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その3、黄金期




馬車の中ではセラフ、グラーフ、グルド、クリス、シンと大小の荷物があり手綱はザイールが握っている。


「ええと少しお聞きしたいのですが、これから向かう王都について教えていただけませんか?」


セラフとしては右も左もわからない状況である。可能な限り情報収集をしておきたい。


「ならぼk「ならばわしがお教えしましょう!」


クリスの言葉が途中で遮られグラーフがしゃべりだす。

目の前の美女とおしゃべりを少しでもしたかったのだがグラーフに強引に遮られた形だ。


「今向かっている王都は「グランヴァリエル」という名の国家でな、ちょうど500年前の黄金期(ゴールデンエイジ)の時に生まれた国ですな。」


「500年前の黄金期(ゴールデンエイジ)……ですか?」


まったくもって聞いたことがない言葉だ。やはりゲームの中ではなく異世界なのか?


「おや?ご存じないのですか?」


「え、ええ……何分世界中を歩き回っているせいで世情には疎くて……」


大嘘だがこう言っておけばまぁ、つじつまはあうだろう。


「ふむ、黄金期(ゴールデンエイジ)とは簡単にいえば混沌とした時代ですな。クルト歴1800年あたりをさす言葉で冒険者や国家、果ては魔物たちが熾烈な争いを繰り広げていたらしいの。ちなみに現在はクルト歴2300年じゃな」


「!」


驚愕の事実である。アナザーワールドの公式サイトではクルト歴1800年の混沌とした時代の中で自分だけの歴史を歩め!とかいうふうに書いてあったはず。……ということは、……つまり500年後のゲームの世界に来てしまったらしい。


「……500年……ですか。で、でもそれがなんで黄金期なんですか?」


なんとか驚きを殺して疑問をぶつける。


「それh「それはその時代が一番力強く!そして繁栄していたからだ!」


グラーフの言葉を遮ってグルドが大きな声で説明する。


「過去に起きた大きな戦乱で数々の技術や武具が失われてしまったが、いまだに強い力を持つマジックアイテムや武具が遺跡から発見されている!500年たっても既存の武器より強いんだぜ!?どうだ、すげーだろ!」


500年前の武具、アナザーワールドの時代の武器がそんな風に扱われているのか……ならこの軍刀はどうなのだろうか?


「すいません、ちょっとこれを見てくれませんか?」


と腰から軍刀+2を取りグルドに見せる。


「おお!ずいぶんと綺麗な…剣…だな……ってすげぇ!なんだこれ!?こんな業物初めて見たぜ!?」


「どれ、わたしにも見せてくだされ……ふ~む、なるほど。これは中々……武器としての強さはわからんが美術品として扱っても遜色ないほどだ」


その軍刀よりも格上の武器は文字通り山ほどあるんだがどうやら彼らから見たら物凄いイイモノのようだ。


「え~と、そんなにいいものなんですかね?」


「おう!このレベルになると50万コルは出さねぇと買えねえんじゃねえか?」


「へ~セラフさん良いモノ持ってるんですね」


と目をキラキラさせてシンが久しぶりに口を開いた。この子は武器マニアなのか?


「……欲しい?」


「え゛!?くれるんですか!?」


「あ~、うん。別にいいですよ」


「やった!すいません、ありがとうございます!」


どうやらかなり喜んでくれたみたいだ。自分から見たら物凄い安物なのだが……


「おいおい姉ちゃんよ、ほんとにあげちまってもいいのか?モノがうんぬん以前に他に武器持ってねえように見えるんだが?」


「ああ大丈夫ですよ。代わりはたくさんありますからね」


とメニュー画面を開くとそこでクリスが声を出した。


「……あの、すいませんセラフさん。その空中に浮いてるそれって魔法か何かですか?」


「え?ええっと……そうそう魔法なんですよ!そ、倉庫の入り口を開く魔法なんですよ!」


「そんな……異空間の扉を開く魔法が使えるなんて……セラフさんって魔法もすごいんですね……」


「貴重な武器を持っていてあれほど強くて魔法もすごいとは……いやはや」


適当に言った言い訳が変な方向に勘違いされたようだ。というかこの驚きっぷりを見るに元プレイヤーである自分にしか使えないようだ。今後は自重しておくか…

とりあえずさっさと代わりの武器を出さねばとセラフはメニュー画面を操作し黒い刀身に装飾の少ない無骨な剣「アロンダイト」を取り出した。

アロンダイトはレベル120あたりから入手可能になるそこそこの剣だ。

攻撃力はあまり高い方ではないが特殊スキル「不壊」という特性を持っており絶対に壊れないかなり便利な剣だ。この剣を作るために海竜や大陸亀を倒しまくっていたあの頃が懐かしい。


「ん?今度の剣はなんか普通だな?」


「そうですな、美しさでいうなら先ほどの曲刀ですかな?あちらのほうが美しかった気がしますが…」


「この剣はとびきり頑丈な剣なので、何かあった時に安心できるんですよ」


とセラフが笑顔で返事をするとそこだけ花畑につつまれたようになった。

そこでみんなが赤面したりなにやらうなずいたり鼻の下をのばしたりしているとザイールが声をかけてきた。


「お~い、もうすぐ王都につくぞ~」


もう王都か。あんまり王都の話は聞けなかったな

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