9話、ネリーVS盗賊兄貴
9話です
「ふん、お前のような威勢のいい奴は躾がいがあるわい。
その威勢いつまで持つか楽しみだ、コイツで試してみるか行け。」
この中で2番に強いであろう仮面の女がミツキさんの方に向かっていく。
鋭い拳かミツキさんの顔に放たれるが、それを避けて後ろに後退した。
私の横にきた仮面の女がこちらに来ること警戒して戦闘態勢を取ったが、こっちに振り向くことなく再びミツキさんの方に走っていく。
どうして私には来ないのでしょうか。
「おら、余所見している場合じゃねーぞ。」
私に声をかけてきた残りの男2人組がこっちを攻撃しようと剣を振り下ろしていた。
影から呼び出した大鎌で剣を受け競り合う。
「へぇ、そんなもん隠し持っていやがったのか。」
「綺麗な花にはトゲがあるものですわ。」
「後ろががら空きでヤンス!!」
この男の仲間であろう、細身の男がクローで切り付けようとしていた。
体を真っ二つにしてやりますわ。
影が少し伸び、そこから影の刃が伸びる。
「あ、危ないでヤンス!!」
ちっ、感が鋭いのか私の刃が空を切った。
受けていた剣を弾き返し。
大鎌でコイツらをまとめて切り付けるために一回転した。
「おっと!」「よっとでヤンス!」2人とも距離を取るように離れていった。
「兄貴コイツやるでヤンス。」
「来たときは、死人のような顔していたが今は殺りがいがあるぜ。
だが、何故魔法阻害の首輪を付けてるのに魔法が使える。」
「あら、そんな事を分かりませんの。
この無粋な首輪は所詮安物一定、魔力しか阻害できませんのよ。
それ以上の魔力は漏れますもの。
まぁ、上級魔法並みに魔力を込めないと発動しないのはかなりしんどいですけど。」
「ハァ!!やはり化物だったか!!」
「あら、こんな綺麗な私に化物ですか?目が腐ってるんじゃありませんの。」
「決めたお前は本気で行く、せいぜい楽しませてくれよ。ヤンス、お前は後ろから行け。」
「了解でヤンス!」
再び挟み撃ちで攻めてくる。
鬱陶しですわね、せめてどちらか一方を早く片付けなくては。
「グァッ!!」
ミツキさんの苦痛が聞こえて慌てて振り向く。
白い仮面の女がミツキさんのお腹を踏みつけていた。
あのくそ女私のミツキさんに何してるんですか!!
「おい、余所見してんじゃねぇぇぇ!!」
「くっ!!」
鬱陶しいですわね!!早くミツキさんの所に行かないと行けないのに!!
もう仕方ありません本気で殺ります。
私は影を操り、影の檻を作り上げる。
「鬱陶しいですわ!!《シャドウプリズン》」
私の後ろにいた細身の男の方を拘束した。
「な、何でやヤンスかこれ!!出すでヤンス。」
「その檻に触らない方が身のためですわ。
その檻は触れば手が切れますわよ。」
細身の男は試しに檻にクローで触れると、刃の部分が呆気なく切断された。
「止まりなさい、仲間を殺されたくなければ大人しくしなさい。」
こっちに来る足を一応止めるが。
ニヤリとし、再び剣を構えて走り出した。
「ハッ!別に構わねぇ、殺したきゃ殺せや。俺達は別に死なんて恐れちゃいねぇ。」
「兄貴!!その女殺して下さいでヤンス。」
うるさいですわね、本当に殺しますわよ。
兄貴と呼ばれている男の攻撃は過激だった。
大口を叩くだけの威力と速度を備えた、力強い剣劇だった。
今の私は首輪のせいで魔力を4割しか使えない。
それで若干押されぎみ、早めに決着を付けないとミツキさんが。
厳しい競り合いに少しへきへきしていると。
「やめろ!!それは大事な商品だぞ!!」
アーノルドの叫び声が聞こえた。
再びミツキさんの方を見ると、空に投げられたミツキさんが、背中にファイヤランスを打ち込まれそのまま地面にうつ伏せに倒れこんだ。
やがてファイヤランスは消滅し、焦げた皮膚と背中に穴が空いていた。
そんな、ミツキさんが、殺・・され・た??
「くそ、強さは段違いになるが細かい指示がだめだ、欠陥品だなあれは。
クソ損失額が大きいなまったく。」
あ、あぁ、私がもたもたしていたから。
私が殺すことをためらっていたから。
私はまた大切な者を失うの。
なら、もう許さない私は鬼になる。
ここにいる全ての人間を殺してやる。
「許さない。」
「あ?」
私は目の前の男を蹴り飛ばした。
苦悶の声を上げながら後退していった。
「楽には殺さないわ。《エクセキューション》」
影の檻に閉じ込めていた男の檻を徐々に狭めていく。
「いや、助けてでヤンス。
死にたくないでヤンス!!」
「その汚い口を閉じなさい。」
私はそのまま影の檻でバラバラに刻んだ。
そして影のなかにバラバラになった肉塊ごとし舞い込み、必要な血を吸収する。
「そんなに死を所望なら殺してあげる。
《血の覚醒》」
私の体から魔力が溢れだし、首輪にヒビが走りくだけ散った。
私の金髪は血のように赤く染まり、背中に翼が生え、瞳の赤色は更に濃く深く、牙は伸び今までとは比べ物にならないほどの力が溢れ出す。
吸血鬼はなぜ最強なのか、それは血の記憶によりすべての記憶が親から子へ引き継がれていく。
魔法及び戦いの知識まで、劣等種は生まれない、生まれながらに最強である。
それが吸血鬼なのだ。
故に人は恐れる、強すぎるがゆえに。
「楽には殺さない、死になさい。」
「ハッ!!上等だ!!」
私に近づこうと駆け出すが、右手をそっと下から上に振り上げる。《ローズトールン》
私の影が蔦のように伸び、相手の体に巻き付き刺で突き刺す。
体にから、血を吹き出しながら、その場に膝を付く。
「痛いでしょう、でもこれじゃ殺しませんわ。」
「クソが!!悪魔め!!」
私は悪態をつく相手の後ろに影から影に移動する。
「どこ行きやがった!!」
「後ろよそんな事も気づかないのかしら。
《シャドウチェイン》」
影から生み出した鎖で両手両足と首、胴体を拘束して動けないようにした。
「クソが離しやがれ!!」
「バカじゃないんですの?今から行われるのは一方的な蹂躙ですわよ。」
私はまずは右腕を大鎌で切り落とした。
切り飛ばした腕から血が大量に吹き出す。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!殺す!!殺してやる!!」
腕を切り落とされたのに元気ですわね。
うるさい叫び声を気にすること無く次は左足を切り落とした。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!ぐぁぁぁぁ!痛ぇぇぇ!!くそ、殺すなら殺せや!!」
構わす次はお腹に手を貫いた。
「うるさいですわね、だから、言ってるでしょ。これは一方的な蹂躙ですわよと。」
口から血を吐き気だし痙攣し始めた。
拷問してみましたけどあまりつまりませんわね。
さっさと殺して次はあの仮面の女を殺しましょうか。
手を引き抜いて、血の付いた手をひとなめしてから鎌を持ち直し。
「不味いですわね。」私は残りの腕と足を切り落とし、首をはね落とした。
奥で怯えて腰を抜かしているアーノルドの姿が見えた。
私がアーノルドにゆっくりと近づこうとした。その時にふと、気がついた。
私の吐息が白くなっていることに。
寒い?何故?こんなにもこの部屋は寒くなっているのですか?
震えるほどの怒気と酔いそうなほどに濃い魔力、吐き気がするほどの恐怖。
どうして私は今までこんな危険なものに気がつかなかったの。
気配の方振り替えると仮面の女は氷の人形になっていた。
そしていつの間にか立ち上がっていたミツキさんの様子がおかしい。
今までの優しげな雰囲気が一切無くなり、神聖な気配と共に激しい怒りと溢れ出した魔力はまるで別人だった。
「まさかこれは、魔力暴走。」
私はあまりの恐ろしさにここから動けなくなった。
感想又は誤字脱字とうありましたら教えていただいたら幸いです