7話、囚われの吸血鬼
7話です
すみません、作者のミスなんですが、続きを書いていたストックを間違えて消してしまいました。
この先また書き直しなので、明日はお休みです。
申し訳ありません。
僕は足音を立てないように静かに走り回る。
途中で見回りらしき男2人の声が聞こえてきた。曲がり角に体をそっと隠して、様子を伺いながら聞き耳を立てた。
「今日運ばれてきた奴隷見たか。」
「あぁ、すげぇ綺麗な女がいたなぁ。」
綺麗な女?ナクルの事かな?いや、でもナクルは綺麗と言うよりは素朴で可愛い感じだったんだけど。
この世界ではあの感じが綺麗なのかな?
「違う違う、そっちじゃねぇよ。
水色の綺麗な獣人の方。」
ふぁ!!いきなり僕の事を言われて思わず変な声でてしまった。
「あ?お前もしかしてあんなのが趣味なのか。」
「おいおい、あれくらい小さいと抱きやすくて、やりやすいだろ。」
アアアアアアア、僕はなにも聞こえない、知らない、聴こえたくない。
見回りの小汚ないオッサンに抱かれる想像をしてしまい思わず、嗚咽と鳥肌が止まらない。
オェェ!!勘弁してくれ。
徐々に近づいてくる2人組に僕は、一瞬で近づき、少し前を歩いていた男の腹をおもいっきり殴り付けた。
くの字に曲がった男の体が後ろの男にぶつかり後ろにいた奴を巻き込み一緒に地面に倒れ込んだ。
「なんだくそ、何が起きた!!」
僕はすぐさま倒れた男の下敷きになった奴頭の方に周り、情報を聞き出すことにした。
「余計なことをしゃべるな、喋ったら殴る。」
嚇しの意味も込めて顔の横に拳を振り下ろした。
ガンッと音をならして床に少しだけヒビが入った。
相手は明らかに怯えていた。
嫌悪感からだろうか、コイツを殴ることに一切の躊躇が無くなってる。
「わ、わかった。」
「綺麗な女は何処にいる。」
「こ、この階の一番奥の部屋だ。
誰も入れないように、頑丈な扉がしてある。」
「鍵は。」
「鍵はもってねぇ、あれはボスが管理してる。」
「そうか。」
僕は足で顔を踏み抜いた。
男はそのまま鼻血をだして気絶した。
あ、普通に強く踏んだけど死んでないよな。
大丈夫かな、顔を覗くとなんか幸せそうな顔していたからもうなんかほっとこうと思いさっさと奥の部屋に向かうことにした。
しばらく走っていると突き当たりに明らかに一つだけ鉄の扉で鎖が何重にもかかっている場所を見つけた。
うわ、めっちゃ厳重だなこれ、絶対これだろ。
鉄の扉か・・・、あ、そういえば科学の先生が鉄は凍らすと脆くなるて話をしてたな。
今の状態の魔法で扉を凍らすことができるか分からないけどやるだけやってみるか。
僕は扉に両手を当てて、扉が凍りつくイメージを持ちながらしばらく待つ。
徐々にではあるが、扉の下から少しずつ凍りつき始めた。
おお!なんとかなりそうだ。
扉全体が凍るまで3分くらいたっただろうか、
完全に扉が氷に覆われた。
よし、これで大丈夫かな。
僕は助走を付けられるだけ、後ろに下がって駆け出した。
「行くぞ!!ミサイルキーーーク!!!」
僕は両足で扉におもいっきり蹴り付けた。
『バガァァァンンンン』とアホにうるさい音を響かせながら扉がそのまま奥に倒れた。
静かにと言う話は何処に行ったのやら。
扉が壊れたと言うより、丁番がぶっ飛んだ。
中を覗くと、真っ暗で何も見えない。
あれぇ?誰もいないのかな?まさか騙された?
「貴方はいったい誰ですか?」
すると奥から鈴を転がすような声が聞こえてきた。
外の光しか無いので、顔はよく見えないが体がうっすらとだけ見えている。
あれはベットだろうか、そこにひっそりと座っていた。
「あの、僕はミツキって言うんだけど。
貴方はいったい?」
「私は、ネリーと言います。」
全然人違いだった、まぁ声の時点で分かってましたけどね。
「どうしてこんな所にいるんですか?」
「私は、いえ私の事は気にしないでください。」
「どうしてさ、一緒にここから出ようよ。」
扉を開けてしまったならもう、一緒に出ていった方がいいよな。
この人も僕みたいに捕まったのかもしれないし。それに僕も1人は正直な話心細いし。
「気にしないで下さい、私なんてここから出てももう・・・。」
うーん、どうしたものかでも正直こんな場所より外に出た方が良いのは確かだよね。
僕は取り敢えず中に入り、座っている彼女の所に近づいた。
薄暗い部屋の中でやっと彼女の人形のように綺麗な顔を見た。
今まで見た中で一番と言っていいだろうそれほどまでに綺麗な顔、金色の綺麗なサラサラの長い髪、全てを吸い込みそうなルビー色の瞳。
全てが完璧に作られていた。
まるで何処かのお姫様のようだ。
おっと、見とれてる場合じゃない!
僕はネリーの両手を掴んでもう一度言った。
「一緒にここから出るよ!!
こんな所にいちゃダメだよ。」
彼女はとても驚いていたが首を振った。
「私は吸血鬼なんです。」
「だから?」
「え?」
ネリーが呆けたような顔をしていた。
いや、だから吸血鬼だと何なのさ?吸血鬼ってあれだろ、血を吸ったり年取らないし、無駄に綺麗な人多かったり、逆にロリッぽいのがいたり、太陽が弱点だっけ?あと銀もだっけ?ラノベでは定番と言うか十八番と言うか。
「貴方は私が怖くありませんの。」
「え?何で?格好いいじゃん吸血鬼。」
僕がそう答えた瞬間彼女はいきなり僕を引き寄せて抱き締めてきた。
え!何、血でも吸われるこれ!!
急に抱き締められ慌てて逃げ出そうとしたが。
「わ、私を受け入れて・・くれるのですか。」
僕の胸から見上げる姿はまるで幼子のような、誰も助けてくれなかったのだろうか、今にも泣き出しそうな顔をしている。
「うん、だから一緒にここから出よう。」
僕はそっと彼女の頭を撫でた。
堪えきれなかったのか、彼女は僕の胸の中で静かに泣きし始めた。
あー、どうしようこれ、泣き出さないようにしたかったのに泣いちゃったよ。
うーん、もう分かんないから泣き止むまで待とう。
僕は彼女が泣き止むまでしばらく頭を撫でながら天をあおいだ。どうしたらええのこれ?
「グスッ、すみま、グス、せん。」
「あぁ、いいよいいよ、落ち着こうね。」
「私決めましたわ、貴方に一生付いていきます。」
おぉ、ずいぶんと思いきったこと言うね。
いや、まぁこれから先冒険で仲間は必要だから嬉しいけど。
彼女は戦えるのかな?でも吸血鬼だから強いのかな?
「僕は弱いし、その日暮らしになりそうだけど大丈夫?」
「大丈夫ですわ、私にはもう家族も帰る家もありませんので。」
いや、重い重い、急とんでもないことカミングアウトしてきたねこの子。
そんな事を笑顔で言わない方がいいよ。
「大丈夫?魔物とも戦うよ?」
「大丈夫ですわ、多少の戦闘には自信がありますし、いざとなったらミツキさんを命に変えても守りますわ。」
いやね、さっきから決意が重いんですよ。
「もしかして私必要ありませんか。
それならもう、私に何もないので死にましょうか。」
「いや、いや、大丈夫だよ!君はとっても必要だよ!!」
「ネリーです。」
「はい?」
「私のことは君ではなく、ネリーと呼んでください。」
「わ、わかったよネリー。」
ねぇ、僕この先心配になってきたんだけど大丈夫かな!!
「ひとまず、ここから出ようか。」
「分かりました。この場所は来たときにだいたい把握してますので、私が出口まで案内いたしましょう。」
「本当に!!なら行こう。」
「はい♡」
あの、ネリーさんどうして君は僕の腕に絡ませて歩いているのかな?
ネリーさんの自己主張の、激しい部分が当たっていとても気持ちいいです。ありがとうございます。て、思わず本音が。
腕を振りほどこうとすると、捨てられた仔犬のような顔をしてきた。
何ともすごく罪悪感を感じてしまい、僕は大人しくネリーに腕を差し出した。
感想、誤字脱字とう見つけましたら教えていただけたら幸いです