いと、登場人物達の恋情をお届けできれば幸いです。


プロローグは全7話構成です。

 

 朝の気持ちいい日差しを浴びながら登校していると、突然それはやってきた。


「おはよう」


 はい。今日は厄日です。


「……陸?」


 何故なら、こんな気持ちのいい朝からこの幼馴染に出会ってしまったからだ。


「陸、寝てるの?」

「寝てねーよ。歩きながら寝てるわけねーだろ」


 俺が反論したところを見て、浅田俊平あさだしゅんぺいは満足そうな顔をする。


「陸、おはよう」

「おー」

「何その返事」


 俺の雑な返事に笑う俊平。

 俺とこいつは根っからの幼馴染で、生まれた時から一緒に育ってきた。

 だがしかし。神は不公平であった。

 顔も頭も完璧。さらに性格もよく、THE・主人公という感じの俊平に対し、俺は普通。ノーマル。それどころか無気力無趣味無宗教という3Mを兼ね備えた人間だ。


「……」

「……」


 俺達は、通学路をひたすら無言で歩く。

 それは、俺があまり喋るのが好きじゃないからだ。俊平はそんな俺に気を使ってくれている。感謝。

 じゃあ何故俊平が現れた時に厄日だと言ったのかというと──


「俊平くんおはよっ!」


 ──こいつだ。

 俊平といるともれなく一緒にやってくる平田風そうおん

 何を隠そう、この平田風ひらたふうは俊平に惚れているのだ。べた惚れ。

 だが俊平はそれに気づいていない。鈍感系主人公ってやつだ。

 しかも学校につくと更にメンツが増える。ハーレム鈍感系主人公だこんな野郎は。本人は否定してるけど。


「はぁ……」


 思わずため息が出る。

 それを聞いて、ようやく平田が俺に反応する。


「あ、後藤いたんだ」

「あ、後藤いました」

「は?」


 こわ。

 ちなみに、後藤は俺の名字です。


「まあまあ、仲良く行こうよ」

「えー♪まあ俊平くんがそう言うならしょうがないなぁ♪」


 はいうざい。


「ほら、陸も」

「うざい」

「は?」

「……すみませんでした」


 女子の低音、怖い。

 ……まあいいや。今日はたまたま学校近くでの遭遇だったからもう別れるし。

 明日はもう少し早く出るか。って言っていつも時間ずらしてるのに俊平に会うんだよな…


「あっ、もう着いちゃった…俊平くんまたね!」


 そうして騒音問題は無事解決された。

 めでたしめでたし。


「陸って平田さんのこと苦手なの?」

「話しかけてくるやつはなあ……」

「あはは…それじゃあ僕もになっちゃうね」

「おう」

「そこは否定して!?」


 実際うるさいやつはあんま好きじゃない。適当なノリくらいならいいけど。

 こいつはそこの線引きが上手いしなんだかんだ関係が続いてんだよな。


「今デレたね」

「心を読むな心を」


 そんな感じで軽いやりとりをしながら教室に向かっていく。

 俺と俊平は同じクラスだ。それも幼稚園からずっと。情報通の奴曰く、教師は俊平のことを俺の保護者だと思っているらしい。なんだそれ。

 そしてそのまま一緒に教室に入……らない。


「あっ!俊平くんおはよう!」

「俊おはー」

「俊平さんおはようございます」


 などなど。

 教室に入るだけでクラスメイトのほぼ全員から挨拶をされる俊平。ご苦労様です。

 俺は大人しく反対側の扉から入って席に着く。当然挨拶はなし。俊平以外に友達いないからな、俺。

 まあ、席が近くなったやつと休憩時間に少し会話するくらいはする。ただ、それ以上はない。

 別にそれを友達というなら友達でもいいけどな。



 そんな俺の学校生活は、ずっと変わらないだろうと思っていた。

 だが、青春の神様とやらは残酷らしい。平穏を望む俺の学校生活は、とある女の一言でぶち壊されることになるのだった───


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