17日目 見知らぬ子とかくれんぼ
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気が付くと、近所の公園にいた。何でこんな所にいるのか、自分でもわからない。
ボケっとしていると
「ねぇ、私とかれんぼしようよ。」
赤い服を着た三つ編みの少女という認識しか捉えることができない、初めて見る少女に話しかけられる。俺は別に何もすることないし、かくれんぼする事になった。
ジャンケンをして勝ったので僕は、探し出すのに自信があるから自分から鬼になると言った。
赤い服だから、見つけやすいだろう。そう思っていると、少女は何だか残念そうにしながら隠れていった。
そして、予想通り簡単に見つける事ができた。
赤いスカートの裾を木の陰からチラつかせていたので、予想以上に簡単に見つける事が出来た。
「じゃあ、私が鬼ね。」
と、少女は嬉しそうに笑いながら言ってから、100を数え始めた。
正直言って100秒なんていらない気がしたけど、少女が余りにも楽しそうなので文句は言わないで隠れられる場所を探した。
そして、探す事が出来るのが楽しみなのか、少女が10~9~8~と物凄く嬉しそうにラスト10秒を数え始めた。
その時、体が揺すられる感覚と、誰かが自分を呼ぶ声で目が覚めた。
顔を上げると、そこには見知らぬ人……ではなく見慣れている顔(そう言ったら失礼だろうか…。)……幼馴染の心配そうな表情があった。
「……あれ?なんでこんなに暗いんだ?」
「男だからって変な所で寝るのは止めた方がいいぞ?いくら寝相が良いからってブランコで寝るのは危ないと思うよ。」
「へ?あ……そうだった……」
公園で、明日テストなのが嫌で
黄昏ていて、そのまま寝てしまったことを思い出して思わず笑ってしまう。
ブランコから降りて、幼馴染と一緒に歩いて帰ろうとした時
「もう少しだったのに…。」
と、何故か聞き覚えのある少女の声が耳元で聞こえてきて
振り向いたが、そこには誰もいなかった。
なぜ誰の声だか思い出せなかったかというと、少女とかくれんぼしていたなんて事を、その時既に忘れていたからでした。
フィクションです。