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12日目 所詮は子供の間の噂だ。

1,614文字

小学生6年の3学期中盤。眠くてボンヤリしながら家に帰ってる途中、車に轢かれちゃった。

幸い打撲だけで済んで骨折はしてないが、頭の血管切れてたら大変だからって、一日だけ入院することになった。


「ねえ、知ってる?病院の廊下、深夜一人で歩いていると、後から誰かがあとを付いてくる。

それで追い付かれたり、振り返ると、あの世に連れていかれちゃうって話。」

……なんて、その時初めて合った男の子が、楽しげに教えてくれたけど、こんなの下らない作り話だとわかってた。


だって、追い付かれたり振り返った後、あの世に連れてかれちゃうんだったら、この噂を流した人はあの世から出て来なきゃいけないでしょ?有り得ないと思うんだ。

それに、その誰かって看護士さんだと思うの。だって深夜病院の廊下を歩いてれば、お仕事で私達に対応してくれると思うし。

そんな感じにきいた噂話を正直バカバカしいと、思ってい馬鹿にたんだけど……。




深夜3時くらいの時、ふと目が覚めた。

気持ちよく寝ていた中、無理やり起こされた時と同じ不快感を感じながら、体を起こす。下半身が異様にだるい。下手に動いたら、体の中から溢れてしまいそうだった。

つまり……トイレに行きたくなったのだ。


生理現象だからしょうがない。寝る前にトイレ行ったのだが、その後お茶を飲んでしまったのが悪いのだ。正直面倒くさくてしょうがないので、溜め息吐きながらゆっくりベットから降りる。

ベットから降りて床に足をつけた時、床があまりにも冷たくて、漏れそうになったが何とか我慢できた。


病室に出る直前、男の子から聞いた噂を思い出してしまった。

病室から出ることに無意識に躊躇していた事に、バカバカしいと思って、首を横に振って噂話を頭から何度消しても、しつこい事に頭の中でループして思い出してしまっていた。




「……やっぱり何もないじゃんか。」


何事も無くトイレに行けた後、この噂を作った人に恨み事を呟きながら、自分の足音が響いてる廊下を歩いた。


学校にある私の席は、黒板から見て一番後ろ、そして窓の隣にある、一番後ろで端っこの席。

トイレから病室までの距離は、黒板のある方のドアから私の席に行く位の距離がある。私が寝ていた部屋からトイレはそれくらいの距離であり、それほど遠く無い。しかし、私はまだ背が小さいので、どうしても歩数が沢山必要になる。


……なので、真っ直ぐな廊下を歩いてると地味に遠く感じていた。


最近の病室は各一部屋ずつトイレがあるものだ。しかし、ここの病院は古くて、しかもこの病棟は長い間リフォームなんてしていないので、病室各一部屋ずつトイレは付いてない。


おそらく、この噂を作った人は心が歪んでいるのだろう。

深夜トイレに行きたくなったらどうしても部屋から出て廊下を歩かなきゃいけないのだ。

今まで何人の人がこの話を聞いて、怖くてトイレに行けなくなって、おもらししたのだろうか。


そんな事を考えながら廊下を半分まで歩いた時、後から足音が聞こえてきて体が動かなくなった。


動けなくなっている私をよそに、足音は徐々に大きくなっていき近づいてきていた。

驚きのあまりに動けなくなってしまった私は、体に力が入らないのはお化けのせいだと確信していた。

さっきトイレに行っていなかったら漏れていただろう。それくらい怖かった。



頭の中で、(振り向いてはいけない。追いつかれてしまう。追いつかれたらあの世に連れてかれちゃう。)そう訴え続けていたが、全く動けない。


「山田さん?どうしましたか?」


しかし背後からトントンと肩を叩かれ、優しい声が聞こえてきた瞬間、動かなかった体は嘘のように素直に動き、私は振り返ってしまった。


「あ……看護師さん……。」


私はあの世に行くことなかった。所詮噂は噂なのだと思った瞬間だったな。


そこには見回りに来た看護師さんがいて、不思議そうな顔で私の顔を見ていた。

噂話を話すと、楽しそうに「そんな噂あるよねぇー。」て、のんきに話を聞いてくれたのでした。


フィクションです。

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