《9》決闘 ネロvsクロシーダ
ネロが抜いた杖は、ただの木の棒に見えた。
薄い木肌色の、二十センチよりちょっと長いくらいだ。少し太いが、指揮者の振るタクトのようにも見える。ていねいに磨かれ、艶だし加工の施された美しい杖だ。杖の芯には《ホーン》の角が使われている。
だが冒険者たちにはその素晴らしさが分からないようだ。
「なんだよ、にーちゃん。てっきりその背中の剣でも使うと思ったのによ、なんだその棒っ切れ」
「黙っていてくれないか? 神聖な決闘なのだから」
不機嫌をあらわにしたのはナルシスト魔法師だった。
ネロは意外に思った。
「剣のような紛い物ではなく、伝統的な杖をだしてもらえるとは、光栄の極み」
ナルシスト魔法師は両手でロッドを構えた。
《我 クロシーダの名において命ずる 》
それを聞き、ネロもとっさに構えた。
《我が名はネロ 我に跪く精霊よ集え!》
《扉よ開け!》
ナルシスト魔法師、クロシーダの声がこだました。
扉。召喚魔法ではなかった。
そうだ、わかっていたじゃないか、攻撃型だと。
ネロは、足元に集まり始めた精霊たちの気配を感じながら、僅かに腰を低く構えた。
真っ先に来たのは風。続いて雷。争うようにして無数の火の妖精が翔んでくる。
クロシーダがうっそりと笑って、静かに唱えた。
《戻れ》
一瞬、ネロの精霊に向かって命じたのかと思って、息を飲んだ。
いや、そんなことはよっぽどの実力差がなければ不可能だ。
戻れと言ったのは力だ!
ネロは危険を察知して勢いよく後方に飛んだ。風の力が足と背に宿り、ネロの跳躍は人間の限界を軽く越える。
壁に着地すると、浮遊したまま杖の先を回した。
《アンキラ!》
杖の先に小さな魔法陣が生じた。細かな白い文字がびっしりと並ぶ、見ようによっては繊細なレース編みのような陣である。
ネロはニッと唇を上げた。
陣が増える。
1つ、2つ、3つ、4つ、5、6、7、8、91011121314・・・・・・・・・・・!
杖の先に数えきれないほどの小さな魔方陣が生まれ、分厚く重なり、不規則に回転する閃光がほとばしる。マントが激しくはためいた。
それは瞬きする間の出来事。
クロシーダが、どこかで蓄えていた力を身に取り戻すよりも早い。
《時の狭間より帰りし力よ 目覚め再び我が身に その魔力 その法力 我が細胞となり身となれ そして雷と換われ》
クロシーダの呪文が聞こえた。
かなり短く簡単だ。古代語不要か。ロッドの呪文短縮効果だけではない、術者の魔法の理解もかなり深い。そして、自らの魔法力を雷へと変化させる気ときた。
力の消費は激しいが時短には最適。
つまり最悪!
ネロはほんの少しだけ手首を動かし、端からでは気づかないくらいの微小の円を描いた。
クロシーダが叫ぶ。
《雷よ! 我が腕となれ! ディグラシヨン!》
ディグラシヨン:雷系物理魔法だ。電流を光系物理魔法および水系物理魔法との併用によって鞭のように操ることができる。人間の肉体が持てる電気量は微量のため、雷系物理魔法を使えるものは少ない。
しかし、クロシーダの体から発せられた電気は人間が蓄えられる量をはるかに越え、ロッドの前に集まってゆく電気は巨大な塊と化している。
術者でないネロには、すでに苦しいくらいのしびれが襲っている。
発動前でありながらこの威力か!
激しい閃光と共に電撃が襲ってきた。
天を走る太い稲光のようだ。
だが、稲光はネロに届く前に弾き飛んだ。
ディグラシヨンが発動するより早く、ネロの魔法が発動していたからだ。
白い繊細なレースのような陣が、降り注ぐ雷を弾いてゆく。
「この……化け物が!」
クロシーダがそう叫び、更にロッドに電気を集めてゆく。
物理系魔法の特徴として、一度呪文を唱えれば、あとはしばらく呪文を必要とせずに操ることができる。
クロシーダの保持する魔力と法力、そしてそれを変換して生まれた電気量がどれだけかは分からない。
普通に考えればすぐに枯渇するのだが、クロシーダはどこかに自分の力を蓄えていたと思われる。
いつ底が見えるのか、予測は不可能。
再びクロシーダがロッドを振り、生き物のように電流がうごめく。頭上から、背後から、真正面から、そして真下。
ここまで自在に電流を操れる術者はそうはいない。
ネロは唇をなめた。
雷の攻撃が速さを増してゆく。
ネロの至近距離で、小さな爆発いくつもが巻き起こっていた。
しかし、ネロには当たらない。
「これでも駄目なのか!」
クロシーダの雷をネロの魔法陣はことごとく受け止め、打消し、弾き飛ばし続けた。
ふっと、クロシーダから力が抜けたのが分かった。
魔力も法力も尽きてはいない。しかし、呪文の効力が途切れたのだ。ディグラシヨンの連続攻撃は終わった。
が、クロシーダは再び口元に呪文を含みは始めた。
再び雷系物理魔法。
ネロは足と背にまとう風を解き、地面に降り立った。素早く低い体勢を取ると、勢いをつけて前に走りこむ。
ほんの数歩。
しかしその脚はしなやかで、バネのようによく跳ね、あっという間にクロシーダの目の前に迫った。
クロシーダは動けない。
緑の瞳の中の金色の光彩が、クロシーダを縫いつけた。
そしてネロはそっと雷に手を添える。
《喰え》
その瞬間、無数の小さな生物がネロの腕の周りに現れた。
それは、蝶の羽のような、鋭くとがった板のような、パリパリキラキラと音を立てて飛ぶ小さな存在。
それが虫の大群さながらの様相でネロの腕から飛び出してくるのだ。
赤やオレンジ、時には緑や青に発光し、いつしか竜種のようになる。
かと思えば《ワーム》は霧散し、赤やオレンジの小さなモノたちはクロシーダの雷に群がった。
パリパリ
キラキラ
キチキチ
そんな音が聞こえた。雷が喰われている音だ。
雷は、やがて、無くなった。
雷がなくなると、赤やオレンジの小さなモノたちもどこかへと消えてゆく。
「僕の、…………雷を、……」
愕然としてクロシーダがつぶやく。
「せっかく来てもらったんで、ご褒美を上げようと思ってね。クロシーダ、だっけ? あんたの雷はけっこー美味かったようだぜ。《リ アンキラ》」
「は?」
「早く終わらせよう」
ネロはスッと杖をクロシーダの鼻先に掲げた。
《ディラ》
バリッ!
クロシーダの顔に電気の球がぶつかった。
クロシーダは後ろに弾き飛ばされ、頭から床に倒れてゆく。
《ディリア》
その体に向けて電撃一閃。
《ディグラシヨン》
倒れたクロシーダを電流の鞭が跳ね上げる。
《ディスモーナ》
そして最後に天井からの落雷が、激音とともにクロシーダを床に叩き付けたのだった。
クロシーダは炭の塊となり、床に転がった。
その物体に向かって、ネロはにかっと笑って見せた。
「はい。俺の勝ち」
ネロのまわりにいる冒険者たちは、目の前でなにが起こったのか分からないでいた。
彼らにとってそれは瞬く間に終わってしまった。ほんの数分。
クロシーダの姿もネロの姿も、彼らの目はろくに追えていなかった。
建物内に強烈な電流が流れたかと思うと、真っ赤な《ワーム》が室内を埋め尽くし、それが消えたとき、ネロが数回杖を振って、クロシーダが炭となって床に転がったのだ。
「……、う……、うわああああああ!」
「ひああああ! ああああ!」
クロシーダだった物体を見て、悲鳴が上がった。
それが合図となり、冒険者たちはギルドから逃げ出そうと我先にドアへ群がった。
ヤバい。ネロは思った。
このまま逃げられたら俺、猟奇殺人鬼だって広まっちまわないか?
慌てた。そりゃあ慌てた。
とっさに指を鳴らして唱えた。
「ちょっと待ってくれって。大丈夫だから、これ、誤解だから! って、聞けって、もう、《モディ アンキラ! アストロ!》」
ネロの足元を中心に、魔法陣が広がる。魔法陣はギルドと外を隔絶し、更に陣の範囲内をメタル化する。
叩こうが切りつけようが壊れないし、魔法も受け付けない。
「おい、あんた……、どうゆうつもりだ?」
ギルド長がにらむ。
「なんだか誤解されている気がするんでね」
すると他の冒険者たちが次々と叫んだ。
「ふざけるな! なにが誤解だ! この人殺しが!」
「俺たちを閉じ込めてどうする気だ!」
「出せ! ここから出せよ!」
「助けてくれよおお!」
中には泣きながら懇願するものも出てきた。だんだん不憫に思えてきたのは、なぜだろう。
「まあ、見てろって。ほんと、誤解だから」
ネロはクロシーダだった物体に近寄る。
黒い消し炭の塊になっているが、肉の焦げた嫌な臭いはしない。
むしろ無臭だ。
それもそのはず、クロシーダは死んではいない。
ネロは右手の手のひらを、消し炭にかざした。
《戻れ》
そう言葉を発したとき、ネロはクロシーダの言った《戻れ》という言葉を思い出した。
そうか、こうゆうことか。
ネロはなんとなく理解したのだ。クロシーダが最初に開いた『扉』、そして取り出した『力』のことを。
ネロの言葉によって、クロシーダの体が白く柔らかな光に包まれた。その表面に魔法文字が浮かび上がる。
魔法文字はクロシーダから離れ、ネロの手のひらとクロシーダの間でまん丸い魔法陣に姿を変えた。
そして、まるで黒い包み紙がはがれるように、消し炭部分がぺらりとめくれて、ほぼ無傷のクロシーダが現れた。
クロシーダは目を見開いたまま天井を向いていた。
それを見た冒険者たちが、「おお」とか「うそだ」とか思い思いの言葉をつぶやいていた。
「おい、大丈夫か?」
「……あなたはまさしく、化け物ですよ……」
「お前こそ、こんな狭い場所で雷魔法を使うとか、まともな奴の考えじゃねーぞ?」
ネロが手を差し出すと、クロシーダはそれを一瞥しただけで無視し、ゆっくりと起き上がった。
「しかも、まだ全力じゃなかったろ?」
「え? ……はは。あはははは。はは。ええ、そうですよ、僕は全力なんてだしていませんよ!」
ロッドの石突をガツンと床に突き、クロシーダは忌々し気に立ち上がった。それからネロに向かってロッドを向ける。
「本当に不愉快です。どこまで僕たちをおちょくれば気が済む!」
「いや、お前の思考回路が俺にはさっぱりわからないんだが?」
「あなたが使ったのは、防御結界魔法だけではないですか! 神聖なる一騎打ち、決闘だというのに!」
防御結界魔法。通称、アンキラ。
このギルド内に張った魔法も防御結界魔法の一種で、空間を隔絶し、外界からの干渉を受けなくするものだ。逆に、内側からの外への干渉もない。
そこに超基本すぎて使い道が分からないと言われる魔法、石化魔法を重ねてかけたのだ。
知っているものは何でも使え。
結界課魔法陣修繕係では、出張先で時間のかかる修繕をしなければいけないとき、『簡単で魔力もあまり消費せず、すぐに発動できる魔法』を使って応急処置をするのだ。現場で鍛えられたエコ魔法、もったいない魔法だ。
「一騎打ちといったら、己の最高の技でもって全力で挑むもの! それをあなたは、あなたは!」
気力体力十分。クロシーダはほぼノーダメージのようだ。魔力も法力もみなぎっている。
その証に、ナルシスト全開で顔を手で覆い、天井を見上げて感情をあらわにしている。
一方、勝利をおさめたネロはひどく疲れていた。
目の前にベッドがあったら、周囲の目など気にせず飛び込んで一瞬で眠りにつけるだろう。
「いや、でも、長引いたら不利だと思ってな。だってお前、強いし」
ネロがそう言うと、クロシーダはピタッと止まった。
そしてクリッとネロを見た。
もともと大きめの目だったのだが、更に大きく見開いていたので、ネロは思わずビクッと震えた。
「僕が、強い?」
「あ、ああ。かなりの手練れだと思ったけど? 呪文詠唱も独自に短縮したり、解釈したりしてたし。戻れっていう、あれ。俺がお前にアンキラかけたのと同じ仕組みだろ? 自分の魔力と法力を電気へと変換して魔法を放つ。それを時間魔法を使って、発動を止める。んで、時空の狭間にしまっておく。同じようなことを繰り返して、長い時間かけてて蓄積させておく。んで、戻れ、という言葉で呪文を取り出すんだろ。戻れには、自分の中に戻れっていう意味も含まれているから、電流は魔力とか法力に変化しつつ戻る。が、すぐに雷系物理魔法を唱えることで、電気放出の流れを作ったんだ。最初は、魔力や法力に戻ろうとする力が働いてすぐには流れないが、一度流れちまえば、時の狭間から取り出した電気をそのまま電撃魔法の材料にできる。そうだな、それいいな。超時短だな。見えないところでコツコツ努力がいるけどな」
「やめろ」
それ以上は言うな。クロシーダの表情がそう訴えていた。
「……」
さて。ネロは辺りを見まわした。
「ね、死んでなかったでしょう? そんな怯えないでくださいよ、ね?」
ゴマするようなしぐさでネロは笑いを振りまいた。変な噂が広まっては色々困るのだ。
仕事で困るだけではない。
人生で困る。
「あ。でも待てよ、俺、たしか冒険者代表なんでしたっけ? じゃあ、俺の勝ちなんで、冒険者側の勝ちってことですよね?」
すると冒険者たちはざわつき始めた。
当初の目的を忘れ去っていたようだ。ネロとしては、冒険者側の目的なとどうでもいいのだが。
「お。おお。おおおお! そうだとも、俺たちの勝ちだ! これからリテリアに乗り込んでやるぞお前らああああ!」
「うおおおおおおおお!」
「いくぞおおおおおおお!」
一気にボルテージが上がる冒険者たち。その熱気をよそに、ネロはそっとギルドを出た。
建物にかけた魔法はとっくに解除している。
眠い。
そして疲れた。
ネロは次のギルドへは向かわなかった。
待ち合わせ場所に直行し、日陰を見つけてしゃがみこむ。そのまま膝の上に頭を乗せて、すぐに眠りについた。
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ネロのいなくなったトマスのギルド。
そこの熱気は徐々に沈静化していった。
敗北をきした魔法師クロシーダが帰らないためだ。ただ帰らないわけではない。あれだけ饒舌だった口を閉じ、なにやら難しい顔で、熱狂している冒険者たちを見つめていた。
クロシーダが出す空気はいつしか室内全体に広がり、皆、クロシーダを見ていた。
組合長が尋ねた。
「なあ、あんた。さっきの決闘で話はついただろ? さっさと帰ったらどうなんだ?」
クロシーダはため息をつく。
「……あの決闘に、意味なんてないんですよ」
「ああ?」
「あれは、あの人に挑む理由が欲しかっただけですからね」
「なに訳の分からんことを言ってるんだ」
「あの人に一泡吹かせてやれると、そんな機会に恵まれたと思いましたのでね。利用させていただきました」
「ああ? 利用だと?」
「出る杭は打たれるってやつですよ」
「……電気で頭の芯をやられたのか? あんた」
「実力試しって、興味はございませんか? 冒険者ですから興味ありますよね? それもなければ、ただのゴロツキですからね」
「あんた、やっぱあのまま炭でいてくれたほうが良かったぜ」
クロシーダは先ほどの決闘を思い出す。
まだ全力じゃなかっただろ? だと?
全力を出す前にあっさり倒されたのだ。当然だ。
化け物め。
ネロがいとも容易く作り出した《アンキラ》。
《アンキラ》という魔法など、本来ないのだ。
結界魔法は数千という種類がる。古代から現在まで多くの魔導師や賢者、魔法使いに僧侶などが研究し作り出してきた。
その結界魔法の呪文の多くにみられる《アン テ ル コリドール チュール チューリ キラ》という一句。長い長い呪文の中の一句。
それを略して《アンキラ》だ。
《アン テ ル コリドール チュール チューリ キラ》の含まれる結界魔法、そして防御魔法全てを《アンキラ》だけで使えてしまう。それがネロだ。
しかも、クロシーダの編み出した電気魔法蓄積の方法をほんのわずかの間に、完全ではないものの、見破った。
そして、その蓄積した電気魔法を消費して、やっと繰り出せた電撃魔法。
ネロは己の魔力だけで簡単に繰り出して見せた。
しかも呪文詠唱なんて一切ない。呪文名を口にするだけで、完璧な電撃を放ったのだ。
クロシーダの魔法よりもさらに高レベルのものさえも、軽く。
ネロに呼び出された無数の妖精。
一個一個は呼び出す価値もないが、あれだけの群れになれば大精霊とほとんど同じだ。
あんなものを使役している。あんなにも簡単に命令を聞かせている。
化け物だ。
出る杭は打たれる。ネロは見事に打たれた。出世街道からは外れ、人気のない部署を転々とさせられている。しかし、杭は抜かれることはなく、そこに埋まっているのだ。
抜くことを許さなかったのが、かつての魔公の末裔、同じ名を持つサヴァランだ。
誰もが認める大魔導士。そのサヴァランから目をかけられるネロ。
口にしないだけで、誰もが分かっている。けれど認めることができない。
無様に妬みを向けてしまったとしても、認めるなどプライドが許さない。
気に食わない。
気に食わない、が。
ネロに強いと言われて、クロシーダは目を見開くほど、心が震えたのだ。
「あの冒険者は、冒険者ではありません。魔法師です」
「はぁ? なんだって? 魔法師? って、ことは、お前の仲間なのか?」
「仲間……、ええ、そうです。ですから、魔法師団とあなた方との話し合いの件と、僕とあの方との勝敗なんて、関係ないんですよ。リテリアの森で暴動が起これば、あの魔法師が止めるでしょうね。僕に一瞬で黙らせられたあなたたちが、僕を一瞬で倒したあの魔法師に、勝てるとお思いで?」
ぐ、っと冒険者たちは言葉を詰まらせた。
彼らの頭には、消し炭にされたクロシーダの映像が強く植え付けられている。
「そうそう。もしもリテリアの森で先ほどの魔法師をみかけても、魔法師と呼んではいけませんよ? かといって、いくら強いからと言って、勇者様! などとまかり間違っても呼ばないように」
「あのにーちゃんは勇者という風格じゃねえし、呼ばねーよ」
「はぁ? あの方が勇者ごときの風格で収まると思っているんですか? これだから頭の足りない冒険者は困る!」
「んだとこらああああ!」
「あのひょろいにーちゃんに瞬殺されたくせに偉そうにしてるんじゃねーぞ!」
「しかし、僕は強い」
クロシーダは言った。
けれど、今までのナルシスト的な言い方ではなかった。
「魔法師は勇者が嫌いです」
ネロだけでなく、魔法師は勇者を嫌っている。
「ですから、あの魔法師を呼ぶときは、大魔賢者と呼ぶように」
「大、魔賢者? はん、なんだそれ」
クロシーダはロッドをギルド長に向けた。
「僕は大魔賢者に強いと言われたのです。ですから、『僕は強い』」
続く
ネロvsクロシーダ
二人の戦いをご覧いただきありがとうございます!
いかがでしたでしょうか。
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