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どうやら奇跡が起きたようですが……  作者: 猫宮蒼


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不完全燃焼



 公爵夫人としても充分にやっていけるだろう、とお墨付きをもらっていたルミエラはそのまま過去に遡ったわけなので、既にこれから学ぶ内容を把握していた。

 だからといって既に学ぶ必要がないくらい優秀である、とまではやるつもりもなかった。


 果たして自分だけが過去に遡ったのか? という疑問が生じたからである。


 大体どうして時間が戻ったのかもわかっていないのだ。


 これが、絶望した自分が神が与えたもうた時を戻す秘宝のような物を所持していて、死の間際にそれを使った、とかいうのであればまだしもそんな事はしていないし、物もないのだ。

 原因がわからない。


 仮に、ルミエラを憐れんだ神が奇跡を起こしてくれたのだとしても、その確証はどこにもない。

 そう思うのはルミエラの勝手だが本当の所はわからないのだから、自分だけが時を遡った、と思い込むのには早すぎた。


 おぼえていなさいミゲル……貴方には地獄を見せてさしあげるわ……!!


 なんて復讐心を燃え上がらせていても、相手ももしかしたら以前の記憶があるかもしれないのだ。

 そうなれば、ルミエラがミゲルに対して復讐しようとしている事を察知されれば、あちらとて馬鹿ではない。何らかの対策に打って出るだろう事は明らかだし、それでまたしてやられるような事になれば怒りで頭がどうにかなってしまうかもしれなかった。


 時間を遡ったなど相手に気取られる事もなく、前回と同じように相手に違和感を抱かせず、その上で着々と相手を地獄に落とす準備をしなければならない。

 仮にミゲルも時間を逆行していたとして、ルミエラがそうだと気付かれてしまえばあちらとて前と同じ事をするはずもない。前回と違う事をすればルミエラもすぐさま気付けるけれど、そうなると対処をしようにも前回と同じではない以上、前回の記憶というのはただのお荷物でしかなくなる。


 もしもミゲルに前回の記憶がないように見えたとしても、安心はできなかった。

 向こうだってこちらと同じように前回と同じように踏まえた結果、最悪の展開――ルミエラの死――だけを回避して、どうにか自分に有利な展開に持ち込もうとしている可能性だってあるのだから。


 自分だけが前回を知っている、と思い込む事は最も危険な驕りだ。


(そう考えると、今回は前回と比べるとなんだか難しい事になりそうですわね……相手に不信感を抱かせず、その上で相手を出し抜かなければならない。

 ……社交の場でもそういう事はままあるけれど、それと似て非なるもの。

 前回の事を思い返せば、既に彼女との繋がりはある。けれどあの頃はまだ水面下に潜んでいた。だからこそ気付けなかったのだし……

 思えばミゲルの代わりとして執務を行うようになって忙しさが増して、そこからだわ、違和感を持つようになったのだって)


 ルミエラが忙しくしていたからこそ、その目はこちらに向く事はない、と判断してミゲルの行動も徐々に大胆なものになっていったのだろう。


 だからといって、参加したガーデンパーティーで妻になるはずの婚約者を置いて本命の恋人と……というのは今思い出してもどうかと思うが。


 恐らくはミゲルもまだ父に睨まれていたからこそ、公爵家で執務を教わるルミエラを置いて一人で出かけるとなると動向を探られると思ったからこそ、人が大勢集まっていてもおかしくない場所で……と考えたのかもしれないが。


(そう考えると、今はまだ相手も様子を窺う期間と言うべきかしら。であれば当時のように何も知らない振りをしていないといけないのね……面倒だけど仕方ない。

 今もまだ子爵令嬢と繋がっている、という証拠だけでは足りないもの。今それを明らかにできたところで、破滅させるまでには至らないのだもの。来るべき日がくるまでは我慢よ、我慢)


 心の奥底でマグマのように沸々と怒りが湧いているが、心の赴くままに振舞ってしまっては何もかもが台無しになる。

 だからこそルミエラは、今はまだ何も知らない小娘であると振る舞う事にしたのだ。

 今はまだ婚約が決まって一年が経過した頃。結婚前とはいえ既に妻となる事が確定し、公爵家で暮らすようになるのはまだ先の話だ。


 すべては――そう、浮気だけでは飽き足らず自分の事を都合よく使おうとしたあの男を不幸のどん底に叩き落とすために。


 とりあえず次の婚約者としての交流があるのは一週間後である。その時に相手の様子を窺って、前回の記憶があるかどうかの確信が得られればいいのだが……得られずともだから憶えていないとなるのは早計である。

 そうでなくとも前回はミゲルへの恋で埋め尽くされて、目が曇りまくっていた。

 当時は見えなかったものも、今ならわかるかもしれない。


 虎視眈々と相手を地獄に落とすためのヒントを得るために。


 だが流石にそんな物騒な思考を周囲に漏らすわけにもいかず、周囲には今までどおりミゲルに恋をし彼のために努力する令嬢と見られなければならない。


 それが少しばかり苦痛であり、また同時にミゲルに会う日は何がなんでも相手の弱みになりそうなネタを掴んでやる……! という気持ちになったのだが。



「ルミエラ、話がある」

「お父様? どうしたのですか?」

「あぁ、その……ここではなんだな。あとで書斎に来るように」

「え? えぇ、はい」


 渋面を浮かべた父がそう言ったのは、とある日の朝、家族で食卓を囲んでいた時だった。

 普段は起きる時間が異なる事もあるので父や母とは食事を別にする事もあるのだが、今日は違った。

 父も母もどうやら早くに目覚めたらしく、数日振りにルミエラは一人での食事ではなくなったのだ。

 以前は兄がいたけれど、兄は今、士官学校に通っているのでここにはいない。


 この場にいるのは父と母とルミエラだけなので、何か話があるのならここでいいのに……と思いはしたが、すぐに思い直す。

 家族は確かにここにいるけれど、同時に使用人たちもいるのだ。

 普段は忘れがちだが、それを改めて思い直すとそういった相手に漏らせない内容なのかもしれない。


 ともあれ、朝食を済ませてルミエラは父が指定した書斎へと向かうのであった。



「――唐突だが、婚約は白紙となった」

「え?」

「白紙、というのは表向きだが実際は破棄だな。それも向こう有責の」

「え、あの、お父様……? 一体何がどうして……?」


 ルミエラが困惑するのも無理はなかった。

 確かに自分は時間を遡ってきた。

 死んだ瞬間、婚約者だったミゲルに強い怒りと恨みを募らせて、地獄に落ちろと心の底から願いその気持ちが呪いとなっても何もおかしくはないくらいで、だからこそこうして舞い戻ってきたからには次は失敗しないと決めたというのに。


 そんな気持ちのまま、まずは婚約者としての交流が行われる日を心待ちにしていたのだ。


 そしてその日は、明日に迫っていた。

 まずは小手調べ、くらいの気持ちで明日を心待ちにしていたというのに、しかしそれがなくなったのだと告げられた事で。


 ルミエラの思考は突然何もない空中に放り出されたかのようになってしまったのである。


 肩透かしを食らっているルミエラに、父はどこか申し訳なさそうな顔をしていた。


「実はだな……ミゲルが失踪した」

「えっ!?」


 前回にはなかった展開。

 だからこそ思った以上に大きな声が出てしまった。


「あっ、あの、でも、それは事件に巻き込まれたとか、そういう事ではありませんの?

 いいのですか探さなくて」

「何者かの企みによって連れ去られた、であればいいのだが……

 自らの意思で家を出たようなのだ」

「なんですって!?」


 父の表情は相変わらずだ。

 そしてそんな父が言う事には。


「元々彼には恋人と呼べる相手がいたようでな」

「えっ、えぇ……」


 存じております、とは言えなかった。


 前回のルミエラはそんな事すら知らず、婚約者として彼と会った時に恋に落ちていたのだから。

 もし最初から知っていたのであれば、あんな風に頭の中身がお花畑にはならなかっただろう。それどころか、恋人がいながら婚約をしてくるような相手と結婚なんて……と父に不満を訴えていたかもしれない。


 だってそうではないか。

 恋人がいながらにして、その関係を清算するでもないままに婚約をしたところで。

 結婚した後にもその関係が続いていたのであれば、妻などただのお飾りではないか。

 事実、前回ミゲルはそのつもりでいたようだし、であればその事実を最初から知っていたのであればルミエラとてそんな不毛な結婚など嫌だと言うくらいはしていた。

 知らなかったから、毎日が幸せだとばかりであったのだけれども。


 こうして思い返すととんだ道化である。


「婚約を結ぶ前にその話は聞いていたのだ。だが、既に関係は終わったと聞いていたのでな……」

「そう、でしたか」


 あっ、なんだお父様は知っていたのね。でも関係は終わったというからこの婚約を結んだ、と。

 成程、と納得はする。

 これで関係が続いているのを知りながら婚約を結びました、だとこうして時を戻ってきたルミエラの復讐対象に父も追加されるところであったので、かすかに安堵する。


「だが手紙を一つ残して彼は家を出た。

 自分には愛する人がいる。ルミエラと結ばれる事はできない。

 そんな風に記されていた。昨日あちらの家で確認してきたのだが……」

「昨日?」

「あぁ、家を出たのがどうやら三日前。二日前は向こうで一応探したりしたらしいが見つからず、そこからこちらに連絡がきた」


 思った以上にハイスピードね、とルミエラは驚きを隠せない。


 だが確実に分かった事はある。

 ミゲルもまた時を遡ってきたという事だ。


 そうでもなければ前回同様、今回も前と同じままだったはずだ。


 だがしかしそうではない。

 違いは何であるか、となるとそれはルミエラと同じくして時を遡ってきたと考えるしかない。

 それ以外の理由で今回が前回と異なる、というのもおかしな話になってしまう。


 ルミエラが時を遡ったと自覚したその日は、婚約者として交流を重ねるために会う日から一週間前。

 その時点でミゲルも同じように前回と今回の違いについて考えたりはしたのだろう。

 三日ほど悩んで、そうして彼は行動に出た。


 その三日は悩むだけではなく、恐らくは家を出る準備も兼ねていたのだろう。


(なるほどね、確かにあちらも記憶があるのなら、こちらにあってもおかしくはないと考えるくらいは当然で、挙句にもしこちらの記憶があるのなら恨みを抱かれていてもおかしくはない、という考えに至るのも確かなこと。

 復讐される前に傷は最小限にした上で逃げ出した、ってこと……!? ふぅん?)


 ひく、と唇の端が引きつりそうになったがどうにか堪える。


 いや、確かにミゲルからすればそれが最善なのかもしれない。

 どのタイミングで時を遡る事になったのかはわからない。

 ルミエラが死んだ直後にミゲルもまた同じく時を遡ったのかもしれないし、その後もうしばらく前回の人生を歩んでいたのかもしれない。それは、あの時点で死んだルミエラにはわかりようがないものだ。


 だがあの場でルミエラが倒れ、打ち所が悪く死んだというのをそのまま放置して逃げるわけにもいかなかったのではないか。

 ましてやその時、婚約者ではない女を連れていたのだ。

 婚約者を邪魔に思った男が女を殺した、なんてゴシップにまみれた話が広まれば、恋人と結ばれる事すら難しくなるのではなかろうか。


 それこそ、公爵はそんな息子に愛想を尽かして家を追い出すだけで済めばいいが、処分する事になっていたかもしれないのだ。


 死んだ人間は生き返らない。

 これは当たり前の事で、わざわざ言う必要のない事でもある。

 それこそ、神が奇跡でも起こさない限りは不可能。


 ルミエラに明らかな落ち度があったというのならまだしも、言ってしまえばミゲルの方にこそ問題があった。その上で更に婚約者を殺すような事になってしまったのであれば、もしその後も時間が進んでいたとしたらミゲルにとってはさぞ辛い状況であっただろう。

 そう思わないとやってられない。


(でもだからって、まだ何もしていないのに逃げるだなんて……!)


 もし、ルミエラが死んだ後も時間が進み、ミゲルが糾弾され罪を償えとなったのであれば、今までのような暮らしはできなくなっていただろうし、周囲の目も冷ややかで、放たれる言葉も冷ややかなものになっていたとは思う。そんな事をしでかした息子に跡を継がせる事になれば家の名も落ちると、ミゲルの父がミゲルの事を平民に落として追い出したりしていたかもしれないし、何らかの理由をつけて病気になった事にしてこっそり始末していたかもしれない。

 不幸な人生を歩んでいたと仮定して。


 だがしかしそれは、別にルミエラが復讐をしたからというわけではない。

 ある意味で当然の結果であり、ルミエラが手を下したわけでもないので当然こうして時を遡ってきたルミエラからすれば、気が済んだはずもなく。


 というか、その後の落ちぶれた人生をルミエラが幽霊にでもなって見ていたとかであればまだしも、そうでもないのだ。

 どうやら前回の記憶を持っているらしくて、前回のようにしないためにさっさと逃げた、なんて言われたところでルミエラからすれば、怒りの矛先が消えたようなもの。


(せめて一発ぶん殴っておけばよかったわ……!)


 前回、恋心が砕けるのがもっと早ければ。

 あの場面でせめて一発、全力でフルスイングしてビンタの一つでも顔面に叩き込んでいれば。


 そうしたら、少しは気が晴れたかもしれないのだが、実際はそんな事すらできなかったのでこうしてミゲルが出奔したと言われても、ルミエラの復讐心は不完全燃焼である。


 とはいえ、ここで粘ってなんとしてでもミゲル様を見つけて下さいまし、なんて言えるはずもない。

 単純にあの野郎に復讐がしたいのですわ! なんて言ったところで、どうして復讐を? と父は思うだろう。少なくとも父には前回の記憶があるわけでもなさそうなので。

 というか、記憶があったのなら前回の事を加味した上で、きっちりと報復に出ていたっておかしくはない。

 だがそれがないというのなら、父には前回の記憶はないと考えるのが妥当だ。


 ミゲルの本性とでもいうべきものを知ってしまった以上、ここで食い下がるような真似をするつもりはない。

 とりあえず一発ぶん殴りたいのです、とも言えないし、そうなればミゲルに恋をしているルミエラが諦めきれずに……という風に受け取られかねない。

 流石にそれは不本意である。

 今となってはどうしてあんな男に惚れていたのか……とすら思っているのだ。

 とても悔しくはあるが、ルミエラは婚約が白紙化した、という話を素直に受け入れるしかなかったのである。


 ただ、まぁ。


 ミゲルとの婚約をして一年、といったところであるので、それがなくなったため新たな婚約者を……となっても相手に困る事はなさそうだというのが救いだった。

 ルミエラの目論見通り復讐を達成したとして、そうなればその頃には新たな縁を繋ぐのも少しばかり難しかったかもしれないのだ。だからこそ慰謝料と共に修道院という道も視野に入れていた。


 だが今ならばまだ相手を探すのに焦る必要もない。


(本当に本当に不本意ではあるけれど……あの男の事は深追いしない方が良さそうね。人を雇って探すにしても今すぐは難しいでしょうし、新たに婚約者ができて嫁いだ先で偶然ばったり……なんて奇跡が起きでもしない限りはこちらから動けば周囲が何と言うか……)


 もしかしたら前回も、ルミエラがミゲルの代わりに執務をしていた時に彼らの周囲では何も知らない愚かな婚約者と嘲られていたかもしれない、と考えるととても怒り心頭ではあるのだけれど。

 復讐したいがためにルミエラがミゲルを探すにしても、これまた周囲はそんな事情を知るはずもないだろうしそうなれば……恋心を捨てきれない令嬢扱いをされてしまうかもしれない。

 前回であればそうなので否定はできないが、今回は違う。

 違うので、そんな噂が流されでもしようものならその噂を流した相手にまで怒りが飛び火しそう。


 そうなれば不毛である。

 不毛だし自分の名が貶められるようなものだ。


 だからこそ、まだ燻ぶっている怒りの炎を見ない振りをして、ルミエラは父に次はマトモな婚約者をお願いしますね、なんて言って書斎から立ち去ったのである。



(あ、そうだわ。あの男の真実の愛とかいう子爵令嬢はどうなのかしら?

 ある意味彼女がいなければわたくしが死ぬ必要はなかったわけですもの。ちょっとくらい嫌がらせをしたっていいのではないかしら……?)


 八つ当たりとわかっていても、本来の怒りのやり場が消えたのもあってルミエラはそんな風に考えてしまっていた。

 もし彼女とともにミゲルが逃げたのだとしたら、ついでに彼も見つかって一石二鳥である。


(復讐は何もうまないとは言うけれど……でも、復讐しないときっとわたくしの心はいつまでも燻ぶったまま……前に進むためにも、せめてどこかで気持ちの整理をつけなければ)


 仮にミゲルと共に駆け落ちなどしていなかったとしても、まぁちょっとくらい悪評を流すくらいは……なんて思いながらも、ルミエラはひとまず自室に戻り今後の計画を練る事にした。


 どのみち婚約がなくなった以上、今のルミエラが早急にやるべき事というのもなくなってしまったので。



 そうして自分付きの侍女にそういえば……なんて今更思い出しましたみたいな態度で、元婚約者の愛する者というのは誰だったのかしら……? なんて話題に出して、それとなく探ってもらうように頼んでみた。

 手紙を残して家を出ていったのだから、きっと駆け落ちよね?

 確かわたくしとの婚約が決まる前に、恋人がいたとは聞いておりましたが……


 そんな風に情報を小出しにしながらも探る先を絞っていけば、侍女も調べる事にそこまで時間をかけなかった。

 情報がほぼない状態であればもっと時間がかかったかもしれないが、ある程度の情報があるのだ。


 結果として、真実かどうかもあやふやな噂しか掴めなかった、という事もなく。


「かつての恋人ですが……どうやら修道院に入ったようです」

「なんですって?」

「それもここから随分と離れたところだとか」

「えぇ……? てっきり元婚約者と駆け落ちしたものだとばかり」

「それがどうも違ったようで。

 彼はもしかしたら、彼女を追ってそちらへ向かったのかもしれませんが……流石にそこまでは追いきれませんでした」

「そう、いいのよ。そこまでは望んでいないから」


 侍女の言葉に正直ミゲルだけは自分の前に引きずりだしてほしかった、とは言えるはずもない。

 だからこそ、じゃあこれから修道院まで行って駆け落ちを提案するのか、それとも彼もまた修道士にでもなるつもりなのかしら……?

 なんて、何もわかっていない振りをして。


 ルミエラは胸のもやもやを振り払うように、そっと侍女が淹れてくれた紅茶を流し込むのであった。

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