悪役令嬢が憧憬する女の人
純朴な田舎むすめが都会に出て
舐められたらダメだと思って
性格を最悪ぶっていたので
《悪役令嬢》とあだ名されていた
のは知っていた
でもまだ穏やかだったあの時代
またそれも楽しかった
そして今
喜びがやって来る
砂利を噛むあじけない日々に
諦めという身もふたもない喜びが
くっだらない笑顔を見せて
その場を誤魔化そうとしただろ?
もういいこんなに辛いのなら
なにもかも放り出したいと
最後には思ってしまっただろ?
毎日見ている鏡のなかにいる
オンナの表情はあれで大丈夫なのか?
引きつった辛い微笑みなど
浮かべてはいないだろうか?
なぁオンナ?
《悪役令嬢》は諦めたのか?
いとも簡単に傷ついてしまう
繊細で柔らかい日常の心を突き刺す
尖った風にも
引かずに立ち向かえているのだろうか?
そういえばあの頃
《引かずの姉御》と
陰でこっそりとあだ名されていた
彼女は今も昔のままで
一歩も引かず
世界そのものとだって
闘い続けているという
黄色い狂気の疾風を
巻き起こし続けているという
衝撃の
綺麗なうわさは耳にはしたけれど