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31日目 廃墟の横にある道で

2,005文字

私が通う高校は、駅からバスに乗り、片道10分くらいの道のりがありました。

空は分厚い薄黒い雲に覆われ、地上は前日降った雨により湿度が上がっており、蒸し蒸ししてた。

平日は電車もバス停も、通学・通勤の人達でんでおり、蒸し暑くて待っていられない。並ぶのは面倒臭いと思った私は、徒歩とほで通学する事にしました。


中学では登山部だった私は、これくらいの道のりは苦痛にならず、寧ろ最近座学ばかりだったので久々にいい運動が出来るなと思っていました。


しかし、学校に向かって歩き出して15分くらい歩いた所にある、屋根はいくつか腐り地面に落ちていて如何にも廃墟。

その廃墟の横を通ったとき、何故かそこだけ湿度が高いのか空気がジメッしていて、しかもカビのような嫌な匂いが鼻をかすめた。

私は眉を潜め、鼻を腕で覆い隠しながら、急いで廃墟を通り過ぎようと速足で歩く。

その途中、廃墟の壁に寄りかかりながら、髪もボサボサで目が以上にデカい。と言う印象を持たせた、小汚い女性と目が合った。


(なに……あの人……。)


なんて思いつつも、関わっているのも時間の無駄なので、そのまま真っすぐ学校に向かった。

普段バス通学なので、感じる事は無かったのですが、歩いてみた時、あそこだけ他の道とは違く、良く分からないけど気持ち悪い感じがした。

なので出来れば、定期券も買っているし、歩き通学はしない様にしようと考えながら、その日は授業を受けたのでした。


その日から、あの家があるところを通ると、つい気になって見てしまうようになってしまいました。あの女性の大きな目に見られてる気がするんです。気配のほうに顔を向けると、毎回あの廃墟で、しかも決まって女性がいつもの所に立っています。

……普通の人間が、時速約40キロで走っているバスの窓を通して私を見てるなんて、そんな事があるわけないのに。



あの女性と目が合って早3カ月がたったある日……その日5限の授業が終わって身支度を整えていた時、先生に呼ばれ進路についての話をする事になり、しかもその話が長引いてしまい、やっと帰れると思った時に、彼氏に振られて泣いている友達に捕まってファミレスで話を聞く羽目になってしまい……等と、付き合っている間に時刻は22時を過ぎてしまっていた。


さすがに田舎なのでバスももうなく、こんな時間にタクシーが通っている訳がない。友達は私と同じく高1なので車の免許を持ってるわけなく、仕方なく私は歩いて駅に向かう事にした。

一応体力は有る方だが、さすがに疲れている私の足取りは、重く遅い。


夜だから怖いと感じたので、なるべく人気のある道を歩いているのですが、次の電車の時間には乗りたいので、どうしてもあの場所を歩かなくては行けない事に憂鬱に感じ、更に足取りが重くなる。


ふと、何時もの気配を感じ顔を上げると


……また居た……


もう夜だというのに、いつもと変わらない様子で小汚い女性がそこに立っていた。


(本当に何なのだ?)


自分の気分を害するものに、若干の怒りを覚えながら、女性の前を通り過ぎ、そのまま駅に向かって歩いて行く。

しかし、何か重い物を引きずる様な音が時後ろから聞こえてきたので、気になって振り返ってしまう。


「……っひぃ!?」


振り返った私の眼には、右足を引きずりながら歩いて来る女性の姿が映った。ゆっくり……ゆっくりだが、確かにこっちに向かって歩いて来ている。女性が近付くにつれ、カビのような不快な匂いが強くなってきているような気がした。


街頭の光に照らされ、女性の大きな眼がギラリと白く光った気がした。それを見た私は混乱して、一心不乱に駅に向かって走ったという記憶がある。

その日寝た時に悪夢として、その女性が出てくるほど恐ろしかった事を今でも覚えている。


後日からは、徒歩で帰ることは絶対にしない様にした。バスがない日は必死にお願いして親に迎えに来てもらうして帰ったのでした。


それからも毎回バスで通るたび見かけるのですが、あれは生きている人なのでしょうか?

あんなものが朝だけじゃなく夜も彷徨いていると皆知っているのなら、警察に捕まっていると思うのですが。


私は、あれ以外に幽霊みたいのは見た事はなく、自分でもよく分からないのですが、あれだけは、よく見ることが出来ていました。

いまもあの辺なものが、あそこに彷徨いているか分かりませんが、不審者が警察に捕まったなどの情報は耳にしていないので、きっとまだあそこを彷徨いているのかもしれませんね。


今は、車の免許を取ったので歩いて学校に行くことは無くなったのですが、皆様も一人で出歩くときは、気をつけてくださいね。


ちなみに、その女性と関係あるか分からないですが、その廃墟……いや、家には人が住んでいるらしく、役場からは【何時壊れるか危険な状態だから、その家を壊すように】と命令が出ているらしいが、そこの住居人は一切耳を傾ける事無く、今もそこに住んでいるらしいです。

フィクションです。

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