表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜空輝く願い星  作者: 琥月澪
ブレイク寸前の我が家
7/8

☆蓮のうざさ?

 頭を抱えながら苦悶していると、ガチャリと音が鳴った。

(かえで)、あんたに客……が………………?」


 入ってきたのはお袋。そして口をあんぐりあけたままフリーズ。対して俺もフリーズ。

 先に動いたのはお袋だった。俺の顔をチラリ、次に空をチラリ。次に数秒俺を見て(そら)を数秒見る。そしてターゲットをロックオン。


「えっと…………(れん)くん来てるわよ?」


 語尾疑問という自分でもよく分かってない状態だ。それはまるで出来の悪いロボットみたいな。明らか『この子誰?』ってのが丸分かりだ。


「蓮が? じゃ、とりあえず……」


 空を一度見て部屋を出ていく。

 何やら不安そうに首を傾げているため少し戸惑ったが、この小さな頭の中を整理する時間もちょうど欲しかった。この後部屋で何が起こるのかはさっぱりだ。むしろ想像したくない。何もないことを祈ろう。

 家のドアを開けると本当に蓮がいた。

 オレンジ色のツンツン頭も空という名の闇によっていつもの明るさが無い。これくらいの方が見やすいんだけどな。

 蓮は右手を挙げて『よーぉ』と言ってきたので適当に返す。服はなぜか制服のままだった。まぁ俺もだけど。


「んで、何だ?」


 横にある家の柱にもたれつつ聞く。

 すると笑いつつ、


「じーつは聞きたいことがあるんだ」


「さいですか」


 わざわざ訪ねるくらいなんだからそんな事だと思った。ってかこいつの場合ろくなもんじゃねぇんだろうな。今までもこんなことがあったんだが、例えば中学の頃、

『はーつキスの味ってレモンとかいうけど何で?』とか……『そんなの知らねぇよ』と返すと

『ちーなみにどうだった?』『何が?』『キースの味』『したことねぇよ!』『まーたまた、楓くんは奏ちゃんとあんなことやこんなこと――』『してねぇよ』『へばぁ』

 みたいなこともあった。だから今回もろくでもないことを……

 蓮は家の前にあるマンホールを一瞥してから、


「マーンホールって何で円いんだろうな」


 はい、どうでもいいこと来ました。


「それってメールじゃダメなのか?」


「どーうしても声で聞きたくなった」


「電話は」


「かーおが見たくなった」


 キモッ、ホモかお前は。今の時代ケータイという超便利なものがあるんだから使えよ。

 ちなみに、マンホールが円いのは四角だと対角線が長いだろ? だから少しずれたら下にストーンと落ちちまうんだ。これで君も雑学博士だ。

 ため息をついていると、蓮はコホンと咳ばらいをした。


「けーど、目的はこっち」


「どっち?」


 何か険しい顔を浮かべつつ言う。

 なぜか不安の汗が流れる。


「かーえでの部屋の女の子は誰だ?」


「やっぱりそっちかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 膝から崩れ、ドアの前に倒れる。

 最悪もっと後になってから言おうと思ってたのに、まさかこうも簡単に仁奈と蓮にバレるなんて……


「何で知ってんだ?」


「きょーうのお前が変だったからつけてきた」


「お前も尾行かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 何で? 何で俺は今、知り合いで尾行してたやつと関わるんだ? しかも2人。

 いやいや、そんなことより、こいつの用はどうでもいいっぽい。なら次は家の中にいる2人、修羅場の方が心配だ。

 なら、こいつは今の俺にとって邪魔だな。

 なんてことを思っていると、


「ちーなみに、あそこから部屋の中を見させてもらった」


「もしもし、警察ですか? 実は今――」


「うぉぉぉぉぉ、ごめ、謝るから許して」


 蓮はスライディング土下座をかましつつ縋ってきたのでとりあえず電話を止めてやる。


「今、俺忙しいから戻るぞ」


「おー、また明日な」


 やけにあっさり蓮は引き、道路へと戻った。

 結局何が目的だったのかもさっぱりだ。


「っと、そんなことより」


 家のドアを開け、中に入ろうとした時、何かを見つけた。長方形で薄っぺらい紙のようなもの。ちょうどさっき蓮が土下座をかましてたあたりだ。


「なっ⁉」


 紙のようなものを拾ってみると、そこにはベッドに座った空の姿があった。

 横から撮られたもの。

 姿は長い髪の奥に見える憂鬱そうな表情。けど、瞳は何かを見つけた、というか少し輝いて見えた。

 それより何より、蓮は本当に覗いてたのか……

 一度横を見つつ家へ入る。

 横、そこは風呂場で二階には何もなく、形としては出っ張った感じになっている。そこを上り、見えるガラス窓は俺の部屋の窓。こういうのって盗撮……だよな?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ