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《7》精霊が逃げたロッド


 マーガレットは先を急ぐ旅をしているらしい。

「一刻も早く勇者たちと合流したいんです」

 聞きもしないのに、ネロに話してくれた。

 ネロもそれなりに急いでいる。

 今は無駄話に付き合ってやる暇はない。 

 別に知りたくない、と突き放すこともできたのだ。

 けれど話しはじめたその内容は、捨て置きならないものだった。

「私のパーティーは爆炎の勇者が中心になっていて、魔獣退治と保護をメインにしています。数日前に海岸部で爆発があったの、知ってますか?」

 海岸部。

 ネロが向かうハルリアも海岸部だ。

 しかし爆発とはどういうことだろうか。衝撃波ではなく、爆発。

「あれか? 昨日の衝撃波があった件か?」

「衝撃波があったらしいですね。でも私の言っているのは別件だと思います。昨日じゃなく、多分三日前。あれは巨大な爆発でした」

「爆発……」

 その話しは聞いたことがない。ロキもサヴァランも言っていなかった。

 あいつらも知らなかったのだろうか。いや、隠しているだけか。それともこの少女が嘘を言っているのか。

 もしくは、ハルリアとは違う場所のことなのか。

「あの爆発の時、私たちはリテリアの森にいました。魔獣が近隣の村に出没して、その退治と原因を突き止めるという依頼を受けていたんです」

「近隣の村というのは?」

「ハルリア村と、その周りの集落です」

 やはりハルリア村だった。

しかし、爆炎の勇者、ね。

「もしかして、その爆炎の勇者とやらが、間違って大爆発を起こしちまった、とかか?」

 するとマーガレットは顔を真っ赤にして怒った。

「そんなわけないでしょ! 爆炎の勇者はカンバリアで三本の指に入る凄い勇者なんだから! それに爆炎ってのは称号でその勇者のイメージや強さを表すものなの! 別に爆発魔法とかそうゆうのを使いまくってる危険人物じゃない! そんなこと言ってたらネロさんなんか勇者になったてカッコいい称号なんてつかないんだからね!」

「お、おお……すまん。悪かった」

 あれはうちの勇者がバカやったんです! と言うのかと正直思ったのだ。しかし、もしもちゃんとした称号持ちであるならば、その勇者はなんちゃって勇者ではないかもしれない。

「ほんと失礼しちゃう。これだから田舎者は」

 カチンときた。コーカルは確かに首都ではない。リンミー家はコーカル市設立当初から市長を歴任している。先祖代々まるっとバカにされた気分だった。

 けど怒ったりなんかしないさ。俺は大人だからな。

 そう自分に呪文を唱え、ネロは先を促した。

「それで? その爆発がどうしたんだ?」

「あ、あー。えーっと、その爆発なんですが……、爆発、なのかな?」

 マーガレットは自信なさそうに首をかしげ、歯切れ悪く続ける。

「たぶん爆発だと思うんですけど、物凄い強烈な光と、……炎? を見たんです。海の方でした」

「ハルリア村に……その時いたのか?」

「いえ、村の中ではなかったです。その周りの森の中です」

「海のほうっていうのは、ハルリア村の方向ってことか?」

「そうです。森を歩いていたら、突然強烈な光と、……衝撃と……、最後に爆音」

 思い出したのだろう、マーガレットは僅かに青ざめた。

「一瞬でした。そして、私は、吹き飛ばされたんです」

「吹き飛ばされた?」

「だと、思います。衝撃波と音をビリビリ感じたと思ったら、凄い力で引っ張られるような感覚がして、空気と空気の壁の細い隙間を無理やり通されてるというか、なんか、もう、抵抗できない……見えない力で」

 ぶるぶると、いや、わなわなと震えだす。

「気がついたら、ホリエナの湖のほとりでした」

「ホリエナ……?」

 ホリエナ湖。

 カンバリアの首都の郊外にある、国立公園指定がされている湖だ。

 ホリエナ湖の周囲には森があり、森も湖も一年の大半が霧に覆われ、《ホーン》が生息している。

 《ホーン》とは一角獣のことだ。一角の白馬が有名だが、一角であればどんな神獣でも《ホーン》と分類される。

 生物学的ではなく、魔生物学的な分類である。《ホーン》の一角部分には法力や神力、もしくは魔力を作り出す器官があるとされ、魔法道具の原料として乱獲の対象となっていた。見た目も美しいので、剥製やペットとしても闇取引されている。

 これから向かうリテリアの森にも《ホーン》はいる。ただ、リテリアの森で有名なのは《フーイ》と言われる翼のある神獣だ。

 いずれも稀少であり、乱獲対象であり、厳重保護対象だ。 

 そしてホリエナ湖の特徴はもう一つ。 

 精霊の棲み処。

「……なんでホリエナ湖に?」

「わかりません。湖のすぐきわでした。あたりは薄緑色で、……霧がかかっていたんです。近くにこのロッドが落ちていて、それを拾おうとしたら湖に落ちました。……ロッドは湖に浮いていたんですけど、それに気が付かなくて」

「そのロッドは沈まなかったのか?」

「え? ……あ、はい。浮いていましたね」

「霧の中、お前はそれが見えたんだな?」

「……ええ」

「なんでだ?」

「さあ? ……でも言われてみればなんででしょう。その時は必死だったので深く考えませんでしたね。急いでロッドをつかんで、岸に戻って、さんざんさまよって。やっとの思いで人道を見つけて、森から脱出したんです。脱出して初めてホリエナ湖の森だと知りました。すっごい驚きました。だってリテリアの森にいたんですよ? リテリアのどこかだと思うじゃないですか」

「そうだな。でも、……注目するべきはそこじゃないぞ。おい、そのロッドをよく見せてみろ」

 ネロはマーガレットからロッドを借り、まじまじと観察した。

 古木の柄に大きな宝石。

 よく磨かれているが、作られて百年は経っている。

「姉君が賢者だと言ったな?」

「え? あれ? 言いましたっけ?」

「言ったんだよ、酔っ払い。で、本当に賢者か?」

「ええ。そりゃあもう、立派な賢者ですよ。同じ魔術師職業学校を出て、法術高等学校に進み、その後、私立の魔法学院に入ったんです。それから教会で一年間法術師として勤め、その後、勇者に乞われて冒険者になりました」

 魔術と法術を身につけ、そして教会勤めをしていたから賢者か。

 ずいぶん安いものだと思ったが、この場で言うことではない。

「その姉君はこれをずっと使っていたのか?」

「最初の冒険で手に入れたと言っていました。でも、他でもっと良いのが手に入ったので、私にくれたんです」

 もっと良いもの、か。

「その、もっと良いものとは、どこで手に入れたんだ?」

「買ったんだそうです。すっごい高かったって言ってました。新品の魔法ロッドですって。見せてもらいました。白銀でできた、そりゃあもう美しいロッドでした」

 新品で、白銀。

 おそらく最先端の魔法技術と高名な意匠によって作られたのだろう、と予測するが、ネロは鼻で笑いたくなった。

 このロッドに残る気配。

 これは相当な力をもった精霊が宿っていたものだ。

 それこそ昔の大賢者が、精霊との壮絶な交渉の果てに宿したものだろう。

 おそらくホリエナの精霊。

 この柄に使用されている木も宝石も、ホリエナの森と、湖もしくは地中から採取したものだ。

 精霊とは、肉体を持たない生物とされている。肉体を持たない生物の中には、朝露と共に生まれ霧となって散る、儚い者もいる。

それは妖精と呼ばれた。

 魔法使いや召喚士は、強力な精霊を呼び出し、力を借りたり使役したりする。

だが、どうして人間ごときの命令を精霊がきくのか、その理由は定かにはなっていない。

 己を呼び出すことのできた人間を讃え、褒美として力を与えてくれているのだという研究者もいる。

 そうかもしれない。否定はしない。

 けれど、ネロは知っている。

 精霊召喚は、術者と精霊の命をかけた戦いである。

精霊を思うがままに使うことができるのは、その壮絶な戦いに勝利した者だけだ。戦いに敗れた術者には、それ相応の怪我や呪いが降りかかる。時には死さえも。

 悪魔召喚よりも精霊召喚のほうが良しとされる風潮だが、やっていることは同じなのだ。

 また、逆もある。

 力を持った精霊が肉体を持ちたいと思い、人間に声をかけることもある。欲をもった悪魔が、人間世界に入り込みたいと思って、人間を惑わすこともある。

 人間が精霊や悪魔を召喚するのと違うのは、精霊も悪魔も、なぜか弱い人間ばかりを狙う点だ。

 そして、強い人間に声をかけてくる精霊や悪魔は、総じて魔王級のヤバさをもっている。

「お前、運が良いのか悪いのか、分からないやつだな」

「え? どうゆうことですか?」

「このロッドは、姉君が新調したロッドよりももっと価値のあるものだ。姉君がお前をかわいがっていて、わざわざこれを託したのだとしたら、相当なかわいがられようだ。姉君がこのロッドの価値を分からず、お前におさがりとしてくれてやったとしたら、お前はそうとう運がいい。はは」

「ネロさん?」

「運がいいが、このロッドは壊れている」

「壊れている? まさか! あ、でも……」

「思い当たる節があるのか?」

「はい。昨夜です。酔っぱらっていて暴発させたのだと思ったんですけど、……、絡まれて、絡んできた人とかを眠らせようと思ったんですよ。けれど、唱えた呪文が術に変換されなくて、魔力だけがたまって、ボカン! 酔っぱらってたからじゃなくて、……このロッド自体が壊れていたから……?」

「ああ。……中に宿ってた精霊が、忽然と姿を消している」

「えっ……」

「四大元素の中でいうなら、水と風を司る精霊だな」

「精霊の宿ったロッドだったんですか……これ」

「そうだ。しかもこれだけ古く、しかも状態の良い木と宝石。なおかつ常に精霊の力と接していたのなら、このロッド自体にも魂が生まれるなどしていておかしくない。だが、その気配がない」

「……は、はぁ……」

「だからー、このロッド自体に魂があるはずだってことだ! 簡単に言えば、聖剣の一種のはずなんだよ、このロッドは!」

 なんで理解しないのかな、この魔法使いは。本当に魔法使いだろうか。

「ええ? 聖剣の一種?」

 魔力や法力の宿った剣を、魔剣もしくは魔法剣と呼ぶ。そして聖剣とは、聖なる力をもった剣とされている。

 だが、一般的に言われている魔剣や聖剣のほとんどは、魔法剣なのだ。

「そう。例えば、俺の持ってるこの剣。大雑把に言えば、魔剣だ。正式分類は魔法剣。魔剣はその剣そのものに魔力が備わっているもの。で、魔法剣とは、魔法をかけたり精霊を宿したりして、力を後付けしているものだ。魔法剣は量産できるが、魔剣は自然発生だから、作り出すことはできない。聖剣も同じ。このロッドは、元は精霊を宿した魔法剣の一種だった。だが、その協力は精霊の力に長年さらされていて、ロッド自体が変化した。そして魂を持ち、何らかの力を得た。つまり、聖剣の一種だ」

「す、凄い。そんな凄いロッドだったなんて……」

「その上、かなり強い精霊が宿っていたんだ、相当なものだぞ」

「うわあああ、お姉ちゃんありがとう!」

「が、壊れているんだ」

 歓喜のあまり、涙しそうになっていたマーガレットだが、ネロの言葉に一瞬にして沈んだ。

「しかも、精霊がいなくなっただけじゃない。ロッドの魂が消されている」

「………………つまり、」

「つまり、死んでる」

「…………そんな」

 ネロは魔力をもって探った。

 このロッドに起こったできごとを、できうる限り知ろうと試みた。

 今更ながら昨夜のタリスマンへの探りを悔やんだ。

 魔力と体力の消耗は激しい。回復できていない上、さらに魔力を繰ろうとすると、痛みがネロの細胞を襲う。

 これ以上の魔力の消費は危険だと、体の全ての細胞が警告をしている。

 けれど、ネロはどうしても知りたかった。

 深部にあるのは、誰のかは分からないが、古い刻印だ。

 おそらく、このロッドに精霊を宿した者の勝利の刻印、精霊にとっては呪縛の刻印だ。

 かすかに魔力と法力が感じ取れる。

 刻印はしっかりしているが、魔法力は薄れていたので、精霊は逃れようと思えばできただろう。

 しかし長い年月宿り続けていたということは、ロッドとしての生き方をそれほど嫌がっていなかったのかもしれない。もしくは、持ち主のことを気に入っていたのか。はたまた、相当強い術者の手を点々としていたのか。

 ともかく、精霊は自らの意志でロッドに宿り続けていた。

 そして、ロッドに生まれた魂の気配。。

 精霊の眷属ともいえる、風の力をもっているようだ。妖精に分類できる。

 この微力な魂が、精霊をつなぎとめていたのかもしれない。

 精霊とロッドの魂の関係は良好だった。

 それこそ、幼い妹を慈しむような、強い姉を崇拝するような。

 そして、それらの情報を覆いつくす、謎の力。

 魔力だろう。


 うん。

 

 魔力だ。

 

 経験上、この種類の魔力にお目見えしたことがない。初めての魔力である。

 かなり特殊だ。

 よく分からないが、禍々しいというか、あまり好きではない。

 なんだかざらざらしている。禍々しいというか、粒子が粗いというか、触っただけで肌がすりむけそうな感じだ。

 でも質はいい。

 うん。これは凄く質が良い。

 そうか、このざらざら感はわざとだ。

 あえて、魔力に触れるものに傷を負わせるような作りになっている。

 これならば、微力の妖精程度ならば簡単に殺せるだろう。

 そうか、これは殺す力なのだ。

 感じ取っていた魔法の書き換えの失敗。それは殺すための魔力が、やすりで表面を削るように、ロッドを殺した痕跡なのだ。

 この痕跡を探れば、どんな魔法なのか知ることができるかもしれない。が、難しい。

 読み取ることが困難なくらいにボロボロだ。 

 なぜだ。

 そうか。風に乗ったからだ。

 マーガレットが感じたという、空気と空気の隙間。

 きっと風の細道だろう。

 魔法で作り出した風に乗って移動したのだ。

 ものすごいスピード、もう瞬間移動の魔法レベルのスピード。

 精霊が作り出した風だ。 

 そうか、精霊は逃げたのだ。

 殺すための魔力から。

 そして、自分のいるべき森と湖に戻り、そこで消えた。

 ロッドから出て逃げ延びたのか、それとも、そこで力尽きたのかは知らないが。



「あの、ネロさん?」

 ネロはそっと視線を上げた。

「……」

「大丈夫ですか?」

「疲れた。さっさと次の街に行って、宿屋で寝たい」

「……大丈夫そうですね」

「いや、どうしてそうなるんだ。疲れたと言ったじゃないか。心配してくれよ」

「心配しましたけど。そんなことより、ロッド、なにかありましたか?」

「お前なぁ。……、まあ、お前は……ほんとうに運がいいのかもしれないな。このロッドの精霊に、助けられたのかもしれないぞ」

「というと?」

「だって、お前は無傷だろう?」

 この魔法使いを連れて逃げたのか、それとも逃げるついでに連れて行っただけなのかは分からない。

 だが、この魔法使いの少女は、ハルリアの悲劇の被害者にならずにすんだのだ。このロッドのおかげで。

 しかし、残された爆炎の勇者たちは、どうなのだろう。

「それに、精霊や魂はもういないが、ロッド自体には破損はないみたいだ。腕の良い魔道具師に頼めば、ロッドとして再び使えるようになるだろう」

「そ、そっか。……そっか、そっか……、そう、ですか……」

 ロッドを返すと、受け取ったマーガレットはどこか冴えない笑顔でそれを見つめた。

「精霊とか、魂とか、これまで全然考えていませんでしたけど、……死んじゃったって聞くと、なんだか……悲しいですね……」

「そうだな」

「……、なんだか、これに他の精霊とか宿すの、やだなぁって……」

「……、なんか、それはわかる」

「わかります? よかった。……よかったぁ」

 そう言って、マーガレットは泣きそうな笑顔になった。ちょっと胸が痛んだ。

「勇者と合流できたら、お願いしてホリエナの湖に行ってみます。そして、このロッドに宿っていた精霊を探してみようと思います」

「うん。思うように動けばいい」

「こうしちゃいられませんね! 早く勇者に合流しないといけない理由が増えました!」

「理由が増えたって。急いでた割には、酒場で酒飲んでな」

「……もう、いじわる! いいじゃないですか、少しくらい息抜きさせてくださいよ。……ホリエナからコーカルまで移動して、そこからやっとあの宿屋にたどり着いて、……せめて美味しいご飯とちょっとだけお酒、と……思ったんですよぉ」

 ホリエナからコーカルは遠い。頑張れば一日で移動はできるが、息つく暇もないだろう。しかも、霧深いホリエナの森だ。そこから抜け出すのも一苦労だったはずだ。

「……仕方ないな、じゃあ、俺も一緒に探してやろうか? その勇者っての」

 あまりにもかわいそうだったので、いや、かわいそうな未来が見えていたので、ネロは情けをかけずにはいられなかった。

 勇者、生きてはいないかもしれない。

 そう思っている。

 しかしそれは口にはできない。

 けれど、このまま何もせずにマーガレットを勇者探しに向かわせるのは良心が痛む。

「俺もハルリア方面に用事があるんだ。だから、……、ほら、聞き込みは一人よりも二人でやったほうがいいだろうしさ」

「……」

「…………、若い子に手を出そうとは思っていませんよ?」

「そんなこと思ってたんですか!」

「思ってないって! それにお前、ちょっと若すぎるし。せめて二十歳はコエテいてほしいよな。見た目的にも」

「セクハラですけど!」

「そんなつもりはこれっぽっちもなかったんが。感覚がおっさんなんで申し訳ないな。……それに、一文無しなんだろ?」

「……そ、それは……」

「貸しってことで。勇者と合流したら、返してくれればいいから。旅費も面倒見るよ? っていうか、実は、酒場の女将さんに、若い女の子が困ってるんだから助けてやれって言われてんだよ。……金だけ渡すほうがいいか?」

「……、いえ。……お金だけ渡されても、……返さないと喉に小骨が引っ掛かったような。そんな気分がずーっと付きまとうような気がするんで」

「……そこまで思いつめなくても……」

「いえ。その。……一緒に旅をさせてください。いえ、あの、それより、旅っていうか、……仲間を、仲間を探すの、手伝ってもらえませんか?」

 お願いします、マーガレットは勢いよく頭を下げた。マーガレットも最悪の事態を想像しているのかもしれない。

 自分の身に起こった異変と、ロッドの異変。

 それを考えれば、もしもの事の現実味が増してしまう。

「ああ。よろしくな」

「はい! よろしくお願いします!」

 もしも最悪の事態だったら、どうやってこの少女と接すればいいのか分からないので、爆炎の勇者とやらにはなるべく生きていてもらいたい。

 まったく他人事のように、ネロは勇者の生存を願った。

 ネロは存外冷淡なのである。


 続く



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