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11日目 石を蹴った馬鹿の末路

1851字


家から近い高校に入学し、面白おかしく高校生活を満喫していた。

そんなある日、何とも奇妙というか怖いというか気持ち悪い体験をしました。


生まれた時から何だかんだ付き合いのある腐れ縁で幼馴染のマサルが、中間テストの(赤点を)結果が悪い(取りやがった)という事で、1人だとサボるかも知れないと思われたのか、俺は先生に頼まれて一緒に補修する事になった。


「おいカツキ(主人公)~あの先生ほんとバカだろ思う。カツキも思うだろ?アイツいつもクシャミするとき微妙に白目むいてんだぜ?」


「あ~はいはい。ちゃんと手を動かせ。口じゃなくて手を。」


こんな感じにマサルは補修プリントをやっている最中、ずっとこんな感じにその教科の担当教師の悪口を言っていた。御陰でお昼には終わりそうな課題でも時間が掛かり、帰り道は夕日でオレンジ色に染まっていた。


「はぁ……お前のせいで夏休みが一日潰れたぞ?」


「知らんし。先生のせいだし~。」


(お前が赤点取らなきゃ補修ないんじゃ……。)


マサルの反省のなさに呆れて、本日約100回目の溜息がでかかった時、半透明の白い石が落ちているのに気づいた。

ただ他の石と違うなと思う、少し綺麗な石なのだが、この時無性に俺は『拾いたい』『欲しい』と思っていた。

しゃがんで石を取ろうとした時、白い何かが髪の毛をカスって行き、石はそのまま近くの土手に落ちていってしまった。


「……っあぶねぇじゃねぇかマサル!」


白い物体曰くマサルが履いた白いシューズを指さしながら、俺は石を蹴り上げた本人に怒鳴った。

マサルはサッカー部に所属しており、頭は悪いが脚力はある。なので現在美術部所属している俺なんか、コイツの蹴りを受けたら死ぬか骨折していたと思う。


「いや~ごめんごめん。何か無性に蹴りたくなって。」


と、そんな感じに適当に謝られた。


この時俺は、土手の方を見て、見つかりそうにないので諦めた。


『拾いたい』『欲しい』自分を、実際には拾ってないので棚に上げ、「普通の石じゃ中たった気がする。落し物かもしれないものを!」と、自制が利かないマサルに、オカンのようにネチネチと注意しながらアパートに帰ったのでした。



……で、その日の深夜。

その日のストレスをマサルにぶつけたお陰かスッキリしていて、石の事なんか完全に忘れていた俺はゲームをしていた。

(今日は調子が出ないし、寝よう)と考えて、寝ようとした時、隣の部屋から唸り声が聞こえてきた。



やっすいアパートなので、隣の部屋は丁度マサルの部屋になっており、大声出すと電話なくとも会話が出来る程、壁が薄い。

(最近多種多様なソロプレイをする事にハマっているマサルの事だ。きっとまた新しい方法でセンズリをこいているに違いない。)と、思っていたのだが、声が余りにもうるさいのでムカつき、邪魔をしてやろうと思いついた。


壁を3回強く叩き「おい、マサちゃんうるさい!ママにバレるぞ!!」そう言ってやった。


何時もならコレで怒り出し、マサルは壁を蹴る。そして、マサルの家のかーちゃんが出てきて惨事が終わるのだが……おかしい。相変わらず呻き声が聴こえてくるが、それ以外何もない。


「……おい、大丈夫かよ……おい?」


返事がない。俺は恐ろしくなって、自分の部屋から出た。そして、玄関で靴を履いて、隣の家……マサルの家のインターホンを鳴らす。

一回……二回…三回。何回鳴らしても、マサルの家の人は出てこない。


「おい…マサルのかーちゃん今日は夜勤かよっ……。」


ドアノブを回してみる。鍵はしまっている。当たり前の事だ。

前マサルが隠し鍵のありかを言っていたのを思い出し、植木鉢の皿に置いてあった鍵を使って家の中に入った。


この時俺は冷静じゃなかった。馬鹿だけど大事な幼馴染なのだ。



いそいで、マサルの部屋に入る。すると床には、両手で首を押さえ、顔を真っ赤にして目から涙を零し泣き、口からヨダレを垂れ流しながら、今来た俺を見上げているマサルの姿があった。


「おい!どうしたんだよマサル!!」


俺が急いで駆け寄った瞬間、マサルは目をめいっぱい開かせてから、背を反り返らせ、嗚咽音とともに何かを吐きだした。


ゴトリ…と、硬いものが落ちる音がきこえ、床を見ると……そこにはあの石があったのでした。

うん。気持ち悪かった。マサルが死ななかったのは良かったのだが、吐き出す瞬間の動きが、骨無いんじゃないかと勘違いする程、ぐにゃぐにゃ動いていたから。



え~と、そんな事があったのですが、マサルは社会人になった今でも、相変わらず学習できない憎めない馬鹿なままです。

フィクションです。


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