僕のパートナー(1)
SFカテゴリーで『光と陰-織りなす夢に形』に、双子の美人をヒロインにして毎日投稿しています。
純文学のエッセイでも思ったことを随時投稿していますが、短編集も書いてみることにしました。
反応が強かった短編を長編にしていこうかなと思っています。これもまた宜しくお願い致します!
幻影(短編集1)も完結済みでアップされています。こちらもチェックお願い致します!
エッセイも始めました!
この物語は長編小説『光と陰ー織りなす夢の形』にて連載されている世界のスピンアウト短編小説となります。
舞台はパラレルワールドでの日本の未来社会、場所は首都越後湯沢。
限られた土地で首都が造られタワマンが聳える都市国家での出来事を綴っていきます。
ご興味がある方は連載中の『光と陰ー織りなす夢の形』も並行して読んで頂ければ尚楽しめると思います。
この未来世界では核爆弾が世界中に投下され、
地球温暖化を引き起こし沿岸部の都市は水没により壊滅状態となっていた。
核爆弾の投下を免れた日本であったが、例外なく地球温暖化の波は押し寄せ、
時の指導者達の尽力もあり湯沢に遷都していたのだった。
そして、未来日本では、少子化が極限まで進み人口4000万人を切っていた。
それまで日本政府は労働力人口を補おうと国外から労働力を募ったのだが・・・
落ちぶれた日本に積極的に来る外国人労働者は少なく、
輸出事業として国力を挙げて取り組んでいたアンドロイド製造で外貨を稼いでいた。
そしてアンドロイド達はヒューマノイド達の家庭に驚くほどのスピードで浸透していったのであった。
未来日本は、少ない人口で国家が成り立っているのであるが、
それに合わせるべく遺伝子操作されたベイビーが生まれ・・・いや生産されている。
生まれたベイビーはすでにその操作によって成人後の将来が決まっているのである。
今回の主人公は、一宮岬;ミサキと呼ばれている。
ちょうど2月が誕生日でめでたく22歳の倫理成人となったばかりだ。
『今日はパートナーのエリーが来る日だな!ちゃんとオーダー通りにできてるのかな?』
『一応送られてきた画像はイメージ通りだったんだけど・・・』
『これから一生付き合うことになるんだから緊張するよな。』
ついに、部屋の呼び鈴が鳴った。
ドアを開けてみると、担当役人の女性とエリーがそこに立っていた。
『やったー!!イメージ通りだったわ!』
「ああ、おはようございます!お入りください。」
「私、倫理成人婚姻科の星崎と申します。ご所望のエリーがご用意できましたので紹介に伺いました。」
「あっ、ありがとうござます。一宮です。」
「本日はまず、一宮様のご要望通りかの確認と操作方法をレクチャーしたいと思います。よろしいでしょうか?」
「はい、わかりました。見た目はイメージ通りだと思います。よかったです!!どうしてもCGでのイメージだったので、ちょっと心配だったのですが。」
「それはよかったです。全身も見て確認して頂きたいと思いますので、エリーに服を脱いでもらいますね。その時動作イメージの確認もお願い致します。」
エリーはゆっくりと無言で着ていたネイビーのスーツを脱ぎ始めた。
『いくらアンドロイドだと言ってもエグいな・・・こっちは初対面なんだから緊張しちゃうじゃない!』
「いかがでしょうか?実際に触って頂きご確認お願い致します。肌感であったり弾力性もオーダー通りにしてあります。ちなみに身長はオーダー通りに165cmになっております。」
『ええ! 触る??緊張するな・・・でも、ここで確認しないとな。』
「わかりました。」
『なるほど、胸はこんな感じなのか・・・触った感じもいいな。
全体のプロポーションもイメージ通りかな。
顔・頭の小ささと足長の全体のバランス
首が長めで上半身が細身
ヒップと太ももがある程度あって・・・
胸もある程度あり・・・
うん!いい感じじゃん!!』
「こんな感じでいいと思いますね。」
「確認なので、シークレットゾーンもお願い致します。」と事務的に言った。
「はあ。ここもですか!?」
「はい、後日ではクレーム対象になりませんので。」
ミサキは戸惑いながらも、エリーを座らせて確認した。
『見た目、触った感じは別に問題なさそうだけどな。これいつまでもやってると変態かと思われるし!』
「はい、大丈夫そうです。」
星崎は端末の確認シートをチェックしている。
「では、最終、お顔の確認もお願い致します。特に瞳やヘアスタイルなど微妙な造形もご確認お願い致します。」
『目はオーダー通り綺麗な明るめのブルーだな。髪はブロンドの前髪直線のワンレングスになってるし・・・
大きめの目、尖った小さめのお鼻、小さめの薄い唇と・・・顔の輪郭は丸顔と卵形の中間にしたんだよな?
まあ、こんな感じか。アゴが少し尖りめ、おでこも広いな。やっぱりこの透き通るような白い肌はたまらないな〜』
「大丈夫です。イメージ通りですよ! ただ、このヘアスタイルでいいんですが、作業する時はポニーテールにする設定にしたんですが、それって確認できますか?」
「大丈夫ですよ。エリー髪型をポニーテールにしてみて!」
「わかりました。」と言って自分で変えている。
そして、初めて喋ったのだった。「声はいかがでしょうか?」
「いいですね!」
「では、これで造作面の確認はできました。あとは動作面の確認になりますが、これには時間は必要なので、
まず1週間一緒にお過ごし頂きまして感想をお願い致します。あと、他に何かなければ今日のご確認は以上となりますが。」
「はい、大丈夫です。有り難うございました!」
「では、エリーは5つのモードがあります。
今は通常のノーマルモードになっています。一般的なヒューマンの生活に準拠しております。
家事などの作業に徹する場合はメイドモードへ、
あまり、この国ではありませんが、一応ディフェンスモードとバトルモードも搭載しております。
ディフェンスはあなたを守る時のため、バトルモードは敵を撃退するためのモードで、主に国外のお仕事に
行かれる場合に使用することになるかと思います。ミサキ様はお仕事上ありえるかと。
それと、ラブモードがあります。これはインティメイトなお時間を過ごされる時に切り替わりますが、
条件があります。」
「えっ、なんでしょうか?」
「最短1ヶ月で発動するのですが、アンドロイドの設定により個体差もありますが、セッティングされた基準値を上回った場合に発動いたします。これはパートナーが切り替えるのではなく、自然とヒューマンの様に自動で移行されますので強制はできません。ちょっとラブゲームみたいな感じでしょうか?
まあ、お楽しみいただけると思いますが!」と初めてニコッとした表情に変わったのだった。
「なるほど、そういうことなんですね。わかりました。」
「では、以上となります。モードはこのままでよろしでしょうか?」
「じゃー早速家事をしてもらいたいのでメイドモードにしてもらえますか?」
「はい、モードを切り替える時は、『エリー、メイドモード!』と言って頂くだけとなります。」
すると、エリーの瞳がキラッと輝きモードが変わったように見えた。
『なるほど、それが受信したサインなんだな。』
そして、「おはようございます!ご主人様!ご用件を伺います。」と喋ったのだ。
「はい、これでモードが変わりました。では、何かございましたら、チャットかご連絡して頂ければ
私が対応したしますので。」と言って彼女は僕のサインを貰って去って行った。
エリーはそこに残され佇んでいた。
『じゃ、2人だけで初めての会話でもしてみるか!?』
「エリー、初めまして!僕は一宮岬と言います。これからずっと一緒なんでよろしくね!」
「初めまして、エリーと申します。私こそ宜しくお願い致します。なんなりと言ってくださいね。」
『おっ、意外とカジュアルな会話もできるんだな。よかったよかった あまり堅苦しいと息が詰まるからな。』
「じゃ、早速なんかしようか? じゃ、一緒にコーヒー飲もうよ!」
「わかりました。」とだけ言って、キッチンに消えていった。
『いやー、アンドロイドとはいえ、人間そっくりだから緊張するな・・・受け答えの時もロボットぽい感じも
しないし・・・ほとんど人間の女性と一緒にいると言ってもいいんじゃないの?』
『しかし、これから一日中一緒となると・・・』
この短編も 『いいね』 『高評価』 『ブックマーク』 を多くいただけた場合に長編にしようと思っています。ぜひ宜しくお願い致します!!