表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

境界の檻〜少女の過去〜

作者: 在存 存香

初めて投稿します。駄作ですが試しに読んでみてください。

ーーー目の前には、つい先程命を落とした男の死体が倒れていた。殺したのは、私。どうして、こんなことするつもりじゃなかったのに。ただ、自由が欲しかっただけ。それ以外の何も望んではいなかった。目の前の、物言わぬ男を揺する。もちろん死体が反応するわけもなく。少女は涙を零し懺悔する。(後悔しても遅いのに)心の声がする。(貴女が殺したのよ?)

「うるさいうるさい!!私が悪いんじゃない!この男が私を閉じ込めたのが悪いのよ!どうして私がこんなところに閉じ込められなければならないの?こんな、檻の中に。時空の狭間に閉じ込められるほどのことを私がしたというの?」

(そうよ。貴女は覚えていないだけ。自分がした事を忘れてまた同じことを繰り返している。何度も、何度も。飽きる事無く。さぁ、思い出しなさい。自らの罪を、過ちを。)

「私の、罪?」

少女の唇から、言葉が零れ落ちた。その途端に忘れていた記憶が奔流となって少女の頭に流れ込み、叫び声をあげて蹲る。

「あぁあああああああああああああああああああっ」

そうして、思い出す。自らの罪を、過去の過ちを。






ーーーかつての人生で少女は医師だった。誰よりも患者に寄り添い慕われていたはずの彼女は、ある日突然患者を裏切った。自身の勝手な自己満足と思い上がりで。泣き叫び許しを請う患者を思うがままに切り刻んだ。新薬を死ぬまで投与した。そのうち、その行為自体を悦楽と感じる様になった。やがて罪が露見し償いを求められたその時、彼女はそれを拒み、罪を認めようともしなかった。そして、最後のその時、彼女は自ら命を落とした。その顔に狂気の笑みを張り付けて。






(思い出した?)

「あれが、私の罪?そんなわけない!私だって、悪いことしたら反省くらいするよ?幾ら何でもあんな、あんなひどいこと...」

(いいえ。貴方がやったのよ。全ては貴女の自己満足の為に。何の罪もない人たちを犠牲にして)

「嘘よ!そんなの嘘に決まってる!だって、私は」

(何も覚えてない?そうよね、貴女は忘れるために”ワタシ“を作ったのだもの。自分のした事を押し付けるために)

(それなのに随分冷たいのね?貴女の罪を”ワタシ“は全部被ってあげたのに。いつだって貴女のことを思っていたのに。邪魔者は今まで全部取り除いてあげたでしょう?どうして今更“ワタシ“を消そうとするの?)

「まさか、あれは全部あなたが...。どうして?何故あんなことをしたの?!私はあんなことしたくなかったのに」

わたしはーー

少女の嘆きはもう誰にも届かない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ