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好きだった女の子に衝撃の告白をされた件

櫻川さくらがわ麗華(れいか):超絶美少女

三浦みうら太一(たいち):オレ、転落死のあと麗華の身体に転生、優奈ちゃんが好きだった


中山なかやま優奈(ゆな):可愛い、おっぱいぽよん

渡辺わたなべ直人(なおと):見た目も中身もイケメン、太一の親友


山田:クラス担任、担当教科は世界史

クラスメイト(モブ):相沢、村田、佐藤俊雄など

そして次の日

オレは優奈ちゃんから衝撃的なお誘いを受ける。


「ねぇ、麗華ちゃん。GWの中で予定のない日ってある?」

「ワタクシ特に予定はございませんの、いつでも空いておりましてよ」

こりゃ、二度目のデートのお誘いかな、映画?ゲーセン?どこでもOKだぜ、優奈ちゃん



「あのね、私のうちに泊まりに来ない?二人でパジャマパーティーしようよ」


お、お、お泊まりーーー

パジャマーーー?優奈ちゃんのパジャマーーー?見れるの?……そんなんもう絶対見たい。


え、そ、それって、オレの横で優奈ちゃんが寝る……ってことなの?

あの、ぽよんのおっぱいがぽろーり…とかしちゃったりなんかしちゃう?


いやいやいやいや、そんなそんなそんな……。


もしかして寝ぼけて抱きついてきたり……

柔らかい、いい匂いってラッキースケベ展開アリ寄りのアリじゃない?


むしろ、その前に「一緒にお風呂入ろう」なんて誘われたりなんかして?二人で洗いっこしたり?

は、は、鼻血……出そう。

ムリムリムリムリ、そんなのとても正気じゃいられない。



一応、麗華ちゃんの身体は、その、自分のとは言え、完全に自分とも言い切れなくて、

風呂とかはあんまり見ないようにして洗っている。けれども、優奈ちゃんの身体はまた別だ。

好きな女の子の身体をそんな風に騙し討ちみたいにして見たくなんかない。

うん、ダメだ。やっぱり断ろう。

家が厳しいからとかなんとか適応な理由をつけて



「夜に二人で、好きなオトコノコのタイプとかの話しちゃう?女の子同士の()()の話」

好きな男のタイプーーー?

そ、そ、それは是非知りたい。

もしかして太一(オレ)の名前とか、……ないか、それは。



「5/3と5/5ならどっちがいい?」

いっ、いつの間にか、お泊まりする流れになっとるーーー


「あ、でもやっぱり、お泊まりになんか行ったら、おうちの方にも申し訳ないし」

「それは大丈夫、うちの家族長野の親戚の家に行くって言ってたから、だから私と麗華ちゃん二人っきりだよ」

ふ、ふ、二人っきりーーー

それは、もうエッチOKの合図……なんじゃ


違う、優奈ちゃんは太一(オレ)を誘ってるんじゃなく、麗華ちゃん(オレ)を、女友達を誘ってるんだよな。


「それにね、一人で寝るのも若干怖かったりして。だから麗華ちゃんがお泊まりに来てくれたら嬉しいの」

てへっと舌を出す。


嬉しいーーー

オレも嬉しいーーー

嬉しいけど困るーーー

困るけど嬉しいーーー

だけど、そっか。女の子一人じゃ危ないもんな、怖いよな。


「うん、分かった。心配しないで、絶対に優奈ちゃんのことは守ってみせ…っ、みせますわ」


結局、オレは5/5に優奈ちゃんの家に泊まりに行くことになってしまった。

どうしよう、二人っきりの夜……という思いと、

まぁ、なんとかなるだろ、という二律背反の思いがあった。


今のオレには優奈ちゃんに不埒なマネをする()()は付いていないのだから。



 ・ ・ ・



GWの初日

オレは実家に…、元・実家に行ってみることにした。


こんなに近所にいて、顔も見に行かないほど薄情な息子ではない。

父ちゃんや母ちゃん、あと小生意気な妹がどうしているのか、元気でやっているのかも気になるし。


閑静な住宅街の一角に、緑色の大きな(ひさし)が特徴的なチンケな八百屋(やおや)

ここがオレが生まれて、16年間育った実家だ。


店の奥にいつも母ちゃんがいて帳簿をつけたり、電話を受けたりしている。

父ちゃんが威勢のいい掛け声をあげながら野菜を積み上げ直している隣をすり抜けて、

「ただいまっ」と言いながら奥の冷蔵庫の中からコーラを取り出し、階段を駆け上がる。


「ちょっと太一、それ売り物なんだからねー」と背中に母ちゃんの怒鳴る声が響く。

それが日常の風景だった。


店はいつも通りやっていた、緑色の大きな(ひさし)もいつも通りだ。

店先にじゃがいもや玉ねぎなんかの野菜が並んでいるのもいつも通りだ。

でも、なんか、違う……なんだ? この違和感?


ああ、そうか、……そうだ

「いらっしゃい、へいらっしゃい、なんしやしょ?」

という父ちゃんの元気が声が聞こえないんだ。


店の前へ近づいていくと、

白髪頭を紫色に染めた長身のおばさんと小太りでエプロンをつけたおばさんが立ち話をしている。

あ、隣の加藤さん……やたら噂好きのおしゃべりなおばさんで昔からしょっちゅうこの場所で立ち話をしている。


「ちわっす」

頭をペコリと下げてそのまま通り過ぎる。


「わぁ、キレイなお嬢さんねぇ、でも『ちわっす』って……」

「加藤さん、お知り合いのお嬢さん?」

「ううん、見かけない子だわ」

やっべーやっべー、ついいつも通りの感覚で挨拶しちまった。

今のオレは麗華ちゃんなんだから……。


「それにしても三浦さんのご主人、奥様もだけど、元気ないわよねぇ、……心配だわ」

「まぁ、太一くんが、一人息子が突然あんなことになっちゃったから無理もないわよね」

あ……そうか、オレが、事故でうっかり死んじまったから、流石に元気ではないか、だよな。


「へいらっしゃい、なんしやしょ?」

店を覗き込むオレに気づいた父ちゃんが声をかけてくれるが、その声はいつもの半分以下の声量だった。

店の奥で帳簿を広げている母ちゃんはぼんやりと空を見つめていて手は全然動いていなかった。

オレは自分が死んでしまっただけだと思っていたけど、それって親不孝なんだよな、二人ともこんなにして。


「あ、……いや、……あの」

今の姿の、麗華ちゃんの姿のオレが太一だなんて言っても信じられるはずはない。

元気を出してくれなんて言ったところで、二人が元気になるはずなんかない。



「もしかして……」

母ちゃんが立ち上がる。

え?分かるの?麗香ちゃん(オレ)太一(オレ)だって。

母親だから?そう言うこと?


「太一の……お友達?」

違った、そりゃ分かるわけないよな。


でも……母ちゃんは涙を浮かべ、店の奥からよろよろと近づいてくる。

母ちゃんの涙を見るのは、初めてだ。



「えっ、ええ……あの」

「お線香、上げに来てくれたの?どうぞ、上がって。あの子も喜ぶわ」

店の奥の部屋に、太一(オレ)の祭壇があった。


自分の遺骨や位牌に手を合わせたことがある人間ってどのくらいいるんだろう。


遺影は……もうちょっとマシな写真にしてくれたら良かったんじゃないだろうか。

中学の卒業アルバムの写真とか、神妙な顔しているのもあったはずだよな。

去年の林間学校でクワガタを掴んでピースしている笑顔のオレの写真が飾られていた。


「いい……笑顔でしょう?一番、太一らしい……うぅっ……っく、ごっ、ごめんなさい」

少し痩せてしまった母ちゃんに、息子を亡くした母親に、

どんな言葉を掛ければいいのか分からずに背中を撫でようとした手が空を切る。


「なにす、あんだも太一さ、線香あげに来てくれたのすけ?」

「あ、はい……太一くんと同じクラスの中山優奈と言います」

ゆっ、ゆっ、優奈ちゃん???

なんで?

生前のオレは優奈ちゃんとは特に接点はなかった。


オレが勝手に片想いをしていて、直人と優奈ちゃんの会話を聞いたりはしていたけれども直接話したことはほんの数回だけ。

優奈ちゃんが落とした消しゴムを拾ってあげた時と、一度だけ掃除当番を代わってあげたくらいで、

線香なんて、あげてもらえるような関係性ではなくて……。


あたふたとする麗華ちゃん(オレ)に背を向けて、母ちゃんが「どうぞ、上がって」と優奈ちゃんに言った。


「あれ?麗華ちゃん?」

「こっ、こんにちは……優奈ちゃん」

「あら、二人はお友達なの?」

母親がこちらを見る。


「私たち同じクラスで……」

「そうだったの、同じクラスの可愛い女の子が二人も訪ねて来てくれるなんて太一も隅におけない。案外モテてたのかしら?」

母ちゃん……そーゆーの止めてくれ、ハズい。


「あの子、学校のこととかあんまり話してくれないから。男の子だし、そんなもんかぁとも思ってたけど、良かったらおばさんに太一の話、聞かせてくれる?」

「私は去年も太一くんとは同じクラスで」

そうだよね、あんまり関わりがないから、それ以外に言うこととかないよね。

優奈ちゃんがキョトンとした顔でオレを見つめる。


そうだ、転校生の麗華ちゃん(オレ)がなんで太一(オレ)と知り合いなんだろう?って顔だよね。



「え、えと、えっと、私は、太一くんとSNSで交流があって」

「そうなの。SNSってあれよね、トゥイッターとかいうやつよね?」

「ママ、トゥイッターじゃなく、Twitterね。あともう今はXって名前変わったから。お兄ぃがXやってるのとか知らなかった」

妹の亜湖(あこ)だ。大きくなって……いや、変わんないな、まだ3週間くらいしか経ってないし。


「亜湖お帰り、お兄ちゃんのお友達が、来てくれたの。お兄ちゃんにこんな美人のガールフレンドが二人もいたなんて、ママ知らなかった」

「ガールフレンドなはずないでしょ。どう考えても二人とも一軍バリバリのカースト上位メンバーじゃん、三軍のお兄ぃとは釣り合いが取れないって」

おいっ!!!!!!!!……確かにそうだけど。


そのタイミングで店にお客さんが数人来て、母ちゃんは父ちゃんに呼ばれて店へと出て行った。

「お兄ぃの部屋、行く?アルバムとか、見る?」

亜湖がオレたち二人に向けて言う。


オレはともかく、優奈ちゃんは太一(オレ)の部屋やアルバムになんか興味ないだろう。

そう思ったのに、意外にも優奈ちゃんは「是非」と言った。


懐かし……くもないけれども、オレが3週間前まで暮らしていた部屋に、客として通された。


「わぁ、私、男の子のお部屋に入るの、初めて」

とキラキラした瞳で優奈ちゃんが言った。


男の部屋、初めて、なんだ。

オレが初めて……って、ヤバい、嬉しい。

生きているうちだったらもっと嬉しかったけど。


「お茶、持ってくるので、待っててください」

と亜湖が立ち去った後、優奈ちゃんが言った。


「麗華ちゃんが、太一くんと知り合いだったなんて、びっくりしちゃったよ」

「わた、わた、ワタクシも驚いちゃったのですわ。優奈ちゃんが太一くんのお家に来るくらい仲良しだったなんて」


「仲良し、ではないよ」

優奈ちゃんの顔が曇る。


ですよねーーーー。知ってた。

全然接点なかったし、太一オレの単なる片想い。



「私が、……太一くんを、殺したの」


えええっ?えええっ??

なんて?なんて?なんてなんて?

今、なんて?




優奈ちゃんからの衝撃の告白……で、次回へ続きます。


太一の実家が出てきました。八百屋さんです。

家族構成は、父と母と妹の亜湖ちゃんです。

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