24日目 何故こんな事に……
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「……は!?」
俺は、気が付くと首に縄をかけていた。
驚きのあまり、足を滑らしそうになった。何とかバランスを整え、なぜ首つりをしようとしていたのか自問自答してみる。
結果……うん。やはり、よくわからない。
「と…取り合えず降りよう…だよな…。」
降りて、財布を持ってアパートを出た。出来るだけ、あの縄がかかった部屋から離れたかったのだ。
コンビニのお菓子コーナーで、ポテトチップスと睨めっこしながら、なぜあんな状況になっていたか推測する。
いじめはないし、学校の授業は相変わらず退屈だが、命を絶ちたいと思うほど酷いわけじゃないし。やはり思いつかなかった。
最悪、部屋が悪い可能性もあるので、コンビニで色んな種類のポテトチップスを手土産にして、その日から友達に家に泊まらせて貰うことにした。
「しっかしオマエ、引っ越した初日に人ん家に泊まるなんて、普通逆だろっ。」
なんてツッコミながら家に入れてくれた友達に感謝した。そして、友達とふざけながら、そんなことがあったことを伝えると、面白そうだから調べようぜという事になった。
で、そんな楽しい時間は、俺が今日引っ越した家が、実はそこは近所では有名な自己物件で、自殺者が絶えないという場所だった。と言う事を知った時に終わった。
友達は、この事を知った後
「なんか……その、お前が無事で良かったよ。」
と、哀れみの視線を向けながら、俺の肩に手を置いたのでした。その時、奴がニヤリと笑っていたことを覚えている。
その時の表情と仕草に、正直馬鹿にされたのがムカついたので、俺は一発、(本当は思いっきり叩きたかったが、泊めてもらうので)頭を軽く叩いてやったのでした。
それからは、部屋の事を事前に調べてから引っ越すことにしたのでした。
この日の事を教訓にして。
フィクションです。