その1、異世界
「ここは……どこだ?」
と下はミニのスカートにニーソックス、上は軍人が身に着けるような制服にカッター、ネクタイ。そして指揮官が身に着けるような軍帽を被った女性が呟く。
その女性はつややかな光沢を持つ銀のような腰よりも長い白髪を後ろで束ね、瞳は翡翠のような輝きを放ち、その唇はまるでさくらんぼのように可憐で、肌は白くわずかに頬が薔薇色に染まっていた。
胸のふくらみは衣服を押し上げこれ以上ないほど主張しており、腰は細く尻はほどよい大きさで締まっている。
つまるところ十人が十人、いや百人が思わず振り向いてしまうような絶世の美女であった。
「う~む、わからん。俺はどうなってしまったんだ?」
だが言葉遣いは間違いなく男のそれだった。
その男はいつも通りお気に入りのVRMMOをしていた。
verも1.9から2.0になりアップデートが済んだら今日は徹夜でゲームをしてやろうと考えていた。
そしてアップデートも終わりヘッドギアを装着してゲームを起動したら……
「見渡す限り草原か……いい天気すぎるな。ていうかここはどこなんだよ……」
今に至るというわけだ。
「しかしなんか妙にリアルというか、違和感を感じないことに違和感を感じるというか……とりあえずメニューはっと開けるな、よし!ログアウトの文字は……文字は……ない、な。」
「……異世界に来た?というかゲームの中に入ったのか?」
「やべえ……とりあえずマイホームは召喚できるかな?」
その美女は空中に現れたメニューを操作しマイホームの召喚を選択する。
すると突如美女の目の前にとてつもなく巨大な魔法陣が現れそこから全身金色の宇宙船のようなものが出てくる。
その船は全長50メートル、全高9メートルの大きさを持つ天の叢雲と呼ばれる船だった。
男がプレイしていたゲームはアナザーワールドと呼ばれるすさまじい人気を誇るゲームだ。
その中の仕様の一つに一定レベル以上のプレイヤーは自分だけの部屋を持つことができ、さらにレベルが上がると自分の家を持つことができ、最終的には先ほど出現した移動要塞のようなものまで持つことが出来るようになる。
「よし!家はちゃんと出てくるみたいだな!それじゃ次はガーディアンを呼ぶか、お~いプラチナ!いるなら出てきてくれ~」
その声で船体下部についてあるハッチが開き中から淡い銀色のロボットが出てきた。
そのロボットは全長3メートルはある全身に装甲をつけたロボットである。背中には身の丈と変わらない巨大なバスターソードを二本背負い、その剣の隣には巨大なブースターのようなものが付いている。腰には2メートルほどのクレイモアが4本さしてあり、両肩と両腕には美しい模様の掘られたカイトシールドが装備してある。
アナザーワールドの種族的にはプラチナゴーレムと呼ばれるものでありゴーレム種の最強クラスのモンスターだ。レベルは150である。
「お呼びしましたか、セラフ様」
プラチナと呼ばれたゴーレムが重く響く声でその女性の名を呼ぶ。
「ああ、そういえば今はセラフなんだったか……え~とプラチナ、ホームの状況はどうだ?」
「は!天の叢雲の稼働率は現在30%、待機状態で起動中。他の15体のゴールドゴーレム、15体のシルバーゴーレムは一部は船内の警護についており残りの者はハンガーで待機状態。セラフ様のコレクションが安置してる宝物庫は常時警戒状態レッド、最後にメインエンジン草薙の稼働状態はオールグリーンであります!」
と、はきはき威勢のいい声で答えてくれる。
「あ、ああ……ありがとうプラチナ……」
「もったいなきお言葉!ありがとうございますセラフ様!」
「(もの凄く細かく答えてくれた……ゲームだったら単語を並べただけのような言葉遣いなのに……やっぱり異世界に来ちゃったのか……)」
「(これからどうするか……とりあえず船はここに置いといて情報集をするか……)プラチナ!」
「は!セラフ様!」
「俺……いや私はこれから情報集のため少しばかり旅に出る。その間の船の警護をお前に言い渡す!警戒状態はモードイエロー!基本は殺さずに対処しろ、ただし警告をしたにもかかわらず無理に警戒範囲に侵入を図ったもの、また船内に侵入した者はその限りではないと言っておく!」
「それはつまり殺しても構わなないということですか?セラフ様?」
「え、え~とできれば手足を落とす程度にとどめてあげてくれ……」
「了解でありますセラフ様!それでは良い旅を!」
「あ、ああ(なにかあってもいいように船を出しっぱなしにしとくつもりなんだが……やっぱしまった方が良かったかな……)」
そしてセラフの冒険は始まった。
初めて投稿します。暇なときにでも読んでくだされば幸いです。