☆家族
☨ ☆ ☨
俺の家はよくある一戸建てで、親父、お袋、俺、あと妹といったよくある構成。親父は海外赴任中で実際家にいるのは三人。俺の部屋は二階にあり、家族にばれることなく空を部屋に案内することは可能だ。そもそもばれても問題はないと思うが、空は少し見せたくない。いろいろとまずい気がする。
二階へと案内し、部屋のドアを開ける。その時、心地よい風がブワッと吹き抜けた。
空を適当なところに座らせ俺は一階へ。
「ただいま」
リビングのドアを開けつつ言うと、
「……おかえり」
妹が返してきた。見る限りお袋がいないから買い物だろう。
紅花音。
俺の妹であり近所の中学校へ通う二年生。水色のツインテールで背は一四五センチと小柄。
普通ならかわいいかもしれないが、目がきつく(それでもかわいい意味できつい)いろいろと誤解されがち。だが中身は……不思議ちゃんが一番合ってると思う。何が不思議かは恐らくすぐ分かると思う。家ではどこで入手したのか分からないがゴスロリやメイド服を着ていることも多く、カラーコンタクトを入れ、ただでさえ謎の存在をさらに際立たせている。
冷蔵庫へ行ってお茶をコップへ注ぐ。この時リビングのソファに座って漫画を読んでる花音の分も用意。
「ほい」
トンッと高い音が響く。テーブルに置かれたコップをグイッと飲み、少し低いトーンで、
「べ、別に感謝なんてしてないんだからねっ」
とそっぽを向きつつ言った。うーん、今のはツンデレってやつ……?
はいはい、と適当に返し、リビングを出ようとした時、タタタッと音がして袖を引っ張られた。後ろを振り返るとそこにはやっぱり花音がいて何やら頬を赤らめている。きつい目が上目遣いで見つめてくる。最近の俺のラッキー動作は上目遣いなのか? ……ってもしかして今日も出るのか、あの謎のコール……
「おにぃ、いつものんに優しくしてくれてありがとっ」
キャハッ☆と弾ける感じで言い、ソファへ戻っていった。
分かってもらえたか? こいつは今、自分探しをしているらしい。意味がよく分からないが、自分に最も合った性格を手に入れる訓練らしい。だからツンデレっぽくなったり妹系? みたいなのになったり……はっきり言って反応に困る事も多い。昨日まで坊主だったやつが急にカツラで髪が長くなった時くらい困る。後、自分の事を花音の『のん』と呼ぶ。




