2日目 嫌なもの見ちまった。
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卒業式の日に私は、人身事故の一部始終を目撃してしまった。
本当に何で、あんなもん見ちまったのだろうか?
運が悪かったのか。これが運命だったからと言えば、それで一言で終わるだろう。
3月の寒空の下、電車が通過する事を伝える駅のアナウンスを聞き流しながら、その時喉が乾いていたので私は、自販機の前に居た。
財布から小銭を出してる時、重い物が落ちる鈍い音と甲高い女性の悲鳴等が聞こえて来た。
「あっ……落ちたっ!」
しかし私は、手から転がり落ちた500円玉を追っていて、それどころじゃなかった。
たかが500円。されど500円。500円では160円のお茶が3本しか買えないから。
バランスよく縦になりながら転がっていく500円玉を足で踏み付けて、黄色い誘導ブロックの前で止め
「ふぅぅ~。あぶねぇ~。」
その場でしゃがみ、500円玉を拾った。
その時、黒い物が目の前に落ちてきた。目の前に落ちてきた物を、思わず凝視しながら
私は動けなくなる。
目の前に置かれた生首によって。
生首から、赤い液体が染みだし、私の足元はみるみる赤くなっていく。
目の前にある生首は、動けなくなっていた私に気付くと、意味ありげに口をかすかに動かす。そして、気が済むとニヤリと口の端を釣り上げ、ピクリとも動かなくなったのでした。
その日の帰りの時、駅員さんに聞いた話だが恥ずかしい事に私は、生首の前で発狂していたらしい。
朝食べた物をその場に吐き出しながら泣き叫んでいたらしい。
今も生々しく鮮明に思い出せる光景だ。正直言って、不気味でしょうがない。その時落ちてきた生首は、私の目を真っ直ぐ見て《次はオマエ》と、口を動かして笑った気がして。当時はその出来事が不気味でしょうがなかった。
まあ、もともと学校に行く為だけに電車に乗っていたので、その日からは、電車に乗る機会がなくなり
駅に行くことすらなかった。
てか、余りにも不気味なので、もう一生近づかないと、その日から決めていた。
しかし昨日、この話を電車に乗りたくない理由として話したのだが、高校からの友達には、考えすぎだと笑われた。
(確かに考えすぎだな。)と、自分でも馬鹿らしくなったので、明日友達3人で行くディ○二ーには電車で行く事に決まった。
明日電車を乗って無事に帰れたら、この話も笑い話になるし、いい機会だろう。
そう思っている。
フィクションです。